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YSP-1

YAMAHA
YSP-1 (デジタル・サウンド・プロジェクター)

¥150,000(税抜)

発売:2004年12月上旬
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デジタルアンプ、小型スピーカー40個、ウーファー2個をワンボディに一体化

ビジュアルグランプリ2005SUMMER ≪GLA賞≫受賞モデル

【SPEC】
●実用最大出力(EIAJ):120W(2W×40+20W×2) ●入力端子:<音声>アナログ2系統 <デジタル>光2系統、同軸1系統 ●出力端子:<音声>サブウーファープリアウト <映像>オンスクリーンメニュー出力、システムコントロール端子 ●スピーカー部型式:2ウェイ密閉防磁型 ●スピーカーユニット:ウーファー→11cmコーン防磁型×2個(4Ω)、ビームスピーカー→4cmコーン防磁型×40個(10Ω) ●消費電力:55W ●外形寸法:W1030×H194×D113mm(突起部除く) ●質量:13kg

※原則として製品発表時のデータを掲載していますので、内容・価格は変更されている場合があります。また、この製品データベースには生産・販売を休止したモデルの情報も含まれています。

テストレポート

デジタルアンプ、小型スピーカー40個、ウーファー2個を一体化

映画の醍醐味を家庭でも存分に味わいたいなら、立体感を引き出すサラウンド再生が欠かせない。だが、そのための再生システムを本格的に揃えるとなると、スピーカーがたくさん必要で大がかりになりやすく、家庭の生活スタイルになじみにくい。その悩みを解決する方法のひとつが、リアスピーカーを使わないフロントサラウンド再生である。

フロントサラウンドにはいろいろな方式があるが、最近の製品は技術が向上し、以前に比べてサラウンド効果が高まっている。そんななか、特に注目すべき新技術を搭載したフロントサラウンド方式のスピーカーがヤマハから登場した。デジタル・サウンド・プロジェクター「YSP-1」である。

サウンドプロジェクターというのは聞きなれない言葉だが、簡単に言えば、複数のユニットを微小な時間差で駆動して指向性をコントロールし、壁の反射を利用して立体音場を作り出すというのが動作原理である。

YSP-1では小径ユニット40個と各ユニットに対応する40チャンネルのデジタルアンプを駆使して、最大5つのサウンドビームを作り出すことができる。低音用に大きめのユニットを2個積んでいるが、立体音場を生み出す基本的な仕組みは、バッフル板に縦横に並ぶ小さなユニットで構成されているのだ。台詞を担うセンターチャンネルの成分は直接音がリスナーに届くが、5ビームモードの場合、その他のチャンネルはすべて壁面の反射を利用して方向感、距離感を再現する。

今回の製品化は基本技術を開発した英国のベンチャー企業との提携で実現したものだが、ヤマハ独自のDSPやデジタルアンプ技術が大きな役割を担っていることはいうまでもない。複雑かつ高度な技術を投入しているにも関わらずリーズナブルな価格を実現できたのも、ヤマハのデジタル技術の恩恵だろう。

たった1本のスピーカーで全チャンネルを受け持つYSP-1の設置は、基本的にはきわめてシンプルである。「イージーセットアップ」メニューで部屋の形状、サイズ、スピーカー設置位置を指定すれば、大方の効果は期待できる。さらに詳細設定で仮想スピーカー位置や角度などを微調整すれば、音場の空間精度が上がる。

DVDを視聴してまず驚かされることは、空間サイズの大きさと自然な広がり感である。音源から壁面を介して耳に到達するので、実質的にスピーカーを離れた位置に置いたのと同等な効果があり、映画館のように適度に拡散した音がブレンドして耳に届く。その点では、直接音の比率が高い5.1チャンネル再生に比べてメリットがあり、違和感がない。近接視聴した5.1チャンネルシステムに比べるとサービスエリアも広い。

台詞は画面にぴたりと一致し、明瞭感も高い。一方、フロント左右に配分された音楽や効果音のエネルギー感は若干控えめに感じるが、スピーカー後方までカバーする音場の広さには感嘆した。

小型化が容易なので薄型テレビへの内蔵など応用範囲も広い点も注目に値する。本機の技術が浸透すれば、サラウンド再生に革命が起こり、本格的なフロントサラウンド時代がやってくる可能性もある。

(text.山之内正)