トップインタビュー

ハーマンインターナショナル
代表取締役社長

安田耕太郎 氏
Kotaro Yasuda

 

強力なJBLの新製品と
マークレビンソンの復活で
この秋は大攻勢を展開する



数多くの著名オーディオブランドを傘下に持つハーマングループ。同社の主力ブランドの「JBL」からS9800SEなど意欲的な新製品が大量に市場投入される。さらに製品出荷が滞っていた「マークレビンソン」から久しぶりに新製品が登場。ブランドの復活に向けての狼煙を上げた。ハーマングループの日本法人として同社の戦略を強力に推進するハーマンインターナショナルの安田社長に同社の戦略と今後の展開を聞く。

インタビュー ● 音元出版社長 和田光征

魅力的な商品を開発して
市場に提案していくことが
われわれの責務です

厳しい市況の中で
前年並みの売上規模を実現

―― 最初に国内のハイエンド市場の動向から聞かせてください。

安田 国内の高級オーディオや高級AV市場は活況を呈しているとは言い難い状況で、勝ち組と負け組みとの差が大きくなってきています。ただどんな時代であっても、ハイエンドオーディオ機器を求められるお客様はいらっしゃいます。一時期高級機の市場がバブル的に膨張した時期がありましたが、市場の伸びが止まった今の状態が常態だとわれわれは考えています。当社ではその市場規模の中できちんとした地位を確保すべく、メーカーと一緒に戦略を進めています。
当社の業績はほぼ前年並みの水準の売上規模で推移しています。マークレビンソンがここしばらく商品を出せなかったことから若干厳しい面はありましたが、当社の売上げの柱になっているJBLは相変わらず堅調です。半年前から扱い始めた高級ケーブルのシルテックも売上規模は決して大きくはありませんが、順調に浸透してきています。

―― JBLではS9800SEに続いて、多くの新製品群を発表されました。その開発背景を聞かせてください。

安田 JBLはまもなく創業60周年を迎えます。JBLは90年代後半、やや自己革新的な商品開発が弱まった時期がありましたが、ここ数年、意欲的で革新的な商品開発を再度活発化しています。
JBLは世界のスピーカーメーカーの中で非常に稀有な存在です。スピーカーメーカーのほとんどは、他社からユニットを購入してネットワークを中心としたシステムとしてのまとめ上げだけを行っています。キャビネットも外注しているところが大半です。これに対してJBLではユニットの開発・生産からキャビネットの製造・仕上げを含めた最終工程にいたるまで、すべて自分たちで実施しています。このようなスピーカーメーカーは、世界でもほとんどありません。
JBLは比較的カジュアルな製品からハイエンドにいたるまで非常に幅広い商品ラインナップを展開していますので、それぞれの商品特性に合わせた生産ラインを整えています。たとえばK2のようなハイエンド製品では非常に厳しい基準を満たさなければいけませんので、ハイエンド製品だけを作るためにハイエンドセルと呼ばれる専用の生産設備と人員を配置して、量産機とは完全に独立した生産体制をとっています。

―― JBLの商品作りのポリシーを、あらためてご説明ください。

安田 JBLのスピーカー作りに対する基本的なスタンスは、大きく3つあります。第一点目は、まずユニットありきということです。スピーカーのドライバーは、車で言えばエンジン部にあたります。その部分で常に革新的なものを開発し続けていくことがJBLのスピーカー開発の根幹にあります。
二つ目のポイントは工業製品としてトータルでの完成度の高いものを作るということです。民生用の趣味製品である以上、単にユニットが優れているだけでは不十分です。優秀なユニットを核にして、システム全体としてのバランスやデザインなども含めてまとめ上げていくことが成功の鍵です。そこでは音が素晴らしいことはもちろん、家庭の中にあっても十分に美観的にも耐えられる商品にまとめ上げることを徹底しています。
三つ目のポイントは価格です。商品はお皆様に買っていただいて初めて価値があります。誰も買えないような価格では意味がありません。ただこれは価格を優先して性能・品質面で妥協するという意味ではありません。設計やデザイン・製造面などを工夫することによって、いかに質を落とさずに商品としてまとめ上げていくかということです。

