巻頭言

地球大変化2004

和田光征
WADA KOHSEI

2004年の始まりの時、今年は9年に一度の大きな変化、出来事があると断定しましたが、やはり未曾有の“大変化”の1年であったと思います。
まず自然災害です。大型台風が次々に日本へ上陸し、かつて見たこともない光景を目のあたりにすることとなりました。風速にしても、集中豪雨のすさまじさも記録を塗り替える巨大なもので、多くの犠牲者を出し、被害額も過去最大になりました。
ちょうど9年前には阪神・淡路大震災がありましたが、新潟中越地震もまたそれに匹敵する大地震で、被災地では避難生活を余儀なくされています。
そして猛暑です。気温の高さもまた記録的で、日本が亜熱帯化している証拠でもあります。世界に目を移すと同様の現象が多く見られ、明らかに地球温暖化が加速度的に進んでいることがわかります。今後、中国でモータリゼーションが進んでいったらどうなるのでしょうか。偏西風にのって日本に送られてくる二酸化炭素による気温上昇は日本をさらに亜熱帯化させ、異常気象となって自然災害を次々に引き起こしてしまうのではないでしょうか。
今年は戦争とテロの年でもありました。ブッシュ大統領が再選されましたので、テロとの戦いは日本をも巻き込んでますます難しい状況を創り出していくことは間違いないでしょう。アラファト議長の死は中東問題をより複雑なものにし、世界の経済へ影を落していくのではないかと心配です。
いずれにしても今年を起点に起こったさまざまな事が、これからの世界にどう影響していくのか注意して見ていきたいと思います。
一方、業界では「新・三種の神器」、なかでも薄型テレビ、DVDレコーダーは成長期の緒についたばかりで、絶好調でした。この勢いはオリンピック後においても全く変わらず堅調で、今後数年、右肩上がりで上昇していくことでしょう。
その牽引役は何と言ってもテレビです。テレビを核としてDVDレコーダーはもとより、様々なものが繋がり発展し、ライフスタイルを一変させたのが今年ではないでしょうか。そして、デジタルハイビジョンが定着した大変化の年であり、素晴しい1年であったと思います。
一方では競争激化で値崩れが起こり、収益面では厳しいものが表れはじめました。製販双方におけるせめぎ合いの中から、お互いが利益を生み出す方向を具体的に探り始めたのも2004年だったように思います。利益ある商売の徹底をもっと進めなければなりません。
流通再編も最終コーナーへ来たように思います。秋葉原にヨドバシカメラの巨大店舗が大魔神の如く、聳え立ってきました。2005年10月オープンですが、その頃には秋葉原の1日当たりの就労人口は3万人、中間人口は13万人になると言われていますので、世界の秋葉原の再来となるでしょう。ここから再編がさらに進んでいくのではないでしょうか。
2004年は大変化の年であったことを誰もが認識されていることと思います。2005年、ともかく、いい年にしたいと祈念せずにはいられない師走の入り口での思いです。

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