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IFAのオーディオ展示の特徴を具体的にチェック

<IFA>山之内正が見たオーディオ最新トレンド − 日本メーカーの健闘とネットワーク再生の潮流拡大

2015/09/10 山之内 正
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6日間にわたって開催されたIFAが9日に閉幕した。流通や販売関係だけでなく、一般消費者に向けた展示が充実していることがIFAの大きな特徴だが、今年はそれに加えて若年層の来場者の姿が目立っていたように思う。その変化を牽引したカテゴリーの代表がスマートフォンだが、それと同時に、オーディオ関連展示の充実が集客に重要な役割を演じたはずだ。いくつかのトレンドに焦点を合わせて、IFAのオーディオ展示の特徴を具体的に見ていこう。


■ハイレゾを軸に日本メーカーの検討が目立つポータブルオーディオ

DAPの展示はこの数年で急速に増え、特に日本メーカーの健闘が目立つ。キーワードは「ハイレゾ」で、ソニーのウォークマン「ZX100」と「A20シリーズ」、パイオニアの「XDP-100R」、オンキヨーの「DP-X1」など複数の製品がハイレゾ音源への本格対応を実現した。

ウォークマン「NW-ZX100」
特にNW-ZX100、XDP-100R、DP-X1は高級コンポーネントに匹敵するほど音の作り込みが入念で、機能と装備にもこだわりがある。ZX100が本体のみで67,000円、オンキヨーとパイオニアの製品もおそらくその前後の価格帯で登場すると思われ、高級DAPの競争は一気に激しさを増すことになりそうだ。


パイオニア「XDP-100R」
DAPとしてはいずれもハイエンドに分類すべき製品だけに、サウンドの志向は明確で、特に低音の量感と中高域の輪郭などに個性を際立たせた音作りが行われていた。個人的には演出が少なめのZX100が好みだが、それでもZX2よりは低域が分厚く、ハイファイ機器としてはかなり踏み込んだバランスに感じた。

XDP-100Rは躍動感と密度の高さ、DP-X1は粒立ち感を際立たせた音調に仕立ててあるが、いずれも発売までにさらに音を追い込むとのことなので、さらなる改善を期待したい。

オンキヨー「DP-X1」

実用面では、ハイレゾ再生でも45時間使えるZX100のスタミナぶりが突出している。Android仕様のままではここまでの長時間駆動は難しいはずで、機能を絞り込んで音楽再生に特化したことを評価したい。オンキョーとパイオニアの2製品は200g前後でずっしり重く、145gのZX100とは使い勝手に差が出そうだ。

■ホームオーディオはネットワーク再生の潮流が拡大

ホームオーディオのカテゴリーでは、ネットワーク再生の潮流が拡大していることをあらためて実感した。以前から欧州の音楽ファンは、パソコン再生よりも、シンプルなネットワークプレーヤーを好む傾向が強く、ストリーミングサービスが浸透する下地があった。所有する音源の数が多い場合はNASに音源を集めて、LANを介したストリーム再生を楽しむ。そうした再生スタイルを実現するネットワークプレーヤーが幅広い価格帯に多数揃っていることが、欧州市場の特徴なのである。

IFAのオーディオ展示エリアでは、日本ではなじみのないブランドも含め、昨年以上にネットワークオーディオ製品が多数展示されていた。そして、日本のブランドもそうした潮流を見据えた商品をIFAで展開し、流れをリードする姿勢を見せていた。

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