巻頭言

ここからはじまる 世界の秋葉原

和田光征
WADA KOHSEI

8月24日、つくばエクスプレスが開通し、新しい時代が始まった。秋葉原と筑波研究学園都市が約45分で結ばれ、国立研究機関と新生秋葉原が一体となった。秋葉原クロスフィールドには産学連携機能、情報ネットワーク機能、オフィス機能などが集結され、IT拠点として新たなプラットフォームを構築する。
秋葉原の激変ぶりは大変なもので、昼間人口約13万人、月間延べ400万人の巨大エリアの出現となる。とりわけヨドバシカメラが9月にオープンすることによって全く新しい秋葉原の出現となる。
ヨドバシカメラは、地上9階、地下6階、売り場面積は約2万3000m2。家電製品に加えて、ゴルフ用品、時計や貴金属、ブランド品、ツーリスト品等まで大量に品揃えすることから、上野・御徒町や有楽町などの商圏からの吸引が大きく、周辺地域も含めた業態変化をもたらすこととなる。大型駐車場も完備し、観光バスまで駐車できるとなれば旧態の秋葉原は雪崩を打って影響を受ける結果となりそうだ。
ヨドバシカメラが目指す当面の売上げ規模が2000億円となればその収益性、効率性からいって日本を代表するナンバーワンの地位をゆるぎないものにすることになるだろう。
秋葉原地域の就労人口はおよそ5倍以上に膨れ上がると言われている。六本木ヒルズ、汐留シオサイト、台場などと同様に巨大開発地域であるが、秋葉原のアクセスの良さは群を抜いている。
・JR 山手線、京浜東北線、総武線、中央線
・第3セクター つくばエクスプレス
・地下鉄 日比谷線、千代田線(北千住接続)、
丸の内線、銀座線、都営新宿線、都営大江戸線
まさにクロスフィールドである。
・周辺エリア 上野、御徒町、浅草、錦糸町、
日本橋、東京、有楽町、銀座、お茶の水
そこから池袋、新宿、東京、品川、渋谷、六本木と結ばれることから新都心の誕生といえるだろう。
よく、秋葉原はどうなるのかと質問されるが、新時代が始まると、旧来の業態のままでは呑み込まれてしまう。旧来の秋葉原は成立し得ない。ましてヨドバシカメラと同様の商品構成は全くの無駄であり、それは秋葉原が周辺地域の巨大店にお客様を持っていかれた構図と同じである。
新しい秋葉原はソフトウェアの街として再び脚光を浴びるのではないだろうか。ヨドバシカメラへの対抗軸ではない、つまりハードウェアで対抗せず、付加価値やソフトウェアでは逆に面白いし、活性化するものと思う。また、昔の秋葉原そのものであるラジオストア的な店は大繁盛だろうし、視聴室やシアタールームをしっかりと備え、説明員もしっかりしている専門店は団塊世代の再来からみても面白い。
メーカーサイドから見ても秋葉原は新たなる発信基地であり、ブランド構築のためにも否でも応でも秋葉原を意識した販促策の展開が欠かせなくなるだろう。そうした意味からも情報が集結し、発信される「新・世界の秋葉原」の存在は、楽しみでならない。

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