巻頭言

再び、ここからはじまる

和田光征
WADA KOHSEI

還暦を迎え、故郷の中学時代の同級生、クラス58名中30名余りが集まり別府で同級会を行いました。物故者は2名で黙祷を奉げた後、会は進行し、最後は校歌を斉唱して終わりました。
私の思いは「いったい還暦とは何者ぞ」ということで、おそらくは平均寿命の逆算と世の習いにおける怩「くさ揩ゥもしれないということです。平均寿命或いは人間の寿命から十二支を重ねていくと0は2度あります。それは0歳と60歳そして120歳です。流石に120歳までは難しいですが。0歳では赤ん坊という位で赤い顔、肌に白い衣装となり、ここからはじまります。60歳には白い衣装は死出の旅へのものになってしまいますから、還暦の0でのスタートは0歳にならって赤い衣装となり、まさにここからはじまるわけです。
一方では定年という世の習い、仕組みがあって、こんなに元気でまだまだと皆思っているのですが怩アこまで揩ニ線を引かれてしまい、否が応でも年を感じさせられます。その後、公共機関から高齢者扱いの様々な連絡が来たり、ゴルフ場からはシニアの資格の案内状が来たりで、世の習い、仕組みは一気にそれも容赦なく老人として誘導していきます。
どうしてもということは別にして、差し支えないものは無視というのが私のスタンスですが、これはある種の怩「くさ揩ナもありました。そうです、そうした世の中の習いや仕組みがなければいつまでも万年青年の気持ちでいっぱいなのですが、それもまた世代の交代からすれば迷惑かも知れません。
そういえば同級会の顔ぶれを見ていますと、私たちが青年時代に見ていた還暦世代とは余りにも違います。皆、10歳位若いし、はつらつとしています。面白いことに12、13年前に還暦を迎えた恩師の挨拶は流石に昔の還暦世代の話で「72歳になった今はこれこれの病気があって、立っているのもやっとです」と話され、「君達も確実に年を重ねていくから身体には大いに気をつけて下さい」と結んでいました。ほんの少しですがある種の強迫観念を感じたのでした。
私は乾杯の音頭をとらせていただきましたので「先生方、ますます元気で頑張って下さい。私の周りには70代で4日連続ゴルフをする人も沢山います」と恚t脅迫揩差し上げてしまいました。そんな先生もお酌に行くと、会話が意外と生々しく、妙な安心感を覚えてしまったのでした。
いずれにしても昔に比べれば若いと思います。団塊世代が数年もすれば還暦を次々に迎え、大還暦市場の出現となるのでしょうが、逆に少子化等で、日本の行く末に心が痛みます。同時に大量の元気のいい還暦世代の上手な活用が日本経済にとって極めて重要であり、別の意味で世代バランスがとれるのではないかと思います。言うは易しですが、自ら創り出す、或いは公で創出させる雇用の問題はこれからますます重要課題となるでしょう。
そんなことに関わりなく、故郷の山河は相変わらずで、太陽はさんさんと降り注ぎ、すでに春風が頬をやさしく撫でていきます。
春は確実にやってきて、また年を重ねていきますが、それをよろこびとしたい心境のこの頃です。

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