現状に満足せず
さらなる高みを目指し続ける

―― S9800SEでもその考え方が貫かれているということですね。

安田 この4〜5年間での最大のエポックメーキング的な商品の登場は、3年前の9月11日に発表したS9800でした。この製品ですべてのドライバーを新開発した結果、それ以降の4348、S5800、S4800といったこの系譜のドライバーを使った製品を発売してきました。
今年の6月に発表したS9800SEは、この系譜の最新モデルにあたります。キャビネットの仕上げは、従来の「WG」に相当する茶色木目に加え、新たに黒色木目にラッカー仕上げを施した「BG」の2つのバージョンがあります。またS9800のオリジナルモデルをお持ちのお客様が大勢いらっしゃいますので、バージョンアップサービスも実施します。
JBLは常に自らの商品を進化・改善し続けています。今回のS9800SEでもそうです。これは市場の要求から生まれた商品ではありません。ミスターJBLのグレッグ・ティンバースがS9800の開発以来、システム全体としてさらに良くならないかということで3年の年月をかけて音作りの面でネットワークを改善したのがこの製品です。
マーケットは常に進歩を求めています。製品開発の中で一番難しいことは、自らが過去に作った商品を超えるものを次から次に作っていかなければいけないということです。競合の対象は過去の自分自身であって、他者ではありません。

―― 伝統に安住していてはいけないということですね。

安田 ミスターJBLのグレッグ・ティンバースは、一番気に入っている言葉は「NEXT 1」を挙げました。これはチャップリンの映画の中に出てくる言葉ですが、現状に満足せず常にさらなる高みを目指していこうという彼の姿勢があらわれています。
成功者が陥る最大の困難は、自らを常に超え続けていくという姿勢に停滞が出てきてしまうことです。これをブレークスルーしていかないと、そのメーカーや業界が立ち止まってしまったように見えてしまいます。

注目機が続々と登場する
JBLブランド

―― S9800SE以外にも注目機種がいろいろありますね。

安田 ブックシェルフタイプのモニターシリーズの4312D、4328は今年の目玉商品のひとつです。JBLのブックシェルフ型モニター4312シリーズは発売以来、約35年の間に20機種近くが発売され、日本だけで累積販売台数は30万台以上です。この間、基本的なものを変えずにユニットをどんどん進化させてきましたが、今回、新たな世代のモデルが登場してきます。
今回の最大の特徴は、すべてのユニットが新世代化されたことです。従来も部分的なユニットの変更は重ねてきましたが、ウーファーからトゥイーターまでのすべてのユニットを新開発するのは初めてです。ここで新たに開発されたユニットが、今後、5年、10年先までのモニターシリーズの基本になっていくという意味で、4312D、4318は非常にエポックメーキングなモデルです。
そして、今秋発売予定の新製品の中で最大の目玉商品として大型モニター4338が登場します。15インチ3ウェイ構成の存在感溢れる風格に加え、特徴的な新開発大型ホーンを採用したその音質は、脈々と流れてきた典型的なJBLサウンドの延長線と言え、JBLファンを唸らす出来栄えです。ご期待ください。

―― その他の新製品についてはいかがでしょうか。

安田 ハイエンドのピュアオーディオ用として評価の高いK2などを擁するハイエンドラインでは、待望のハイエンドホームシアター用のセンタースピーカーやアクティブ・サブウーファーなどを追加投入します。さらに2チャンネルのピュアオーディオ用としても十分使えるグレードを持ったホームシアター用のスピーカーなど、10機種以上もの新製品を2004年中に投入していきます。
市場はやや停滞気味ですが、魅力的な商品がなければ市場はさらに縮小してしまいます。JBLではこの年末に向けて大量の新製品を投入しますが、新製品を意欲的に投入することによって市場の活性化につなげていきたいというのが私どもの思いです。この思いを販売店の皆様方に是非ご理解していただければと思います。

―― 厳しい環境であるがゆえに、魅力的な新製品が求められるということですね。

安田 市場の厳しさは痛感していますが、それを嘆いていても何も良くなりません。魅力的な商品を開発して、市場に提案し、お客様にその素晴らしさを認めていただくための様々な努力をすることによって市場の活性化を図っていくことがわれわれの責務だと考えています。

