SDHCに記録できる3CCD搭載のフルHDコンパクトビデオカメラ

ビクターは高品位な業務用映像機器をリリースするメーカーだが、本機はメモリーベースの小型業務用カムコーダー。なお本機から業務用ビデオカメラはワールドワイドでJVCブランドに統一される。

家庭用では掌サイズのビデオカメラも存在するが、業務用ではサイズよりも信頼性、操作性、画質が優先される。とはいえプロでも小型軽量が必要な場面は多く、前述の条件を極力犠牲にせず小型化した業務用モデルはロングセラーになりやすい。GY-HM100は、業務用機としての機能、操作性を維持したまま非常にコンパクトに仕上げられたビデオカメラである。そして後述するが、世界初のQuickTime記録収録対応カメラであることも大きな特徴である。

大型のハンドル、フォーカスリングによる確実な操作感は家庭用では味わえない快適なもの。2系統のXLR端子と外部マイクの搭載は業務に要求されるオーディオ機能に応える。それでいながら本体サイズは約27cm、外部マイクを入れても37cm、重さは1.4kgとコンパクトさが光る。外部マイクホルダーを兼ねたハンドルを取り外すことでさらなる小型軽量なカメラとしても使用可能だ。

エブリオではHDD搭載カメラのトレンドをリードしたビクターだが、本機では衝撃や振動に強いSDカードをデュアルスロットで使う。任意スロットの選択、リレー録画、本体内コピー（バックアップ）と多彩な機能を持つ。なお、2枚のカードへの同じ映像の同時記録には対応していない。

SDカードに記録可能なのがQuickTime形式のMPEG2ファイル。プロ用編集ソフトとして広く使われるアップル社のFinal Cut Proにネイティブな記録形式を採用することで、HDV（キャプチャー時間）、AVCHD（コーデック変換時間）のない効率的な編集ワークフローの構築が可能となる。

実際の画質をチェックしてみた。35Mbpsの高ビットレートに支えられた動画は安定感がある。業務用にしてはコンパクトな1/4inch 3CCDを搭載するため、一見すると画質はややおとなしめな印象を受けるが、子細に見ると黒つぶれや白飛びが少なく、失われた階調が少ない。そのためカラコレ等の補正/加工に対する耐性が強く、コントラストを強めにしたり、彩度を強調しても画の破綻が起きにくい。編集を前提とした業務用機の画質としてはハンドリングしやすいものといえよう。

その芯の太い映像を変換等の時間を要さずダイレクトに編集に持ち込めるのが本機の大きなアドバンテージだ。GY-HM100はテープレス時代の業務用ワークフローへの新しい提案とも言える意欲的なビデオカメラである。

（text：斎賀和彦）