大口径14.5cmウーファーを搭載した“ウッドコーンオーディオ”のフラグシップ

バイアンプ・バイワイヤリング対応のダイレクトドライブ方式を採用した2Wayスピーカーシステムをペアで備えるプレミアムモデル「EX-A150」が、このほど本機へとモデルチェンジされる。ビクター独自の“ウッドコーンオーディオシステム”の最上位であり、アンプ、DVD/CDプレーヤー、スピーカーそれぞれのコンポも250シリーズを名乗る実力者ぞろいだ。さらなる高みへどう表現力を向上させているのか、興味をそそられよう。

今回目立ったところは、レシーバーとプレーヤーに15mm厚のサイドウッドが装着されたことだが、そのほかにも異方性振動板が特徴の14.5cmのウッコーンユニットや、独自の高音質・高出力デジタルアンプ“DEUS（デウス）”をはじめ、徹底的なスタジオチューンで鍛え抜かれたものと聞く。実際ビクター青山スタジオには、このEX-A250システムがスタンバイされており、録音現場における音決めに一役買ってるのである。

サウンドはさらに一皮剥けて、鮮度と空間全体の見通し感が向上した印象である。バイアンプ駆動らしい、歯車のかみあった力強いドライブ力が一層音の隅々までゆきとどく感があり、音楽全体がより生命力にあふれる。「ハンク・ジョーンズ」の豪放らいらくなピアノプレイと、インパクトのあるドラムやベースのかけあいが実に痛快。立ち上がりが明快で、音量的にもサイズを思わせないパワーにあふれるものだ。ブラスが加わったハードななプレイでもピークが崩れることなく、鳥肌が立つほどエキサイティングに楽しませた。 弱音領域でのみずみずしさも際立ってくる。ウッドーンはもともと、楽器のように響きにコクがあって自然なのだが、さらに心地よい。異方性振動板やツイーターに用いたシルク繊維のエッジ、またエンクロージャーでは響き棒などのチューニングで、立ち上るようなふわっという広がりと、馨しいニュアンスのハーモニーが得られているからだ。

サイドウッドによる共振対策も効いたのだろう。これは室内楽やソロ楽器、女性ボーカルなどが一聴瞭然だ。S/Nがあがり、音数がぐんと増える。「ヒラリー・ハーン」のバッハ声楽曲は、慈しむようなオブリガート（伴奏）が心にしみた。「シャンティ」は声もギターもヌケがよく、余韻の美しさは絶妙だ。ここまでデリケートな表現ができるのかという感じであり、もはや楽器そのものといってよい領域であろう。ハイファイを越えたリアルサウンドと評価したい。

iPodドック「AC-RS5」はオプションで使用可能だ。K2は圧縮音源でサウンドを豊かにする効果がめざましく、手軽な音楽再生にもピッタリだ。新しいウッドコーンで愉悦のときを過ごしたい。

（text:林正儀）