同一グループ会社として
メーカーとの共通戦略を展開

―― 日本市場で成功するには、市場の要求を海外のメーカーに伝えていくことも必要です。この点についてはいかがでしょうか。

安田 商品を企画する時に、マーケットに近寄りすぎると独自性を失います。独自性だけで突き進むとマーケットから遊離してしまいます。ブランドの個性を貫きながら、いかにそれを多様化するマーケットのニーズに合わせていくか。そのバランスをいかにとるかということが一番大切です。
JBLではバブル全盛だった一時期、売上規模やシェアを追いかけた時期がありましたが、今はそうではありません。ブランドの価値を高めながら、利益をきちんと確保していくという堅固な経営戦略に変わってきています。
ここ数年、当社と米国のJBL本社とはかつてないほど緊密で、意思の疎通を図ることができています。
われわれは日本の市場の特徴をきちんと本国に伝えます。ただ、そのことにとらわれすぎて、彼らの個性を失うようなことになってはいけません。その点が最も優先されるべきことです。なぜわれわれが海外ブランドの商品を輸入しているかというと、日本の商品にはない魅力を持った商品を求めるからです。それを失ってしまうとわざわざ海外から輸入する価値がなくなってしまいます。

―― 御社はハーマングループの日本法人ということで、一般的な輸入代理店とは性格が異なります。

安田 当社ではいくつものブランドを取り扱っていますが、中心は自社ブランドのJBLとマークレビンソンです。これらの会社とわれわれは同一の企業グループに属していますので、人的な面でも兄弟・親戚付き合いをしています。その意味では取引メーカーとの間で資本や人的な面でのつながりを持たない一般的な輸入商社とは異なります。
ハーマン本社から見ると、日本は世界の中の一市場ですが、ブランドの将来を本当に考えたわれわれからの指摘や建設的な提案が、ブランド全体の世界戦略の中で非常に役に立っているところがあるようです。
ですから単なる日本の販売代理店の発言ということではなく、ハーマングループが有するブランドの世界戦略を展開していく上での同じ仲間の意見として聞いてくれています。これはJBL、マークレビンソンについても同じことが言えます。

日本市場での成功を通じて
グループ全体を高付加価値化

―― JBLでは異業種とのコラボレーションにも積極的に取り組まれているようですね

安田 ハーマングループでは自動車業界やコンピューター業界向けのブランド名を冠したOEMも行っています。自動車業界やPC業界では、過去10年あるいはここ5年ほど前から、民生用の世界で評価の高いブランドのスピーカーやオーディオシステムを搭載することによって自社製品の付加価値を高めるという戦略が世界的にとられるようになってきました。JBLとマークレビンソンはトヨタ自動車との間で全世界的な独占契約を持っています。 
ハーマングループ全体では、トヨタ以外にもメルセデスベンツやBMWなどとも独占的な商品供給契約を結んでいます。オーディオだけでなく、ナビゲーションのシステムも含めた一体でハーマングループブランドの商品が搭載されています。コンピューター分野でも同様の動きがあります。
ハーマングループの中でハーマンジャパンは、単に日本市場でJBLやマークレビンソンソンなどの商品を販売するだけではありません。民生用の分野でそれぞれのブランド価値を常に高めていくという点で、ハーマングループ全体の戦略の中で重要な役割をも担っています。

―― グループ戦略の推進にとっての重要な一翼を担っているということですね。

安田 ハーマンインターナショナルはニューヨークの株式市場に上場しています。JBLやマークレビンソンなどのブランドが日本で高い評価を得ることによって、本国での株主や利害関係者に対して、商品やブランドに対する価値の高さを認識させることにつながります。
また、日本は世界の中でも品質に対してもっとも厳しい市場として有名です。そこで成功することは、品質の高さが認められたと社内的には捉えられています。日本における成功は、単に商売の規模だけではなく、様々な付加価値を持っています。
日本はアジアの中でオーディオ先進国です。中国・台湾・香港・韓国、あるいはシンガポールやインドネシアにいたるまで、多くの国が日本のオーディオ事情を注視しています。日本におけるオーディオブランドのポジショニングをアジアへ波及効果として及ぼすためにも、日本の市場は非常に重要です。
逆に本社側の動きを日本市場に活用することもあります。昨年来日公演をしたエリック・クラプトンですが、今年は「ワールドツアー2004」として全世界を回っています。これらのコンサートのスピーカーはJBLプロ機器を使用しており、JBLがメインスポンサーになっています。そのことでJBLのカタログやポスターなどにクラプトンの肖像を採用しているわけです。

