銘機「3・2・1」の思想を受け継ぐジュニアモデル

2台のスピーカーでサラウンドに対応できる独自のテクノロジーで話題を呼んだ3・2・1のジュニアモデルである。DVDプレーヤーはなく、そこがオリジナルの3・2・1と違う。つまりすでにプレーヤーを持っているユーザーを対象にしたもので、需要に対してタイムリーに対応した製品である。スピーカーは確かに2台だが、中はさらに2つに分かれている。都合4系統のスピーカーを持っているといってよく、それを独自の信号処理に基づいて駆動することによって前方だけからの再生音で後方までのサラウンドを実現しようという仕組みだ。4×4ボーズデジタルという特許技術が可能にした。これで映画のステレオ再生にもサラウンド再生にも対応する。アンプはベースモジュールに内蔵だ。

よくあるバーチャル・サラウンドと違って広がりに無理がなく安定感が高い。それはセリフの聴き取りやすさにも現れている。声の音調が自然でにじみがなく、広い範囲で落ち着いた質感が得られる。効果音もスケールが大きく、厚手で腰が落ちている。DVDプレーヤーにつなぐだけと、特に面倒なセッティングは必要ない、使いやすい製品だ。

（text:井上千岳）