フルデジタル伝送を用いたEXAKTシステム

【製品批評】LINN 「KLIMAX EXAKT 350/1」 ― 新DACで「演奏者がこちらに迫ってくる」

山之内 正
2017年08月16日
製品批評


EXAKT スピーカーシステム
LINN
KLIMAX EXAKT 350/1
¥7,500,000(税別/ペア)
※ARTIKULAT/KLIMAX 350Aもしくは350PからのEXAKT+Katalyst仕様へのアップグレード¥4,200,000(ペア/税別)




「KLIMAX EXAKT 350/1」のベースモデルは、EXAKTスピーカーのフラッグシップとして2013年に登場した5ウェイ6ユニットのフロア型スピーカー「KLIMAX EXAKT 350」で、EXAKTエンジンとパワーアンプ6基をキャビネット背面のアンプモジュール部に一体化しているにも関わらず、通常のスピーカーとほぼ変わらないサイズにまとめられている。

リンのスピーカーを象徴する3Kアレイとウーファーユニットそれぞれに独立したパワーアンプを内蔵しており、計3,000W(1,000W×2、400W×2、100W×2、いずれも4Ω)と単体モデルをしのぐほどの大出力を生み出す。350/1は内蔵するEXAKTエンジンのDAC回路部分のみをKatalystに変更した最新モデルで、ユニットやアンプの構成は350と共通する。DACアーキテクチャーを変えただけでどこまで音が変わるのか、非常に興味深い。

EXAKT LINKでEXAKTヘッドユニットと直結するため、フルデジタルでの伝送となる

EXAKTシステムが誕生したとき、従来型のパッシブネットワーク回路で起きていた音質劣化の大きさを思い知らされ、唖然とした記憶がある。劣化要因を体系的に排除することがEXAKTのアプローチだが、その効果は今回のシステムでもすぐに聴き取ることができる。位相の回り込みが引き起こす音像のにじみや空間情報のぶれがなく、低音から高音まで一音一音の立ち上がりが音域ごとに揃うのだ。

旋律だけでなく内声を受け持つ楽器まで音像のフォーカスがピタリと揃い、ヴォーカルやソロ楽器の輪郭からにじみが消えて本来の立体感を取り戻す。クラシックではステージとの距離が3〜5列分ほど近づく印象があり、ジャズでは逆にミュージシャンがこちらに数歩迫ってくるような感覚だ。いずれにしても演奏と聴き手の間に介在していた余分なものがすっかり消失したように感じる。

意識しなくても旋律が自然に浮かび上がり、声や弦楽器の音色が本来の艷やかな感触や柔らかさを取り戻すのは、DACアーキテクチャーにKatalystを採用したこととも関係がある。KatalystはDAC内の各プロセスに独立した電源供給回路を用意したことに加え、基準電圧の管理を徹底してDA変換の精度を振幅方向でも大きく改善する。音色の忠実な描き分けはまさにKatalystがもたらす重要な効用なのだ。

スペース・オプティマイゼーション機能によるリスニング環境に合わせた補正も効果的に働く

その改善効果とEXAKTの高精度な音場再現が相乗効果を生むのか、演奏の臨場感と高揚感はKLIMAX EXAKT 350/1の方が確実に前作を上回る。LINNのシステムがまた一歩原音に近づいたことを喜びたい。

(山之内 正)

Specifications
●型式:EXAKT 5ウェイ6スピーカー・アクティブ型●サイズ:404W×482D×1130Hmm●質量:71.2kg(ベース部含む)●再生周波数特性:20 Hz〜33kHz(±3dB)●端子:EXAKTメス、EXAKTオス●パワーアンプ:1000W/4Ω×2、400W/4Ω×2、100W/4Ω×2●消費電力:スリープ時0.05W以下、音楽再生時250W●仕上げ:ブラック、ウォルナット、ローズナット、チェリー、オーク、ホワイト(RALカラー特別仕上げ210色追加料金:¥180,000ペア/税別)3K Arrayはクロム仕上げ、マットブラックの2種●取り扱い:(株)リンジャパン



※本記事は「季刊オーディオアクセサリー」165号所収記事の一部を抜粋したものです。くわしいレビューは雑誌でご覧頂けます。購入はこちらから