復活に向けて動き出した
マークレビンソン

―― 久しぶりにマークレビンソンから新製品が発表されました。

安田 1972年に設立されたマークレビンソンは、今年で32年目になります。約発足した当時は、まさにオーディオ界の新星として燦然と光り輝いていました。時間の経過とともにブランドは、徐々に成熟していきます。そして成熟が増すにつれ、ややもすると新鮮さや自己革新的な要素が弱まってくることがあります。
マークレビンソンでも創業以来30年近くを経て、ややそれに近い傾向が見え初めてきました。創業当初から続いてきた生産のやり方や製造のコスト管理手法を、時代の流れや事業規模の拡大にあわせて、微調整することが必要になってきていました。
ハーマングループの傘下には、マークレビンソンの他にもレキシコンやハーマンカードン、プロ用アンプの雄、クラウン(日本でのブランド名はアムクロン)などがあります。それぞれのブランドは単独で部品の調達活動を展開していましたが、部品の情報を全体で共有することによって、仕入れ価格など部品調達面でのシナジー効果を出すことができます。
能率的で効率的な部品の購入と運用の仕方やオーバーオールなグランドデザインの設計は、近代経営では不可欠な手法です。それによって製品の価値を劣化させるわけではありません。むしろ、商品力が強化されることによって、マーケットに対して好影響を出すことにつながります。

―― 新たな戦略を立てるための時間が必要だったということですね。

安田 マークレビンソンでは一時活動を停滞させてでも今までのあらゆる活動をおさらいして、未来に向けた新たな成長戦略を描いてきました。この間、皆様に大変ご心配、ご迷惑をおかけいたしました。この場を借りて輸入元責任者として、販売店の皆様方にお詫びさせていただきたいと思います。
マークレビンソンではようやく新しい体制が整いました。コネチカットにあった工場をマサチューセッツに移し、既にそこで生産をはじめました。この秋には待望の新製品も2機種登場してきます。さらに来年・再来年も新製品を投入していきます。
マークレビンソンについては、この秋から冬に向けて米国本社との協力で強力な販売活動を展開していきます。JBLがここ4〜5年で急速に商品力を強化してきたように、マークレビンソンの復活を是非成功させていきたいと思っています。新たな商品で捲土重来を期していきまので、販売店の皆様方にはぜひご支援をお願いいたします。

あのNo.32Lと26SLを合体した
モデル名の新製品が登場

―― マークレビンソンブランドでは基本的に2チャンネルのピュアオーディオに集中してきました。これは今後も継続されるのでしょうか。

安田 以前は2チャンネルはマークレビンソンで、マルチチャンネルはプロシードでという2ブランド展開をしていましたが、今後はマルチチャンネルを含めたひとつのオーディオブランドとしてマークレビンソンでいく方向です。
マークレビンソンのブランドが創立された時には、オーディオは2チャンネルでした。その後、時代の変化の中で、マルチチャンネルやAVの要素がオーディオに入り込んできました。この流れはさらに加速してきていますので、マークレビンソンとしても対応していくことが求められてきています。
ただその度合いは市場によって違います。世界の中でもっともハイエンドAVに対する要望が高い市場は米国です。欧州やアジアなど世界的にもその流れにありますが、日本のハイエンドオーディオ市場ではAV化がやや遅れています。
このような事情から、マークレビンソンとしては、2チャンネルのピュアオーディオ商品と、AVファン向けの商品の二本柱で商品を展開していきます。

