スピーカーの位置を遠ざけたり、近づけたりしてベストポジションを探った。かなり近くまで寄っても、スピーカーを耳に向ければきちんと定位し、デスクトップにもうまくマッチングすることが確認できた

コンパクトさを活かしてデスクトップに設置
いいスピーカーで音楽を聴くからには、立派なコンポを持たなければいけないのだろうか? いや、そう決めることはない。都会のモバイルなライフスタイルを最大限に生かして、合理的なやり方もある。ポータブルオーディオプレーヤーを使うのだ。

外に持ち歩くポータブルCDプレーヤーが、家に帰ったらメインシステムに早変わり。508PAはそんなスタイルにもぴったりのスピーカーシステムだ。6畳程度の空間を使ってももちろんいいのだが、もっと合理的に「デスクトップオーディオ」を楽しもう。デスクの奥の両端に508PAのスピーカーを据えて、真中に円錐型アンプを置く。その眺めはどこか未来的でもあり、宇宙的でもあり不思議なイメージ。それだけでも大きな期待感が漂うのだ。このバランスを崩さないためにも、再生機器は小型のものを選びたい。

ポータブルCDプレーヤーを接続するのに必要なのはケーブル1本。ステレオミニプラグ→ピンプラグLRのケーブルを使用する。今回は、オーディオテクニカより発売されている「AT5A61」を使用した。電池駆動で使えば電源ケーブルも要らないのでスッキリとまとまるのも、ポータブル機を使う大きなメリットだ。


驚くほど細部の再現性が高く、緊張感溢れるサウンドが楽しめる
実際にポータブルCDプレーヤーを接続して試聴してみた。まず、キース・ジャレットの「ケルン・コンサート」を聴いて驚いた。細部の再現性が良く、アタック→ディケイまでの波形がまったく崩れず、アタックのエネルギーがまったくつぶれていない。そのため、空気感や演奏者の息づかいが見事に再現されている。低域の量感はもうすこしほしい気もするが、これは好みの問題だろう。サウンドの密度や余韻の表現は良好で、緊張感がみなぎっている。

クラシックのシンフォニーも緻密な表現で、演奏者の呼吸をしっかりと伝えている。ポップス系のソフトではヴォーカルの中央定位が見事で、目の前で歌っているようだ。机による反射音もプラスに生かされ、音場が豊かに感じられる。


パナソニックのポータブルDVDオーディオプレーヤー「DVD-LA95」(¥OPEN)と組み合わせた。9型ワイド液晶を搭載し、DVDオーディオやDVD-RAMの再生ができる優れものだ。CDプレーヤーには、10月1日に発売されるパナソニック「SL-CT790」(¥OPEN)を使用した

DVDオーディオと組み合わせればさらに高音質
ポータブルDVDオーディオの再生もしてみた。192kHzのソフトでは、ピアノの豊かな倍音がストレートに再現され、もっとも再生が難しいピアノのアタック音のエネルギーが少しも損なわれていない。瞬間的な大情報量への追随の速さに、タイムドメインならではの昂奮を味わった。DVDビデオでの映画再生も試したが、セリフ・音楽・効果音の分離が良く、映画ならではの臨場感もじゅうぶんに表現してくれた。