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SQ-N150/D-N150

日常を彩るデザインと高音質が同居。ラックスマンの真空管アンプ&プレーヤー「Neo Classico II」レビュー

公開日 2018/12/20 06:15 土方久明
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Bulk Pet転送によるUSB-DAC機能を試してみた。Bulk Petの制御プログラムが含まれた専用ドライバーをMacBook Proにインストール。次にシステム環境設定からラックスマンのアイコンをクリックして、Bulk Pet設定画面を表示させる。筆者の知る限り、他社製品ではBulk Pet設定は4つ選べたが、本機は2つ。本機のために特に最適化した2つの設定を用意しているとのことだ。

コンパクトな真空管アンプとプレーヤーの組み合わせからは想像つかないほど、魅力的で色彩豊かなサウンドが楽しめる

レニー・クラヴィッツを改めて再生して音質を確認した。先に再生したアイソクロナス(Isochronous)転送が大量のデータを一気に流すのに対して、USBの帯域を監視し転送するデータを可変させるのがBulk Pet転送だ。「mode1」では一聴して中域に厚みが出て、バスドラムの重心が下がる。ボーカルの表現に厚みも出るようだ。「mode2」ではさらにバスドラムに重量感が出て、低域のパワー感が上がって聞こえるなど大きな変化があり、個人的な好みは躍動的なBulk Petのmode2だった。

アナログプレーヤーとの組合せでも感じた真空管の魔法

CDプレーヤー D-N150単体での音も確認するために、アンプは編集部備え付けのリファレンスに変えて、先ほどのマイルス・デイヴィスをもう一度聴いてみた。曲冒頭のスタジオの暗騒音の中で聴こえてくるマイルスの話し声からして生々しい。ミュートトランペットの音はクリアで、抜けの良い音でありながらしっかりとした厚みがある。D-N150の音も良い。色艶の良い現代的なサウンドで、1つ1つの音を立体的に描き出してくれる。

さて、プリメインアンプ SQ-N150には、MC/MM対応のフォノイコライザーが搭載されている。真空管というコンセプトに惹かれる方なら、レコード再生にもきっと興味を持たれるだろう。同社最新のアナログプレーヤー「PD-151」に、フェーズメーションのカートリッジ「PP-2000」を組み合わせ、ダイアナ・クラール「ターン・アップ・ザ・クワイエット」を再生した。

この組み合せが鳴らすのは、レコードらしい滑らかな質感を引き出しつつ、実にハイファイな音だ。原音に忠実なトーンバランスを基軸として、ベースやドラムの明瞭度も秀逸。少ししゃがれた雰囲気のダイアナ・クラールのボーカルも、音像豊かにしっかりとセンターに定位する。さらにピアノの質感の良いことに気がつくが、これはSQ-N150の持ち味でもある

PD-151とは音質的な相性だけでなく、デザインのマッチングも良好で、回転するターンテーブルとガラス管の中に灯る暖かい光、そして、その光とシンクロするように暖色系の照明にこだわったアナログ指針メーターが、音楽に向かう気持ちを高めてくれる。

ラックスマンの新型アナログプレーヤー「PD-151」と組み合わせてレコード再生もチェック

正直な感想として、試聴した3モデルはかなりクオリティが高い。デジタルファイル再生を推す筆者の個人的な要望点としてはたった1つ、D-N150のUSB入力がDSDに対応して欲しいくらいだ。それにしても、真空管には何か魔法があるのだろうか。同じような価格帯のソリットステートのアンプで、今回感じたような音楽性を出すのはとても大変だと思う。しかもこの小型ボディでそれを実現したのは素晴らしいの一言。これぞ真空管の魅力だと言うしかない。



近年の同社は、音質を追求したハイエンド志向のオーディオ製品をラインナップすると同時に、小型高性能のUSB-D/Aコンバーター「DA-250」や「DA-150」を発売して、若者のファンを増やしてきた。そこで培われた「音質を担保しながら小型化を行うノウハウ」が、この2つの製品には活かされていると推測できる。

2台ともモダンなインテリア空間にも馴染みやすく、今回試したようにアナログプレーヤーと組み合わせて再生の幅を増やすのも良いだろう。ラックスマンはこれまでにも、歴史的に弩級のモデルによる強烈なハイファイ再生の探求を追い求めつつ、ライフスタイルを豊かにするようなオーディオ製品を投入してきたが、この2機種はその集大成となる傑作モデルとなりそうだ。

(土方久明)

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