【特別企画】アコースティックラボによる試聴会を編集部記者が取材

“石井式”での『良い音の3大要素』を徹底解説 − 「Acoustic Audio Forum」潜入レポート

編集部:小野佳希

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2016年04月25日
オーディオやホームシアターのファンであれば「石井式」という言葉を聞いたことがある人も多いだろう。そんな「石井式リスニングルーム」について、音出しデモを交えながら考えるオーディオ試聴会「第28回Acoustic Audio Forum」が過日に開催された。“良い音”を得るための部屋づくりについて語られた同イベントの模様をレポートする。

進行と講師を務めたアコースティックラボの鈴木氏

■“石井式”における『良い音の3大要素』とは

「石井式リスニングルーム」とは、松下電器産業(現・パナソニック)で長年ハイファイ・オーディオ機器開発に携わってきた石井伸一郎氏が提唱する考え方。オーディオやホームシアターで“いい音”を得るためには、その音を鳴らす部屋の縦横高さの比率が重要であり、「1 : 1.18 : 1.38」の比率が最も良いとされる。

部屋の寸法比で定在波分布をコントロールすることでオーディオ的な音質を追求

その詳細は書籍「リスニングルームの音響学」としてまとめられていたり、石井式の公式ホームページ等でも知ることができる。このような考え方が提唱され、AVファンを中心に長年支持を集めていることからは、「オーディオ機器にこだわるだけでなく、音が鳴る大元である部屋の環境が重要」だということが分かるだろう。

こうした考え方を広く普及させるため、“音楽家のための防音工事専門会社”を謳うアコースティックラボが開催しているのが、本イベント「Acoustic Audio Forum」。個人向けのオーディオルームはもちろん、プロミュージシャンや音楽エンジニアが使うスタジオ構築でも豊富なノウハウを持つ同社が、その知見を基に様々な実験を行うイベントだ。

デモに用いられた機器

同社代表の鈴木氏は「石井氏の著書『リスニングルームの音響学』204ページには『良い音の3大要素』とまとめられた項目がある。今回のイベントではその部分にクローズアップしようという意図だ」と趣旨を説明。

その“3大要素”とは「伝送特性」「部屋の響き」「音像の空間的拡がり」であるとし、「部屋づくりに気をつけると言っても、伝送特性がいいだけでも、響きがいいだけでもダメ。音像の空間的拡がりも、同じ部屋でも機器の配置などで音が変わる」と続け、3大要素のバランスをとり、部屋の比率を整えた先にあるものも意識するべきだとした。

当然だがオーディオ機器でつくられた音はリスナーの耳に届くまでに部屋の伝送特性の影響を受ける

■「寸法比が決定的に部屋の音の性格を決めてしまう」

そもそも石井式のように部屋の寸法比を重要視するのは、定在波の分布が偏在しないようにするため。寸法比がよくない部屋では特定の周波数帯に定在波が偏ったりしてしまい、それによって定在波が耳につくことになるのだ。この点について鈴木氏は「石井式のような寸法比だとよく音が回る。よくない比率の部屋だとブーミングの発生などが気になるようになってしまう」と解説する。

良いとされる比率の部屋(上)では測定結果が各周波数帯域で均等になっているのに対し、良くない比率の部屋(下)では分布がバラバラになっている

オーディオ機器同様に壁や天井も剛性が重要

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