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【特別企画】専用フルレンジAMTドライバー搭載

“AMTの伝道師”が発明したヘッドホンの革命児、「HEDDphone」の実力に迫る

公開日 2020/06/02 06:30 岩井 喬
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ここで取り入れたのが「VVT」という新たな技術である。特許出願中であるため、その具体的な技術の詳細は公開されていないが、10〜40,000Hzまでを単一AMTで駆動できる構造で、カプトンフィルムに設けられたコイル形状を刷新するとともに、ダイアフラムの折り畳む幅や深さについてもVVT用に改められているという。

一般的なAMTトゥイーターは、背面側が磁気回路で塞がれた構造だが、VVTは平面磁界駆動型と同様に、ダイアフラムの前後にスリット状の磁気回路を用いたオープン構造となっている。理想的なプッシュプル構造に仕上げられたともいえ、AMTトゥイーターよりも大きなフィルム面積を持つVVTは、かつてのAMTミッドレンジを彷彿とさせる大きさだ。

ハウジングは強力な反発磁界を抑え込むため厚みのある構造で、樹脂系素材とアルミを巧みに使い分けたつくりとなっている。

電磁ドライバーゆえに重量感のあるデザインだが、装着時の負担を軽減するために、うまく圧力分散が考えられた構造を持つ。見た目よりも不思議と重さを感じさせない。持った時の手触りや継ぎ目の目立たないデザインも美しく、いかにもドイツらしいクラフトマンシップを感じさせてくれる

ケーブルは左右両出しでミニXLRコネクターによる着脱式。イヤーパッドは厚みがあり、レザー素材による肌触りのよい仕上げを用いている。

耳を覆う部分をリスニングルームと捉えて、肉厚で立体的にデザインされたイヤーパッドを搭載。ケーブルはミニXLRによる着脱式だ

アコギの鳴りが克明でリアル。クリアで奥行きの深い音場性

それでは実際にHEDDphoneRを鳴らしてみよう。インピーダンスは高くはないが、能率は低めなので、駆動力のあるヘッドホンアンプを組み合わせたいところ。試聴ではラックスマン「P-750u」を用いた。USB DACは同じラックスマンの「DA-06」だ。

「HEDDphone」はオープンエアー型。心臓部のダイヤフラムのイエローが覗く、機能美あふれるフォルムだ。なお、スピーカーのトゥイーターに採用していたAMTの原理を、フルレンジのヘッドホントランスデューサーに拡張するために、折り畳みの幅と深さが異なる、新しいダイアフラムジオメトリーを導入しているという

実に爽快で音像の滲みがないナチュラルで緻密なサウンドを聴かせ、高解像で分析的な傾向と、抑揚深く音楽的で躍動感あふれる表現を巧みなバランスで両立している。クラシックの管弦楽器はキレよくしゃっきりと立ちあがり、ハーモニーの響きも精緻な表現だ。低域の伸びやホールのウォームな余韻も音がただ充満するのではなく、空間性を持っていて、階層的に空間を描き出す、非常にリアルで澄み切った音場が展開している。

旋律の抑揚は生き生きとしておりS/Nもよい。アコースティックギターの弦もピッキングのスピードが極めて速く、ボディの鳴りもキレよく克明に描く。ボーカルの口元のニュアンスも細かく艶やかに引き出し、ナチュラルで潤いの溢れた表情を見せる。リバーブのプリディレイ成分まで綺麗に見通せる、クリアで奥行きの深い音場性も魅力だ。

折り畳んだダイアフラムを引き延ばすと平面磁界駆動型と比較して数倍の振動板面積を持っており、その巨大なダイアフラムがハイスピードで繰り出すサウンドは他の手法では引き出せない唯一無二のものである。

このHEDDphoneに続く他のAMT採用ヘッドホンも準備を進めているそう。HEDDの今後の展開も実に楽しみだ。



本記事は「プレミアムヘッドホンガイドマガジンVOL.14」からの転載です。

(協力:コンチネンタルファーイースト株式会社)

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