にじみのない再現性と超ワイドレンジを実現

スリムで剛性が高く、内部定在波のない曲げ加工を施した光沢仕上げ木製キャビネットによるシリーズである。組み合わせは自由だが、トールボーイをフロントに、ブックシェルフ型をリアにおいて5.1chとするのが一般的だ。独自のP.P.D.D方式によって小口径ウーファーから十分な低音を確保。フロア型では音響管方式を採用して、いっそう低域の再現性を高めている。またスーパートゥイーターの搭載によって 90kHzの超高域まで再生を可能とした。

スリムなスタイルだが、明瞭でにじみのない再現性を備えている。効果音の切れがよく、音色は厚手で落ち着いているがぼってりした濁りがない。サブウーファーまで統一感のある音調で、それが分解能の高さにもつながっているようだ。

セリフの出方がよく、声の表情が緻密に描き出されている。空間も自然で、奥行きや位置感が明確だ。ごくオーソドックスで映画に必要な音がすべて出ている印象である。

CDでも厚手の音調は変わらないが、にじみがなくナチュラルな質感を備えている。フロントだけではやや低温が足りないが、設定によってサブウーファーを加えれば十分なレベルだ。

text：井上千岳