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オーディオの真価を引き出すふたつの革新的アクセサリー

“驚異の静寂”をリスニングルームへ。テロスの仮想アース装置「GNR Mini 3.1/QNR 3.1」レビュー

公開日 2018/06/21 14:33 炭山アキラ
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今やひとつのアクセサリー・ジャンルとして定着した感がある「仮想アース装置」。そのなかでも台湾のテロス・オーディオ・デザイン社が打ち出した「Grounding Noise Reducer(GNR)」は、「理論通りのアース」を実現する革新的な製品だった。そんなテロスが2018年2月に発表した「Grounding Noise Reducer Mini 3.1(GNR Mini 3.1)」と「Quantum Noise Resonator 3.1(QNR 3.1)」は、GNRをコンパクトかつシンプルにした製品である。2製品の実力に迫る。

アクティブアース発生器 「Grounding Noise Reducer Mini 3.1(GNR Mini 3.1)」(写真右)¥255,000(税抜)/電源ノイズ低減器「Quantum Noise Resonator 3.1(QNR 3.1)」(写真左) ¥215,000(税抜)

テロスより発売されるノイズ対策の新たな解答

「仮想アース装置」がここ数年で大きな人気を呼んでいる。先取り的に発表したアコースティック・リヴァイブに始まり、ブームの火つけ役となったエントレックなど、いくつもの社から製品が登場して、すっかりひとつのアクセサリー・ジャンルとして定着した感がある。私自身も何度となくテストしたが、混迷するアースに対する、大変有効な対策であることは間違いがない。

そんな中、台湾で2006年に誕生したオーディオブランド、テロス・オーディオ・デザイン社が世に送り出した、「Grounding Noise Reducer(GNR)」はまさに革新的ともいえる製品だった。一般の仮想アースはカーボンや金属の小片など電位を吸収する素材を蓄えており、ケーブルをつなぐことでオーディオ機器のアース電位を下げるという簡単な動作原理だが、GNRは内部になんとCPUを持っており、接続した機器のアースの状況をデジタル変換することで測定、解析し、電位をほぼ0Vのフラットな状態にする。つまり、これまで絶対に成し得なかった「理論通りのアース」が実現したことになるわけだ。そして、その性能は実際に試しても、やはり絶大なものだったのである。

そんなテロスより新たに、「Grounding Noise Reducer Mini 3.1(GNR Mini 3.1)」と、「Quantum Noise Resonator 3.1(QNR 3.1)」が登場した。GNRをよりコンパクトかつシンプルにした製品である。回路機能はGNRと共通点であるが、そこに搭載された機能を分断して独立させた内容となっている。これらのモデルの共通として、ノイズを量子化レベル(つまりデジタル変換)で解析して、光へと変換するという特徴を持つ。今回は、これらを自宅のオーディオシステムで試聴する機会に恵まれたので、その効果をお伝えしたい。

微小信号がくっきり浮き出し音の品位が底上げされた

まずはGNR Mini 3.1から試してみた。価格はGNR¥600,000/税抜)の半額以下と手頃で、片手にも収まり非常にコンパクトな仕上がりだ。アルミ削り出しによる筐体が見た目にも美しい。付属アース線の先端Yラグをプリアンプへ接続して音を聴いた。

GNR Mini 3.1の内部。上位のGNR(¥600,000/税抜)に搭載された基幹技術であるCPU Calculation Moduleの搭載に加え、ノイズ コンバージョンデバイスやOFCトランスフォーマー、またテロスが独自で開発するQuantum Fuseなどパーツ類についても、GNRと同様のものを採用している

我が家は簡単ながら電源周りに対策を施してあり、こういったアース関連がどれほど効くか実のところ少々心配だったが一聴して、明らかにノイズフロアが下がり、音のトゲやバリが治まっているではないか! しかも、僅かなノイズに埋もれていた微小信号がくっきりと浮き出してきて、音の品位が1段も2段もアップしてしまった。それでいて、副作用らしきものはまったく聴こえてこない。

アース端子が2系統装備されているので、試しにデジタルプレーヤーにもつないでみたら、確かに向上するような気もするが、プリアンプほどの変化ではなかった。これは、プリアンプとケーブルでアースがつながっているため、そちらでの効果がより大きく得られたと考えられる。また、我が家は電源ラインのアースがつながっていないので比較はできなかったが、以前本誌試聴室でGNRを試した際には、やはりアースラインがつながっている方に優位性が認められた。これは、アースの欠点を除去し、美点のみを残すというテロス製品の持つ特徴に他ならない。

GNR Mini 3.1の端子部にはWBT製を採用。合計2系統を備えており、これによって、ケーブルによる機器間のアースを連結させて使用することができる

iFi audio のAC iPurifier(¥16,000/税抜)とは非常に相性の良い組み合わせ。AC iPurifierは、アースが来ていない日本では通常「ディファレンシャル・ノイズ・リダクション」しか機能しないが、GNR Mini 3.1と組み合わせれば、 コモンモード・ノイズ・リダクション回路も活用することができるようになる

QNRが音楽の本来持つ豊かさを発揮させてくれる

続いて、QNR 3.1を試聴する。本機は電源ノイズ低減器で、ACの空きコンセントへ挿すだけで使用することができる。電源に孕むノイズを瞬時に検出し、位相の歪みを補正、またその際に検出されたノイズ成分をLEDの光に変換する、という仕組みになっており、内部は8つのLEDと接続されたコンセントの電源波を検出するプロセッサから構成されている。

QNR 3.1の内部。回路構成はGNRのものを基本とし、GNRに2つ搭載される、Noise Elimination Deviceを抜き出したものとなる。GNR mini同様、内部CPUによって検出された電源ノイズを光エネルギーに変換して放出する特徴をもつ

我がレファレンスに加えてみると、音にグッと厚みが出て非常にふくよかで安定した再現となった。ただ余分な膨らみを加えるのではなく、音楽が本来持ち合わせる豊かさのようなものを存分に発揮させられた印象だ。また、本機は商用電源と直列には回路が入らず、大電力を供給しても問題ないのがうれしい。

GNRやGNR Mini 3.1と同様にQNR 3.1も、副作用を感じさせず音を素直に、そして大幅に向上させてくれた。安心して多くの人に薦められる2モデルだ。

(炭山アキラ)


<Specification>
【Grounding Noise Reducer Mini 3.1】●アース端子:WBT-0703NEXTGEN ポールターミナル(金メッキ)×2●構成:クァンタムフューズ、グラウンドノイズコンバージョンデバイス、ステータスインジケーター、スペシャルハイクオリティOFCトランスフォーマー
【Quantum Noise Resonator 3.1】●構成:ノイズコンバージョンインダクター、ノイズリデュケーションモジュール、クァンタムレゾネーションモジュール【共通】●取り扱い:ENZO j-FiLLC.、(有)トップウイング



本記事は「季刊・オーディオアクセサリー 169号 SUMMER」からの転載です。本誌の詳細および購入はこちらから。

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