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RX-S600

YAMAHA
RX-S600

¥65,000(税抜)

発売:2013年9月中旬
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高さ11cm/奥行き32cmの薄型・スリムな5.1ch AVアンプ

【SPEC】●定格出力:20Hz〜20kHz、2ch駆動…60W/ch(6Ω、0.09%THD)/1kHz、1ch駆動…95W/ch(6Ω、0.9%THD) ●実用最大出力:1kHz、1ch駆動…125W/ch(6Ω、10%THD) ●入力端子:HDMI×5/アナログ音声…RCA×3、ステレオミニ×1/デジタル音声…光×2、同軸×2/映像…コンポーネント(同軸)×2、コンポジット×4/USB×1/Network×1 ●出力端子:HDMI×1/アナログ音声(スピーカーアウト)…5ch 5端子/アナログ音声(サブウーファーアウト)×1/アナログ音声(AV/RECアウト)×1(AV OUT)/映像(モニターアウト)…コンポーネント(同軸)×1、コンポジット×1/その他…DCアウト×1、ヘッドホン×1 ●チューナー:FM/AMチューナー ●S/N比:108dB以上(AV5他、2V) ●消費電力:220W ●外形寸法:435W×111H×320Dmm ●質量:7.8kg

※原則として製品発表時のデータを掲載していますので、内容・価格は変更されている場合があります。また、この製品データベースには生産・販売を休止したモデルの情報も含まれています。

テストレポート

■リビングのテレビラックにラクラク入る薄型AVアンプ

自宅リビングにシアターを楽しめる環境を導入しようという場合、現在だとバータイプのフロントサラウンド、いわゆる“サウンドバー製品”を検討する方が多いと思う。だが一方で、「できることならリビングでも本式のマルチなシステムを組みたい!」という方もいらっしゃるはずだ。

しかしここでハードルのひとつになるのが、フルサイズAVアンプの大きさである。一般的なテレビラックには、高さと奥行の面で収まらない場合も多い。かといって、AVアンプが収納できるような“大袈裟”なラックをわざわざ新たに導入するのは、費用の面でもそうだし、現在のリビングの雰囲気を変えてしまうなどインテリアの面からもちょっと難しい…という方が少なくないだろう。

そこで求められるのが、今あるラックにもラクラク収納できるような、筐体を薄型化した小型AVアンプだ。今回ヤマハから登場した「RX-S600(関連ニュース)」もその声に応えるもので、かつ現在のAVアンプのベーシックと言える機能・性能を満たした最新機となる。価格も6万8,250円と手頃だ。

肝心のサイズは幅435×高さ111×奥行320mm。奥行350mmのラックにも余裕を持って設置できる。設置した際に顔となるフロントパネルはアルミのヘアライン仕上げで上質かつ精悍なつくりだ。

そして筐体が薄型になったとはいえ、音質設計面にも妥協はない。本機の音質の土台は、同社のフルサイズ機と同等の高音質設計が投入されたアンプ部。パワーアンプはディスクリート構成を採用している。それをさらに支える、低インピーダンス化を徹底した大容量電源部の役割も大きい。ヒートシンクや電源トランスは内部スペースの許す限り大型ものを搭載する。そのほか、音質面と使いやすさの両方に貢献する大型スピーカー端子を備えるなど、細部まで行き届いた設計だ。

機能面も前述のように、今後も見据えた仕様や機能を堅実に網羅している。192kHz/24bit対応のDLNAネットワーク再生やAirPlayをサポートするほか、スマートフォン/タブレット用の専用アプリ「AV CONTROLLER」からの操作にも対応する。HDMI周りも、4K映像信号のパススルー、スマートフォン等との連携性を高めるMHLなどの機能を不足なくカバーしている。

■まさに「これを必要としていた」− 薄型・小型化の中でベストクオリティを実現

では最後に、筐体の薄型化を実現しながらフルサイズ機と同等の高音質設計を搭載した本機の実力を確かめていこう。音質チェックは、まず「ヱヴァンゲリオン新劇場版:Q」冒頭のアクションシーンから。全体の印象として大きく不足する要素はなく、バランスの良い表現。個性や突出した性能は主張せず、基礎的な再現力の充実に徹した印象だ。

コクピット内で音声や警告音が全周囲から溢れてくる場面では、その音数や質感等の描き込みが、完璧ではないにしても十分。全周囲サラウンドのつながりも違和感がなく、音像の明瞭さや、音場補正の精度も含めての定位の的確さを実感できる。空間を広く使ってスコアや効果音を配置して宇宙空間の広さを伝えてくる場面でも、本機はサラウンド空間の再現性を発揮。本格サラウンドシステムならではの広がりを存分に味わわせてくれる。

「言の葉の庭」では会話シーンの表現力を確認。この場面の背景である雨音は無理に描き込まず台詞の後ろに柔らかく溶け込み、やや大柄な台詞の存在感がさらに際立つ。声は男女とも自然な厚みを備えており、感情の動きに合わせて声が明るくなる瞬間などの機微も十分に伝わってくる。

ステレオ音楽ソースの再生では、音像の明確さに少し弱みを見せる箇所はあるが、音色の太さや厚みなど低音側の量感をほどよく生かしつつもバランスを維持した音調だ。

薄型・小型化という“絶対命題”をクリアしつつ、その与えられた条件の中でベストのクオリティを達成したAVアンプだ。まさに「これを必要としていた」という方は少なくないと思う。

なおヤマハでは、本機を同梱する5.1chホームシアターパッケージ2種類を新たにラインナップしており、5.1chシステムをリビングへより導入しやすい環境を整えている。こちらもあわせてチェックしてみてほしい。

(text/高橋敦)