表面の質感や感触のよい凹凸で、ダンボール家具のような温かみと親しみやすさを生み出しているiPod対応デスクトップオーディオシステム「TSX-140」。特に奥行が短めな寸法は、薄型の本棚/ベッドサイドテーブルなどへの設置も可能で、様々な場所での様々な用途に対応できるだろう。

ベッドサイドでの使用を想定するにあたっては、本機の充実したアラームクロック機能に注目したい。本体ディスプレイには現在時刻が大きく表示されて読み取りやすく、アラームの音は、iPod/iPhone、CD、USBメモリー、ラジオから選択可能だ。設定時刻の3分前から再生ソースの音量が徐々にアップして、設定時刻になるとビープ音が鳴るという、インテリアラーム機能も搭載している。音源の鳴り始めには、耳障りな高域成分をカットするといった性能もあり、充実した機能となっている。

また、本機をiPhone/iPodと組み合わせた際の音質の高さと使い勝手の良さも十分だ。ドックはデジタル接続で、iPhone/iPodから鮮度の高いデジタル音声信号を取り出して処理する。さらに、圧縮音声向けの音質補正技術「ミュージックエンハンサー」を適用し、圧縮時に損なわれがちな高域の伸びや低域の厚みを補完する。

加えて便利なのが、USBケーブルでPCと接続すれば、本機がiPhone/iPodのドックにもなることだ。PCと接続した状態の本機にiPhone/iPodをドッキングさせれば、そのままPC内のiTunesとの同期が行われる。

音調は全体に"カッチリ"した印象だ。ピアノの角の立ち方、シンバルのシャープさなどが印象的で、それらに照らし出されるかのように、音場全体も明るい雰囲気だ。特にシンバルは強いアクセントになっており、リズムも強く打ち出される。

ベースは、ウッドベースのボディの深い響きまでは再現しないが、ロックのエレクトリックベースは野太く唸る。前述のようにシンバルは目立つが、ベースの存在感も十分で、バランスは崩れない。

ヘンドリクスのギターは、歪みの粒の粗さがちょうど良く、音抜けも気持ち良い。女性ボーカルの飾らない描写や歌の"素直さ"も好感触だ。中域も充実している。

充実のアラーム機能が本機のいちばんのおすすめポイントだが、音質面にも不足はない。「おはようからおやすみまで音楽に浸っていたい」、そんなユーザーのよき相棒になるだろう。

（text：高橋敦）