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B-10II Custom

LUXMAN
B-10II Custom

¥800,000(税抜)

発売:2002年4月
このモデルは生産を完了しています
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【SPEC】
●連続実行出力:500W(8Ω)、1000W(4Ω) ●入力感度:1V/500W(8Ω)(4Ω) ●入力インピーダンス:COAXIAL/50kΩ/BALANCE/100kΩ ●利得(ゲイン):36dB ●全高調波歪率:0.04%(20Hz?20kHz) ●周波数特性:20Hz?20kHz/+0、-0.1dB/10Hz?100kHz/+0、-1.0dB ●S/N比:115dB(IHF-A) ●付属装置:COAXIAL-BALANCE、入力アッテネーター/ライン・フェイズ・センサー ●消費電力:750W(電気用品取締法による規定) ●最大外形寸法:467W×233H×482Dmm ●質量:43.5kg

※原則として製品発表時のデータを掲載していますので、内容・価格は変更されている場合があります。また、この製品データベースには生産・販売を休止したモデルの情報も含まれています。

テストレポート

デリカシーに富んだ大出力アンプ

国内メーカーでは珍しくなった大出力のモノーラルパワーアンプとして知られるB-10の最新バージョン。連続実効出力は500W(8Ω)、1000W(4Ω)。これは、4Ω時に連続で約15.8Aもの大電流が吐き出されるということに相当する。家庭用ブレーカーの基本単位が15Aだから、相当な大電流ということが想像できるだろう。この時の出力電圧だって60V台だから、ただの「弱電」ではないのである。

こういう大出力を安定してひねり出すために、終段のトランジスターは、Pc(許容パワー)200W級のマルチ・エミッター型のものを8パラ、計16個(チャンネル毎)使用している。1Ω負荷では瞬時最大で2300Wも出力できるという。この時の瞬時出力電流はおよそ48Aということになる。このパワーのゆとりが、超低音まで低歪みで再生しようという現代型の広帯域スピーカーを十全に駆動しきれる源になるわけだ。回路技術は最近のラックスの一連の手法を採用。つまり完全バランスCSSC回路、ODβ、ハイ・イナーシャ電源などである。電源トランスについては、800VAのEIコア型を搭載。損失の少ないトロイダル型にしなかったのは、負荷電流のピークが鋭く変換する場合のゆとりを重視したのだろう。平滑コンデンサーは22,000uFという大容量のカスタム品を4本搭載して、自然な手法で電圧変動を長い周期に抑えている。

リアパネルには6接点の固定抵抗切り替え式のアッテネーターが装備されていて便利だ。音質評価はもっぱら-7dBのリファレンスポイントで行った。これは1V入力で出力100Wという条件になる。プリアンプはC-10IIカスタム、CDプレーヤーはD-7カスタムという高級品を使用。まずは大出力アンプにもかかわらず、システム全体の残留ノイズが少ないことに感心した。それと自然な透明感も極上。ごく微小なレベルから輪郭の明瞭な、それでいて精妙な陰影をともなった音声信号が3次元的に姿を現す感動はたとえようもない。大味ではないどころか、デリカシーに富んだ大出力アンプである。

アンドルー・マンゼのバロックバイオリンなど、決してひなびた音ではなく、すこぶる俊敏に音が放射される様子が克明だ。張りが弱くて調律が低いといっても、弓からもらうエネルギーはモダンヴァイオリンよりもストレートに伝わるのであり、発音が速いのは当然なのだが、それが実感できるのである。タンゴのベテランによる、軽薄に躍動しない達観したリズムも克明。現場を共鳴させている肉声の威力まで丸ごと転送されてきて、久し振りに臨場感再生の醍醐味を堪能できた次第。

(text:吉田伊織)