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次はAirPlayがオープンソース化? アップル「開放戦略」の今後を予測する

公開日 2019/01/16 06:00 海上忍
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AirPlay対応のスマートテレビが登場した背景とは

ソニー、サムスン、LG、そしてVIZIO。複数のテレビメーカーが、「AirPlay 2」などアップルの技術をサポートするスマートテレビをCES 2019で発表した。これはAppleがマルチメディア/コンテンツビジネスにおいて戦術転換したことの証明であり、サードパーティーを含む今後のAV機器のあり方に大きく影響すると考えられる。

アップル製品と親和性が高いスマートテレビが登場する

これまでAirPlayは、「アップル製デバイス上の音声/映像をネットワーク経由で他の機器へ配信するストリーミング技術」として存在してきた。当初は音声のみをサポートするiTunesのためのワイヤレス再生技術という位置付けだったが(名称も「AirTunes」)、2010年に「Apple TV」を発表したタイミングで映像もサポートしAirPlayへと進化、音楽だけでなく映画やドラマも楽しめるようになった。2017年には上位互換の「AirPlay 2」を投入、マルチルーム再生など機能強化を図っている。

そのエコシステムはシンプルで、アップル製デバイスと連携したい企業にAirPlayのレシーバー機能をライセンスするというもの。iPhoneやiPad、あるいはiTunes(Mac/Windows)がトランスミッターとして機能し、レシーバーたるワイヤレススピーカーやAVアンプが音声信号を受信し出力するのだ。サードパーティーはアップルとライセンス契約を結べば、膨大な出荷台数を誇るiPhone/iPadとの高品質な接続が保証され、そのエコシステムの恩恵に預ることができる。

ただし、ビジュアル関連機能は例外。映像を受信できるのはApple TVに限られ、AVアンプなどサードパーティー製品は音楽しか受信できない。外部企業にライセンスされるのは旧AirTunesの機能だけという状況がAirPlay登場以来続いていたが、今回のCESで登場したテレビ製品群で状況が一変した。Apple TV(tvOS)だけに許されていた機能が、サードパーティーに開放されたのだ。

テレビでAirPlayのレシーバー機能がサポートされると、iPhone/iPadで撮影した写真/ビデオやVODアプリの映像をテレビの大画面で楽しむことが容易になる。これまでもiPhone/iPadの映像はLightning-HDMI変換アダプタを用意すればテレビで視聴できたが、HuluのようにHDMI出力できないVODサービスがあるほか、正確な1080pでの出力にはならない(RAWのHDMI信号を扱えないためアダプタ内部で変換処理が行われる)という問題がある。

現行バージョンのAirPlay(AirPlay 2)は4K/HDRに対応しないため、CES 2019で発表されたテレビに4KコンテンツをAirPlayすることはできないが、アップルはサードパーティーにiTunes Storeのクライアント機能(アプリ)も開放した。AirPlayを利用した映像再生はどちらかといえばカジュアルな用途で、画質を重視するならテレビのアプリを、というわけだ。

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