巻頭言

ホームシアターブーム / 和田光征 WADA KOHSEI

 「カジュアルスクリーンはホームシアターマーケットに革命を起こす」。前号で提案したディスプレイから見たホームシアター論のいうなれば目玉的な存在が「カジュアルスクリーン」です。多くの反響を頂きましたし、業界トップからの講演依頼等も頂きました。

 私はホームシアターのブーム化がなかなか起こらない要因は何なのか、考察してみました。小社刊行の「ホームシアターファイル」誌は6月売りから、季刊誌から隔月刊誌へ格上げされました。それも書店や取次からの半ば要請によるものです。本来、雑誌の場合、既存誌の子供として別冊や臨時増刊の扱いで刊行され、その売れ行きで定期刊行物に格上げされます。

 「ホームシアターファイル」誌は2000年秋に「AVレビュー」誌の臨時増刊として刊行され、2001年に臨時増刊として年4回刊行になりました。正直申しまして予想を超える売れ行きでした。従いまして、書店・取次としては異例中の異例として2001年9月売りから、日本で唯一の定期刊行ホームシアター誌に格上げされ、さらに今回は格上げ後1年で隔月刊(2月、4月、6月、8月、10月、12月発行)誌へ昇格しました。これも異例の速さで話題を呼んでいます。

 そうです、私どもの発行する雑誌ではホームシアターブームが起こっているのです。と言ってもコア層が中心で私は発行部数(現在実部数3万部)は数倍伸びるだろうと考えています。定期刊誌として発行後まだ2年弱ですから、現在の部数は発展途上でしかありません。全国紙やPhile webでの強力な宣伝戦略等を展開して、実現させたいと思っております。

 「ディスプレイから見たホームシアター論」の実践こそ、業界全体に真のホームシアターブームを巻き起こす要素であると確信しています。そもそもホームシアターという場合、業界人それぞれがバラバラの考え方、或いは実行の仕方ではなかったでしょうか。いろいろなホームシアターの姿を持って議論したり、商品企画をしたりですから、実態から遊離してしまい、実を結ばないのです。ツボにはまったメーカーだけが成功体験を味わっているのですが、これではとても急成長という絵は描ききれていないのが実態でしょう。スクリーンをカジュアルとセット(インストーラーが関与)に分類することによって、ホームシアター環境が見えてきました。CRT、LCD、PDPに加えてカジュアルスクリーン、セットスクリーンにジャンル分けして、それぞれにマーケティングをする。そのことによってやるべきこと、つまり、付加価値の付け方、部屋別、年齢別、ライフスタイル別が目に見える形ではっきりし、展開できるのです。

 とりわけカジュアルスクリーンではヤングアダルト、ヤング層を取り込み、コア化することがホームシアターブーム化の最大のポイントです。それが「ディスプレイから見たホームシアター論の考察法」なのです。こうしたことの着実な推進以外にホームシアターのブーム化は創りだせないでしょう。

 当然ながら小社発行の「ホームシアターファイル」「映画館のある家」「Phile web」ではホームシアターのプロパガンダを徹底し、真のホームシアターブームを盛り上げていきたいと思います。

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