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MU-80

LUXMAN
MU-80

¥780,000(税抜)

発売:2004年3月
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ハイグレードマルチchへの渇望を満たすラックスマン渾身のセパレートモデル

オーディオ銘機賞2005 ≪マルチチャンネルアンプ部門賞≫受賞モデル

ビジュアルグランプリ2005 ≪マルチチャンネルアンプ部門トップ賞≫受賞モデル

【SPEC】
●最大出力(全8ch動作時):100W/150W(8Ω/4Ω)、300W(8Ω,BLT) ●最大出力(全2ch動作時):130W/210W(8Ω/4Ω)、380W(8Ω,BLT) ●入力感度:1.0V(8Ω,75W) ●入力インピーダンス:51kΩ(コアキシャル)、67kΩ(バランス) ●周波数特性:+0,-0.1dB(20Hz〜20kHz)、+0,-3.0dB(1Hz〜390kHz) ●全高調波歪率:0.01%(8Ω,1kHz)、0.06%(8Ω,20Hz〜20kHz) ●SN比:110dB ●外形寸法:467W×212H×491D mm ●質量:43.0kg

※原則として製品発表時のデータを掲載していますので、内容・価格は変更されている場合があります。また、この製品データベースには生産・販売を休止したモデルの情報も含まれています。

テストレポート

創られるべくして創られた高い完成度を誇るセパレート

ラックスマンのCU-80/MU-80はそれぞれ、6ないし8チャンネルの入出力を持つプリアンプ、8チャンネル仕様のパワーアンプ。いずれもこれまでのラックスマンの技術を継承しながら、高い完成度で仕上げられている。映像回路はもちろんだがデジタルデコーダーも搭載していないため、DVDビデオを再生するためにはプレーヤー側でデコードしておかなければならない。しかし本機では基本的にユニバーサルプレーヤーとの組み合わせが前提となるから、この点で問題を生じることはないだろう。

CU-80は6チャンネルプリアンプである。オプションで2チャンネル分を追加することもでき、その場合は8チャンネル構成となる。マルチチャンネル入力は2系統。ほかに2チャンネル入力がアンバランス/バランス書く系統装備され、また出力にもバランスとアンバランスを備える。ここでセンターとサブウーファーはツインドライブに対応してダブル出力としているのが面白い。

この8チャンネル出力は2つずつ組み合わせてバイアンプ4チャンネル、4つを組み合わせてクワッドアンプ2チャンネルとしての出力も可能である。またセンターおよびサブウーファー独立のミックスダウン回路も備えている。

ラックスマンのプリアンプ技術として最も注目されるボリュームには、C-70fで高い評価を得たLECUAの発展形LECUA-WMを搭載している。また全チャンネルに位相特性の優れたODNF ver.2.2を採用。低容量FR-4ガラス繊維素材の基板や鉛フリーハンダなど、随所に高音質設計を施している。

パワーアンプMU-80は100W/8Ω×8.定評あるODNF ver.2.2による回路構成である。入力は全チャンネル・バランス/アンバランス対応。位相反転スイッチも装備する。2チャンネルずつブリッジとして、300W/8Ωの4チャンネルアンプとすることもできる。大型EIトランスと始めとするハイイナーシャ電源や低容量FR-4ガラス繊維基板、高剛性筐体などラックスマンの技術をふんだんに盛り込んだ高度な内容である。

マルチチャンネル・システムでは、2チャンネルの音が基本になる。2チャンネル・システムと同等でなければならない。この点でCU-80/MU-80はまず、卓抜な力を示す。まずエネルギーが十分にある。立ち上がりが速く、しかも細かな部分にまでエネルギーが行き渡っている。このためトランジェントが正確で、またスピーカーに対する制動が確実である。

ボーイソプラノが美しい余韻をたっぷりと響かせている。声の質感やハーモニーにごくきめ細かな柔らかい感触が残り、広いレンジにわたって純度の高い音調を字手右舷している。またピアノはタッチを明確な輪郭で描き出し、打鍵の瞬間の複雑な響きを繊細に捉えて余すところがない。オーケストラは楽器の分離がよく、空間的な奥行や広がりを丹念に描いて音場が深い。

この2チャンネルの再現性を、マルチチャンネルではいっそう緻密に拡大した印象である。聖堂に響くオルガンとチェロの位置や距離感が実に正確だ。残響はたっぷりと空間内に満ち渡っているが、それがこもらず濁らず明快である。マルチチャンネルでこれほど精密な描写を得たことはないと言ってもいい。各チャンネルの位相がぴったり揃った出方である。

映画も一味違う。セリフや身辺音、音楽音にいたるまで質感やニュアンスを丁寧に取り出し、純度の高い音調で微細なディテールまで緻密に描く。これは優れてハイファイの音だ。それでいて爆音のような効果音では、地の底から揺するような腰の座った轟音を展開する。映画を高品位に再現するとこうなるという見本のようでさえある。

これまでどうしても手に入れられなかったマルチの音がここにある。ハイグレードマルチチャンネルを求める人への大きな贈り物である。

(text:井上千岳)