付帯音の絡まないすっきりした音調が心地よい

ＤＶＤオーディオからＳＡＣＤマルチチャンネルまで対応するユニバーサル・プレーヤーである。電源から出力までＤＶＤ系とＳＡＣＤ系を完全独立構成としてそれぞれに最適な設計を採用。トランスもデジタルとアナログを分離したツイン方式としている。また大口径スタビライザーや重量級ダブルボトムシャーシなど、振動対策にも入念に配慮。映像にはファロージャＤＣＤｉ回路を搭載し、滑らかなプログレッシブ画像を実現している。

やや暖色系で厚手の音調を備えている。低域がたっぷりとして掘り下げの深い感触だ。楽器の立ち上がりに柔らかなニュアンスが乗り、それがリアリティの高い実在感につながっている。ＳＡＣＤではその印象が特に強く、マルチでは前後に奥行を伸ばしていっそう生々しさを作り出す。ディテールに歪みを感じさせず、高分解能で滑らかな再現性である。

ＤＶＤの映像はあっさりとした色乗りで細かなディテールが描かれている。暗部での再現性がことに高く、細部まで丁寧に描き出されて鮮明だ。解像度の高い絵だ。色に汚れがなく、清々しいリアリティに富んでいる。

音声にも濁りがなく、付帯音の絡まないすっきりした音調が心地よい。セリフは淡々としていながら表情は細かく捉えている。効果音もシャープに決まるが、刺々しさは感じない。むしろ繊細な柔らかさも備え、ダイナミズムも十分だ。透明度が高く、生成りの感触に富んだ再現性である。

（text：井上千岳）