HOME > レビュー > アクティブスピーカーを小音量&高音質に鳴らす!モニターコントローラー「Baby RAM」に注目

[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域【第272回】

アクティブスピーカーを小音量&高音質に鳴らす!モニターコントローラー「Baby RAM」に注目

公開日 2023/07/20 06:40 高橋敦
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

Baby RAMは、摺動式可変抵抗器ではなく、ロータリースイッチと固定抵抗を組み合わせた段階式可変アッテネーターによる減衰回路を採用しているのだ。

ロータリースイッチとは、シャフトを回すことで接点が順次カチカチと切り替わっていくスイッチ。その各接点に固定抵抗をつなぎ、スイッチの切り替えで抵抗値を段階的に変化させるように組み合わせたものが、可変アッテネーターと呼ばれるものだ。

こちらはBaby RAMよりずっと小規模なロータリースイッチ。シャフトを回すことで各接点が接続されたり切断されたりする

そして固定抵抗は、抵抗値の大小に関わらず共通の誤差%にまとめられているので、可変アッテネーターはどの音量ポジションでもほぼ一定の精度を確保できる。なので音量をどんなに下げても、左右で人間の聴覚に感知されるほどの音量差が出ることはない。

段階式的な切り替えってことは滑らかな音量調整は苦手なのでは? だったら小音量での使いやすさもイマイチなのでは? なんて心配も不要だ。Baby RAMは24段ロータリースイッチを用いており、♾️=無音|-66dB|-63dB|-60dB|(中略)|-9dB|-6dB|-3dB|0dB=最大のように、3dB刻み24段階の音量調整を実現している。

実際の音量変化の具合はスピーカーとの兼ね合い次第だが、6010Bとの組み合わせでは「1ステップで確かな音量変化を得られ、しかしその中間がほしくなるほど大きすぎる変化ではない」という、実にちょうどよい具合で大満足だ。

具体的にチェックすべく、デスクチェアに座っているときのスピーカーから耳までの距離である約60cmにApple Watchを合わせ、YOASOBI「アイドル」サビ後半再生時のdB値をノイズアプリで簡易測定してみた。

Apple Watchをスピーカーから約60cmの距離かつおおよそ耳の高さに合わせて測定

9時方向(←)の-51dB目盛からスタート。
──
ノブ→測定値(再生中は記載値から±1dB程度の揺れ)
-51dB→56dB
-54dB→54dB
-57dB→50dB
-60dB→48dB
-63dB→45dB
-66dB→42dB
♾️→34dB(再生は無音での室内の暗騒音の値)
──
ちなみに同じ室内でエアコンと扇風機をオンにすると、その動作音が40dB程度。一般に図書館の静かさとされるのが43dB程度。Baby RAMの-66dBポジションとはそのような静かさだ。これまた大満足。なお後述のDIMボタンを使用すればさらに小音量にすることも可能。

そして肝心の音質にも満足した。人間の聴覚には音量が小さくなるほど、低域と高域が弱まったように感じられるラウドネス効果があるので、その影響による変化は当然感じられる。しかし、それ “だけ” だ。以前の環境では顕著に感じられた「これラウドネス効果とかじゃないレベルで実際に高域削れてるよね」は、Baby RAM導入後にはもはや感じられない。

Baby RAMは使い勝手も最高!拡張性にもワクワク



というわけで、本筋である音量調整については大満足! しかもその上、このBaby RAM、使い勝手等の面でも筆者の好みや用途にクリーンヒットだ。

まずは操作感。デカくてΦ的な形状のノブは、つまみやすさも視認性も抜群。ロータリースイッチの心地よいクリック感と相まって、15°刻みの細かな回転も無理なく操作できる。

毎回確実に同じ音量に合わせられるのも段階式アッテネーターの使いやすさだが、回しやすく視認性も高いノブがそれをさらにサポート

OUTPUT 1/2とINPUT 1/2の切り替えは、1つのボタンのプッシュ/プッシュで1/2を切り替える方式ではなく、1と2それぞれのボタンをプッシュしてセレクトする方式。しかもノブと同じくボタンもデカい。おかげでLEDインジケーターなどなくともこれまた視認性抜群だ。

デカボタンが並んでいるのでオンになっている方=ボタンが押されて低くなっている方がわかりやすい

次ページ使い勝手も素晴らしく、拡張性にも期待!注意点といえば……

前へ 1 2 3 4 次へ

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE