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息を呑む、未体験の精細感

ソニー「α7R IV」レビュー。フルサイズ初の6000万画素超えは伊達じゃない

公開日 2019/09/17 06:15 山田久美夫
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■真の意味でのオールマイティーな超高画素機


厳しいことも書いたが、フルサイズミラーレスの第4世代モデル「α7R IV」は、ユーザーに一切の我慢を強いることなく、超高画素の世界を堪能させるハイエンドモデルといえる。

圧倒的な高解像度と豊かな表現力を、日常で使えるフレキシビリティな形で、気軽に持ち歩ける携帯性の高いボディにパッケージングした、とても実用的かつ実践的なモデルに仕上がっている。

そのため、本機1台で、緻密な風景写真から、動きのある人物や動物、スポーツ撮影、さらにカジュアルなスナップショットまでも、超高精細にカバーできる。真の意味でのオールマイティーなモデルだ。

また、APS-Cクロップ撮影時でも、2600万画素で撮影できるため、普段はコンパクトなAPS-C用のパンケーキズーム「E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS」や、高倍率ズーム「E 18-135mm F3.5-5.6 OSS」を装着して、APS-C機のように持ち歩ける点も隠れた魅力だろう。

実売価格はボディ単体で40万円前後。高額ではあるが、本機に魅力を感じ、その価格に納得できるなら、迷うことなく購入すべきモデルだろう。ソニーのハイエンド機は、ほぼ2年に1度のモデルチェンジであり、ファームアップによる進化も期待できるため、向こう2年間くらいはバリバリ第一線で活躍してくれるはずだ。

ただ一方で、そう遠くない未来、イメージセンサーが劇的な進化を遂げることも予想される。特に機械的なシャッターが不要となるグローバルシャッター搭載センサーが実用化されれば、圧倒的な高速化を実現したモデルが登場することも想像に難くない。また同社は、高感度指向の「α7S II」後継機を開発中であることも明言している。

本機は極めてバランスのよい超高画素機ではあるが、高速性能や高感度性能に特化しているわけではない。そのため、本機の購入を検討するのであれば、本機最大の魅力である“超高画素”をどう評価するかがポイントになりそうだ。

■追う立場から追われる立場へ


“フルサイズミラーレス”というカテゴリーを切り拓いたソニー。これまで一眼レフを追う立場だったが、他社がこぞって同カテゴリーに参入した今、“フルサイズミラーレス”のリーディングカンパニーとして、追われる立場となった。

もちろん6年の先行期間に蓄積したノウハウに加え、イメージセンサーを自社系列で内製できる点は、同社のきわめて大きな強みであり、今後もセンサー技術を核とした進化で先陣を切るのは、ほぼ確実だ。

「α7R IV」は、それら同社の強みが遺憾なく発揮された意欲機であり、機能や性能、実際の写りはまさに第一級の実力。バランスのよさもピカイチといっていい。そのため、仕事用カメラとしてはとても魅力的だし、レンズ性能をフルに発揮してくれる頼もしいボディではある。これほど理性的で、仕事をきちっとこなすカメラは、そうそうない。これだけの完成度を備えたカメラだけに、次にどんな世界を見せてくれるのかという期待も高まる。

だが一方、他社の最新ハイエンドミラーレス機は、性能はもちろん、“使った時の心地よさ”をとても重視した作り込みをしている。それはメカ部や操作部、ファインダーなど、視覚や触覚に訴える感性的な部分の完成度が、撮影時の気持ちを大きく左右し、結果として、いい作品を生み出す重要な要素であるからだろう。

追う立場から、追われる立場となったソニーが、これから取り組むべきは、性能の向上はもちろんのこと、道具としてのさらなる心地よさの追求ではないだろうか。今回「α7R IV」の試用を通して、そのような印象を強く持った。機能や性能重視の理性的なカメラとして進化を遂げてきた「αシリーズ」が、いかにして感性的な部分を纏っていくのか。今後の展開に大いに期待したい。

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