―― マークレビンソンの新たな戦略における新製品の位置付けを説明してください。

安田 今回はプリアンプを2機種導入します。一般的にハイエンドオーディオメーカーの商品ではプリアンプとの比較で、パワーアンプの種類が多く、例えばプリアンプが1機種とすると、パワーアンプを4〜5機種展開しています。
ハイエンドプリアンプとしては、数年前にマークレビンソンが出したNo.32Lがいまだに第一級の評価をいただいています。このNo.32Lの下に位置するモデルが2機種が登場します。
モデル名はNo.326Sです。No.326SはNo.32Lよりもずっと廉価ですが、この商品に対する期待の大きさから、90年代を代表するNo.26SLと現在のフラッグシップのNo.32Lとを合体したネーミングになりました。その弟分であるNo.320Sも間もなく発売させていただける予定です。
マークレビンソンの売上げは一年近く、ゼロに近い状態が続いていました。私はこの間マークレビンソンがどうなっているかを身内の人間として詳細に把握していましたので、いつか立ち上がる日がくることを心に秘めてやってきました。販売店さんには本当に申し訳ありませんでしたが、ようやくそれが見えてきました。早くその日が来て欲しいという思いで胸がいっぱいです。

継続的に新製品を投入し
市場の活性化に貢献する

―― 巨大なハーマングループに属するマークレビンソンの復活に大きな期待が集まりますね。

安田 ハイエンドのエレクトロニクスメーカーは、例外なく非常に小規模です。従業員数はせいぜい数十人程度で、売上規模や利益規模・投資規模はおのずから限られます。これだけのスピードで技術革新が進んでいる時代にあって、それを先取りしながら、商品化して毎年複数の新製品を送り出せるようなメーカーはほとんどありません。例えばひとつの製品を開発するのに2年間かかるとします。仮に5人の開発部隊が2年かけて一機種を開発するとなると、その間の人件費と開発経費が足かせとなって資金的に大変だからです。
ハイエンドでは個性的な商品は規模の小さなメーカーからのみ開発される傾向があるとよくいわれますがそれは誤解です。基本的な力を持っているところが、正しいビジョンと正しいストラテジーで、正しいリーダーシップを発揮して展開することがベストです。ただ大きな会社では、ハイエンドに対する理解の不足から、ビジョンやストラテジーを間違ってしまいます。いわば宝の持ち腐れになるわけです。ハーマングループの傘下でハイエンドオーディオを専門に取り扱う組織が独立して存在することはマークレビンソンの最大の強みです。これが、開発陣などの人的資源や研究施設、測定装置などを揃え、新製品を継続的に開発できるだけの投資能力と体制を整えているからです。

―― その他のブランドでは今年から取り扱いを開始したシルテックが好調のようですね。

安田 当社では自社ブランドのJBLとマークレビンソンを中心に、SMEやAKGや各種のアクセサリー商品も取り扱ってきましたが、ケーブルがありませんでした。そこで今年の3月1日からシルテックの取り扱いを始めました。取り扱い始めてまだ半年弱ですが、売上げは満足できる水準で推移しています。
その他のブランドではオーストラリアのハイエンドブランド「ハルクロ」があります。親会社は世界で70%近いシェアを持つ地雷探知機メーカーです。その責任者の一人でもある物理学者ブルース・ハルクロ・キャンディー氏が自分のために作ったアンプがハルクロです。あくまでも趣味の延長線上としてのアンプ作りですので、新製品の開発テンポも非常に悠然としていますが、着々と新製品の開発を進めています。

―― 最後に販売店さんに対するメッセージがありましたらどうぞ。

安田 この一年間、マークレビンソンについては、本当にご迷惑をおかけして申し訳ございませんでした。ようやく新製品も出てきます。この間のつけをいい形でお返しできるよう、捲土重来で頑張っていきます。JBLも強力な新製品を出します。是非ご期待いただくとともに、ご支援賜りますよう、よろしくお願いいたします。

◆PROFILE◆

Kotaro Yasuda

1946年福岡県生まれ。慶応大学在学中に2年間、80カ国を働きながら旅をして国際感覚を磨く。1971年ティアック鞄社。香港支店長を経て、1977年ハーマン入社。ハーマン本社アジア地区セールスマーケティング担当総支配人、ハーマンインターナショナル兜寰ミ長を経て、1999年1月同社代表取締役社長に就任。テニス、スキー、登山など、スポーツを愛好する行動派。