HDMIのCEC機能にも対応

ミドルクラスのAVアンプとして息の長い人気を誇るデノンのAVC-3808に新機能を追加したアップグレードバージョンが登場した。核心となる新機能「Audyssey Dynamic Volume」は、ソースの内容に応じて音量をリアルタイムで自動補正し、本編とCMなどの音量面での違和感を解消する機能である。既存の自動音量補正機能とは異なり、部屋の音響特性の測定データに基づく演算を行うため、精度の高い補正が可能だという。今回新設されたもう一つの注目機能「Audyssey Dynamic EQ」と組み合わせることによって、特に小音量再生時でも迫力を失うことなく、バランスの良いサウンドを実現できる。新たに対応したHDMI CECベースのシステムコントロール機能とともに、視聴環境を大きく改善してくれるはずだ。今回のマイナーチェンジを機にブラック仕上げが追加されるほか、現行機種の有償アップグレードもサポートされる。

サウンドは力感に満ちた安定基調のバランスと明瞭なレスポンスの良さがあり、映画も音楽も聴き手に安心感を与えてくれる。台詞のずっしりとした密度感、エフェクトの伸びやかな広がりも普及機とは明確な差が生まれるポイントだ。注目のダイナミックボリュームは音色を変化させることなく、音量を自然な範囲でコントロールすることに感心した。かなりライブな部屋で効果を他機と聴き比べてみたが、自然な音調をキープするという点で、本機が優位に立つ。そのサウンドは、デノンの中核モデルとしていまも鮮度を失っていない。

（text：山之内 正）