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進化した“最強パフォーマンス”をチェック

第5世代「iPad Pro」深掘りレビュー。ミニLEDの搭載は成功か?

公開日 2021/06/01 06:40 山本 敦
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Apple Pencilの書き心地

バックライトを設置するスペースが要らない有機ELディスプレイを選べば、iPad Proはもっと厚みをスリムにできたのかもしれない。アップルがその道を選ばなかった背景には、ミニLEDバックライトのパワーを活かして最大1,600ニットのHDRネイティブ対応を実現するためと、もうひとつ、Apple Pencilによるスムーズな筆記感を実現するProMotionテクノロジーを搭載することを優先したことが理由にあるようだ。

Apple Pencilは引き続き、iPad Proの本体にマグネットで装着して充電する第2世代のペンシルに対応する。パネルの反射防止コーティング、タッチセンサーにカバーガラスと液晶パネルを一体にしたフルラミネーションディスプレイの搭載も同じ。第5世代と第4世代のiPad Proで書き味を比較してみたが、細い線、ベタ塗りともに同等の正確でスムーズな筆記感が得られた。

Apple Pencilによるスムーズな筆記感も変わらない

アップル独自設計のM1チップを搭載

新しいiPad Proが搭載するM1チップも、MacBookやiMacの上位機種に搭載されたものと同じ8コアのCPU/GPU、16コアNeural Engineという仕様だ。RAMの容量が選択するストレージによって変わり、512GB以下を8GB、1TB以上は16GBとしている。

M1チップの性能について、アップルは第4世代のiPad Proが搭載するA12Z Bionicチップと比べた場合にCPUの処理性能が最大50パーセント速くなり、またGPUのパフォーマンスは最大40パーセントの速度向上が引き出せたと説明している。

例えばiPad ProのLiDARスキャナを使うARアプリの体感描画速度を比較してみたが、第4世代のiPad Proの性能も相当に高いためか、体感に表れるほど大きな差は感じられなかった。ただし、アプリの起動にかかる時間は新世代のiPad Proの方が短いと思う。

恩恵は写真・動画撮影に。センターフレーム機能を試す

M1チップに組み込まれているISP(画像信号プロセッサ)とNeural Engineにより、iPad Proのメインカメラで撮れる静止画・動画のクオリティに飛躍が感じられた。特にiPhone 12シリーズが対応するスマートHDR 3にiPad Proとして初めて対応したことが大きい。一度のシャッター操作で露出が異なる複数の画像を撮影してから機械学習を活用してベストショットを合成することで、明るさが足りない場所でも明るく色鮮やかな写真や動画が撮れる機能だ。

新旧iPad Proのカメラで撮影した写真。第5世代機の方が暗い場所でも被写体の輪郭をシャープに捉える。暗部の情報量も豊富。1枚目が新機種

フロント側のTrueDepthカメラにも「センターフレーム」という新機能が加わった。新しいiPad ProのTureDepthカメラはイメージセンサーの解像度が7MPから12MPに向上、122度・超広角レンズを新たな武器としている。FaceTimeやZoomなど、アプリごとにオン・オフが選べる「センターフレーム」を設定からオンにすると、広い画角でキャプチャしているTureDepthカメラの動画から被写体となる人物の周辺を切り出して、画面の中央に収まるように自動でフレーミングしてくれる機能だ。

センターフレームが追跡できる被写体は人間のみ。ペットの見守りには使えない。例えば2〜3人の家族が集まってビデオ通話に参加したい場合は全員がフレームに入るように調整してくれる。

ビデオ通話の最中にフレームアウトしたら、散らかっている家の様子が相手に見られてしまったという悲劇が起きないように、アプリの設定からセンターフレームをオフにもできる。FaceTimeアプリで試してみたところレンズの画角も標準のまま、いきなり超広角に切り換えて部屋の隅々まで写してしまうこともなかった。

背景に散らかった部屋の様子を映したくない時には、アプリ単位でセンターフレームをオフにもできる

Proらしい最強のパフォーマンス

ほかにも最新のiPadOS 14.6ではソニーのDualSenseワイヤレスゲームコントローラーをペアリングしてApple Arcadeのゲームが楽しめる。ThunderboltとUSB 4規格による高速伝送にも対応するUSB-Cポートから、高解像度の外部モニターに映像を送り出すこともできる。

最新のiPadOSはソニーのワイヤレスゲームコントローラー「DualSense」にも対応。12.9インチのiPad Proの大きな画面で迫力あふれるゲームが楽しめる

有線接続のUSBストレージから最大40Gbpsというハイスピードでデータの読み込み/書き出しにも対応した。フォトグラファーや音楽クリエイターなどiPadを創作方面の仕事や趣味に活かすことを検討している方には、最新のiPad Proはとても頼もしいパートナーになってくれるだろう。

iPad ProのUSB-Cポートに直結できる、ハイレゾ対応DACを内蔵するポケットサイズのヘッドホンアンプに魅力的な製品が増えている。6月にApple Musicのハイレゾ配信がスタートしたら、また新しいiPad Proによる音楽再生もチェックしてみたい。

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