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PS9200 ver.2

MARANTZ
PS9200 ver.2

¥280,000(税抜)

発売:2003年4月上旬
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THXウルトラ2認証
スケール感溢れる高級機

【SPEC】
●映像入力:コンポジット×7、S端子×7、コンポーネント×2、D端子×2 ●映像出力:コンポジット×2、S端子×2 ●オーディオ入力:アナログ(ステレオ×11、マルチチャンネル×1、メインイン×1)、デジタル(光×5、同軸×5) ●オーディオ出力:アナログ(ステレオ×4、プリアウト×1、ヘッドホン端子×1)、デジタル(光×1、同軸×1) ●スピーカー出力:マルチ
チャンネル ●消費電力:420W ●外形寸法:455W×180H×485Dmm ●質量:22.3kg

※原則として製品発表時のデータを掲載していますので、内容・価格は変更されている場合があります。また、この製品データベースには生産・販売を休止したモデルの情報も含まれています。

テストレポート

高級オーディオ思想に基づく設計

これはPS9200をDTS96/24に対応させ、さらにTHXウルトラ2の認証を得たもの。同時にマランツの「システム-9」と名付けたシリーズの一員でもある。

これはDVDプレーヤーのDV8400や、日本マランツ扱いのB&W「ノーチラス」シリーズなどのスピーカー群を組み合わせたシステム提案だ。そのような高級志向なのである。

高級オーディオ流の設計を端的に示すのが、全7チャンネルに電流帰還型パワーアンプを採用したことだ。これは、出力の変化を電流形式で初段の自己帰還部にもどして電流合成するという負帰還方式の一種だ。電圧形式の場合と比べて負帰還量が大きくなったことになり、非常に広帯域で低歪みの特性が得られる利点があるので、近年いくつかのメーカーがこの方式を採用している。出力は帯域保証で各160W(6Ω)ときわめて強力だ。
音声デコーダーは、定評のあるシーラスロジックの24ビットの固定小数点方式を採用。これを2個使っているのは、THXウルトラ2のためのポストプロセッシングのためだ。マランツ流のステレオソースをサラウンド化するサークルサラウンドは6.1ch対応の「CSII」になっている。DAC(D/Aコンバーター)はシーラスロジックのCS4396を使用。

自然で優雅な音作りは中級機と比べるとさすがにスケール感がまるで違う。CDでは最低域までよく制動され、巨大な音塊を自在に出し入れしている印象。その推進力のある低音に支えられて、小編成オーケストラの繊細情報が見事に再現される。個々のパートがそれぞれの響きを伴いながら、大きな空間印象のホールトーンに終結している様子は高級オーディオそのものの水準だ。

どこまでも角を立てずに、映像でいえば階調性で自然な輪郭を表現する傾向であり、ハリウッド映画の台詞の語勢が少し優雅に整えられているのはやはりマランツ流。しかし言葉に体臭が乗っているのは実によく分る。また戦闘音など、身体をゆさぶる音圧感をたやすくひねりだす豪腕にも感心する。特にB&Wのように謹厳でありながら繊細なモニタースピーカーの系統に対する適性は高い。クールさの中に柔軟性を秘めた現代型ヨーロッパテイストは、このような人一倍の膂力としなやかな指先を合わせ持つアンプになびくだろう。

(text:吉田伊織)