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折原一也がトレンドの変化を考察

CEATEC会場で見かけたもの、見かけなかったもの

公開日 2009/10/08 19:45 折原一也
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10日(日)まで幕張で行われているCEATEC JAPAN(記事一覧)は、日本最大のエレクトロニクスショーとして、最新の製品や研究開発成果を披露する場として定着している。毎年CEATECに足を運んでいる筆者にとって、CEATECの魅力は、その出展内容だけではない。展示内容の変化を俯瞰して眺めることで、翌年以降のAVのトレンドが見えてくる。今年の会場で見かけたもの、見かけなかったものの2つに分けて、それぞれ感想を述べていこう。まずは見かけたものから。

●3D対応モニター・プレーヤー・カメラ
会場全体を通じてのトレンドについて語るのであれば、「3D」は今年も最大のトピックといって間違いないだろう。昨年と異なる点は、3D撮影が可能なカメラや編集システムも含めたトータルソリューション提案が充実していた点にある。3D対応テレビを「来年発売」と明言するメーカーが複数あり、“将来の技術”から脱却し、来年に実用化される技術として、コンテンツ制作などの現実的な課題に目が向き始めている。

パナソニックはブース内で50型PDPの3Dデモを多数実施。来年には発売されるという

ソニーの劇場用3D対応プロジェクター

1眼+240Hz撮影で自然な立体感を撮影できるソニーの3Dカメラのデモ


パナソニックの3D撮影対応カメラ(モックアップ)

パナソニックのBD対応プレーヤーとアクティブシャッターグラス。年末のBD規格策定待ちという

●CELL REGZA
東芝が昨年来から登場を予告していたCELL REGZAが、ついに姿を現した。約100万円という超弩級の価格と性能にも驚かされたが、東芝ブースの展示内容にまた驚いた。発売したばかりのREGZA Z9000を1台も置かず、メインブースの全スペースをCELL REGZAの技術デモとそのバリエーションモデルだけで占めるという徹底ぶりに、同社のCELL REGZAにかける強い意気込みを感じることができた。

東芝のメインブースはCELL REGZAのみの展示

”タイムシフトマシン”など録画機能はモンスター級だ

3D+ジェスチャーUIのデモもCELL REGZAで行っていた

●4K2K・LEDバックライト・超解像技術
薄型テレビの高画質化技術のデモは、例年に比べ若干抑え気味の印象を受けた。しかし、2Dでのさらなる高解像度化を探る試みとして、4K2Kパネルの大画面テレビがパナソニックブースなどで展示されており、発売に向けて着々と準備が進んでいるものと思われる。日立のブースではLEDバックライトや超解像、三菱でも超解像技術のデモが展示されており、これらの新技術を搭載するメーカーはさらに増加しそうだ。

パナソニックはNeo LCD技術としてLEDバックライト搭載モデルのコントラストと動画解像度をアピール

さらにパナソニックは4K2K(3,840×2,160)パネルのプラズマディスプレイも展示

●テレビの未来型サービス
抽象的な書き方になってしまったが、テレビのネットワーク技術の可能性を示すデモは様々なブースで行われていた。なかでも筆者が注目したのは、パナソニックが展示していた“テレビ版テレビ電話”のようなシステムと、日立がデモを行っていた”ハンドジェスチャーUI”だ。共通するのはテレビにカメラを内蔵している点で、現在のノートPCがそうであるように、テレビは次にウェブカメラを取り込んでいくのではないだろうか。

放送とネットの連携。データ放送からウェブに飛ばす仕組みは色々な所でデモしていた

”ヴィジュアルコミュニケーション”はいわば「テレビ版テレビ電話」のようなもの

●エコ
AV機器のエコ技術についても、派手な演出は少ないものの、どのブースにも必ずエコを訴える技術が展示されていた。AVファンの一人としては、日立の顔認識技術を用いたエコ機能のように、クオリティを犠牲にせずに実現できるエコ技術に引き続き注目していきたい。

よそ見していたら画面を消す日立の省エネテレビ技術

●スーパーハイビジョン
NHK/JEITAブースでは"放送の過去から近未来"と題された一連の展示のクライマックスとして、NHKが押し進めるスーパーハイビジョンが登場。ビクターと共同開発したプロジェクターでデモを実施していたのだが、家庭でも実現可能なサイズでのデモという意味で、以前より一歩前進していた。

NHK/JEITAブースは3Dとスーパーハイビジョンを展示

さて、ここまでは当サイトのニュースでもくわしくお伝えしたものばかりだ。次ページでは“見かけなかったモノ”を紹介していこう。

次ページ残念ながら見かけなかったモノたち

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