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DSP-Z11

YAMAHA
DSP-Z11

¥660,000(税抜)

発売:2007年12月10日
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ヤマハAVアンプのフラグシップ11.2ch AVアンプ“Z11”

ビジュアルグランプリ2008 SUMMER ≪金賞≫受賞モデル

【SPEC】●定格出力:140W×7、50W×4 ●最大出力:210W×7、85W×4 ●音声入力端子:アナログ×11、6ch/8ch×1、光×5、同軸×4 ●音声出力端子:SP OUT×11ch、PRE OUT×11ch、SUBWOOFER OUT×2、REC OUT×4、光デジタル×1、同軸デジタル×1 ●映像入力端子:コンポジット×6、S×6、コンポーネント×4、D5×4 ●映像出力端子:コンポジット×3、S×3、コンポーネント×2、D5×1 ●その他の入力端子:HDMI×5、DOCK×1、USB1.1×2、ネットワーク×1 ●その他の出力端子:HDMI×2、コントロール×1 ●消費電力:630W ●外形寸法:435W×210H×497Dmm ●質量:34.0kg

※原則として製品発表時のデータを掲載していますので、内容・価格は変更されている場合があります。また、この製品データベースには生産・販売を休止したモデルの情報も含まれています。

テストレポート

HDオーディオを鳴らしきるハイパワーと高音質設計

ヤマハのHDオーディオ対応AVアンプラインナップ、待望のフラグシップ機である。HDMI1.3aとロスレス音声デコーダーの搭載は言うまでもないことだが、その他にも取り上げておくべき項目が何しろ多い。

パワーアンプは7ch+4ch構成。「+4ch」という表現になっているのは、その4chはプレゼンス用に特化した50Wの専用出力chという位置づけだからだ。全chに電流帰還型回路を採用し、全ch同一クオリティを達成している。独自の「カレントフィードバック」方式によって全体域での均質なレスポンス、位相乱れの低減などを実現している。

また、立体骨組み構造による高剛性シャーシを採用し、大型トランスを中央に配した「シンメトリーパワーアンプレイアウト」となっていることもポイントだ。左右chの等質性とセパレーションを高めることにつながっている。回路配置的なことで言えば、音声系電源回路部とデジタル/ビデオ系電源回路部が物理的にも十分に隔離されていることも重要だ。もちろん、相互干渉の排除を狙ってのことである。

プリアンプはプリアンプブロック「3Dサーキットストラクチュア」としてまとめられている。4層基盤、ボードtoボード、基準点への最短配置などにより、プリアンプブロック全体のグランドを一体化しているのが特長だ。例えばDACもアナログ入力と共通基盤に置かれ、完全同電位化されている。

アナログ入力にとってグランド整備が重要であるようにデジタル入力では動作クロックが重要であるとの視点から、そこにも注力。VCXO(電圧制御水晶発振器)を利用した位相同期回路を搭載し、音声処理ブロックがHDMIやS/PDIFなどの入力系からのジッターの影響を受けないようにしている。

以上のような回路設計や構造配置による高音質化の他、キーデバイスに高性能品を採用。DACはバーブラウンのDSD1796を全chに採用、オペアンプはナショナルセミコンダクターのLM4562である。その他、大容量トランス、大容量ブロックケミコン、ローノイズショットキーバリアダイオードなど、全ての部品がハイグレード。フラグシップ機ならではの贅が尽くされている。

機能面では、おなじみのCinemaDSPが「CinemaDSP HD3」に一新されたことが最大のトピックであろう。前後の左右上方に配置するプレゼンスchを含めた11.2chシステムを精細に制御することで、音像の高さまでを含めての音場創造が可能となった。

自動音場補正機能「YPAO」もアップデートされ、定在波対策イコライジングの追加などが行われている。もちろん一カ所の測定での補正精度も高められているが、複数箇所での測定にも対応。さらに高精度かつスウィートスポットを広げた補正が可能となった。CinemaDSP HD3との連携も考慮されており、CinemaDSPの音場再現能力をフルに発揮させる調整を行える。

その他も、機能的に不足というところはない。HDMI端子は入力5系統/出力2系統が用意されており、十分な数だ。アナログビデオからHDMIへのアップコンバージョン、1080pへのアップスケーリング機能も搭載。オンスクリーンGUIは多言語対応(6カ国語)となり、それにはもちろん日本語も含まれる。 LAN経由でのPC連携も充実しているほか、リモコンも新デザインとなり、プリセット・ラーニング機能も搭載された。操作性の面も期待できる。

基本的な音質の向上、独自の音場創造機能の強化、機能の先進性、操作性へのさらなる配慮。あらゆる面でHDオーディオ時代のリファレンスとなり得るアンプである。

(高橋敦)