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ポータブルから据え置きシステムまで

【レビュー】パイオニアの密閉型ヘッドホン「MONITOR5」を、人気DAP/アンプ 5機種で聴いた

公開日 2017/09/11 11:20 野村ケンジ
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パイオニアの密閉型ヘッドホン最上位機の実力を検証

パイオニア「SE-MONITOR5」(関連ニュース)を端的に説明すれば、パイオニアのヘッドホンにおける密閉型モデルのハイエンドだ。そして、フラッグシップの開放型モデル「SE-MASTER1」に次ぐ高級モデルということになる。

SE-MONITOR5(実売価格¥107,000前後)

“MONITOR"というネーミングは、「MONITOR10」をはじめとするパイオニアのかつての銘機からフィーチャーされたものだ。ただし今回のSE-MONITOR5は、スタジオモニター専用機という位置付けではないようで、モニター用途とリスニング用途の両方で活用できるよう作り上げられていることが、デザインとサウンドの両面からうかがえる。

実際、パイオニアはハイクラスのヘッドホンについて、ハイレゾ対応・開放型モデルを「MASTERシリーズ」、ハイレゾ対応・密閉型モデルを「MONITORシリーズ」として今後展開する予定だという。だからこのSE-MONITOR5も、モニターという言葉にとらわれすぎずに、パイオニアの密閉型ヘッドホンのトップエンドとして捉えた方が本質を見失わなそうだ。

というのもこのSE-MONITOR5は、サウンドとユーザビリティをとことん(そして生真面目なくらい)真面目に追求した、パイオニアらしさ溢れるヘッドホンに仕上がっているからだ。

同梱の純正ケーブルを装着したところ

イヤーパッドを外したところ。堅牢なハウジングが見て取れる

外観はご覧の通りSE-MASTER1に近いデザインに仕上げられている。ドライバーを背面固定するフルバスケット方式や、ベースとハンガーの接合部をゴム部材で浮かせるフローティング方式なども、SE-MASTER1から継承されている。その一方で、ドライバーベースやハウジングにマグネシウム合金を用いるなど、本機独自のアプローチも随所に見られる。

また、密閉型でありながら自然な音色と音場を追求するため、ハウジング内部にディフューザーを設置。さらにメインとサブの2重チャンバー構造を採用してその間に音響孔を設けるなど、歪み感のない自然な響きを追求していたりする。

イヤーパッドは皮製とベロア製の2種を同梱。好みによって交換できる

着脱式のケーブルは、3.5mmプラグによって左右のハウジングそれぞれと接続する方式を採用。汎用性と耐久性を高めた(SE-MASTER1のMMCX端子も汎用性という面では悪くなかったが)。ケーブルは、2.5mm 4極バランス端子採用ケーブルを含む3種類を同梱。ポータブルからホームユースまで、幅広い活用ができるよう配慮されている。また、イヤーパッドは取り外しが可能なことに加え、ベロア仕上げとレザー仕上げの2タイプを同梱。音色傾向や肌触りの好みで使い分けることができる。

セルロースナノファイバー振動板採用をはじめ、サウンドに徹底的にこだわった

このように、ユーザーに対する気づかいに溢れたSE-MONITOR5だが、当然のごとくサウンドに対するこだわりも深い。

まず、搭載されるドライバーユニットには、先日発表されたバーチカルツイン型の上級スピーカー、「S-PM50」(関連ニュース)と同様にセルロースナノファイバー振動板を採用。鋼鉄の1/5の軽さと5倍の強度を併せ持つ高強度素材を用いることで、ダイナミックな表現と歪み感のないクリアさを両立させた。さらに、振動板とエッジを分割したフリーエッジ構造やエッジ部にエラストマー素材を採用するなど、細部まで徹底した音質追及が行われている。

ここまでの説明でハタと気がつく人もいることだろう。SE-MONITOR5は密閉型だったり、2.5mm 4極バランス端子ケーブルが同梱されていたりと、ポータブルを主眼に置いた製品コンセプトと言える。その一方では、セルロースナノファイバー振動板やフリーエッジ構造を採用するなど、据え置きのスピーカーシステムを連想させるような音質最優先の技術やパーツが多用されている。もしかすると、このヘッドホンには「ホームオーディオ級のサウンドをポータブル環境でも楽しめる」という狙いが込められているのではないだろうか。

そこで今回は、SE-MONITOR5をポータブル環境と据え置き環境の両方で試聴して、実力がどう発揮されるか、様々な製品との組み合わせで試してみようと思う。

人気&定番のポータブル/据え置き機器を用意して、MASTER5のポテンシャルをどこまで引き出せるか試みた

今回の試聴ではベロアのイヤーパッドを用いた

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