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DCD-A100

DENON
DCD-A100 (A100シリーズ)

¥220,000(税抜)

発売:2010年11月1日
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高音質テクノロジー「Advanced AL32 Processor」を搭載したSACDプレーヤー

100周年記念モデル

【SPEC】
<SACD部>●信号方式:1ビットDSD ●再生周波数特性:2Hz〜50kHz(-3dB) ●SN比:119dB(可聴帯域) ●ダイナミックレンジ:114dB(可聴帯域) ●高調波歪率:0.0008%(1kHz、可聴帯域)
<CD部> ●再生周波数特性:2Hz〜20kHz ●SN比:119dB ●ダイナミックレンジ:100dB ●高調波歪率:0.0017%(1kHz)
<総合>●消費電力:23W

※原則として製品発表時のデータを掲載していますので、内容・価格は変更されている場合があります。また、この製品データベースには生産・販売を休止したモデルの情報も含まれています。

テストレポート

フラグシップSXシリーズのサウンドを継承した、高品位アニバーサリーモデル

多くのオーディオファン、音楽ファンの長い信頼の結晶というかたちで、これから紹介するDCD-A100と、プリメンアンプのPMA-A100こそが、A100シリーズを象徴する製品であると筆者は考えている。

デノンブランドの100周年を記念した「A100」シリーズのSACD/CDプレーヤー「DCD-A100」は、フラグシップモデル「DCD-SX」の Advanced AL32 Processorを搭載する。これは16bitの音楽信号を32bit精度のハイビットでアップコンバート処理し、再現することでアナログ信号の滑らかな波形に近づけるデノンオリジナルの技術である。同時に“Advanced ALPHA Processing”で、CDの44.1kHzを16倍にアップサンプリングし、よりきめ細やかな波形を再現する。

本機は同社のSACD/CDプレーヤー「DCD-1650SE」をベースに開発しているが、読者の興味は両モデルの差がどこにあるのかという点だと思う。プレスシートやカタログを見ると、電源部に最新のブロックコンデンサーをチューンして使用、フートに制振性の高い鋳鉄製インシュレーターを奢っていることなどが紹介されているが、メカケースが銅板で補強されおり、剛性の地道な強化が図られたことが本機の隠し味である。他は光沢ブラックアルミパネルのフロントマスク(DCD-1650SEはプレミアムシルバー)、100周年記念ロゴバッジ、デノンブランドブックの同梱といった所だ。しかしデノンの説明によれば、既存の製品のバージョンアップモデルでなく別ラインとして独自の性格を担っているのがDCD-A100である。

というわけで、両機の音質差を中心に聴いた。DCD-1650SEはDCD-SXの思想を継承、異種素材を組み合わせたハイブリッド構造「S.V.H(Suppress Vibration Hibrid)」メカニズムを採用した。SACD/CDの読み取り精度を追い込むために、ドライブメカニズム部のスキュー調整(傾き補正)を行うなどして、配信とPCオーディオ時代にディスクメディアの音質改善に取組んだ中堅グレードの意欲的なモデルであった。1650SEのニュートラルな音質を基本に、DCD-A100は音作りとして中域にリッチな響きの余裕を持たせている。エレーヌ・グリモーの弾くベートーヴェンのピアノコンチェルトは、ピアノの低域の量感の豊かさと、その中の音群の鮮明さ、輪郭と芯を兼ね備えたくっきりとした実在感が見事だ。音像の立体感も一段と前進している。

デノンらしい音の鮮度、解像感、実在描写を堅持しつつ<音楽の艶>を狙っている印象。ここにセンテニアルモデルA100シリーズのマインドと、デノンから音楽ファンへの100年の返礼を見る。

(text:大橋伸太郎)