ファイル・ウェブ「アナログレコード特集」

入門者にオススメ!アナログプレーヤー(4)パイオニア「PLX-1000」

石原 俊
2016年06月30日


DJ機器でのノウハウを満載。高い剛性を誇るボディが魅力的
PIONEER PLX-1000
¥OPEN(予想実売価格74,000円前後)


==こんな方にオススメ==
ベテランにもお薦め

本項は「入門者にお薦めの」という趣旨だが、このモデルはアナログ道楽をし尽したベテランにもお薦めしたい。本文中には記さなかったが、本機のサウンドは1950年代に開発されたドイツ製の放送局用業務機を彷彿とさせるものがある。そのモデルは中古市場でも法外な値段で取引されているようだが、本機はその十分の一以下の出費で手に入る。



■ミュージシャンの思想がダイレクトに伝わる

パイオニアが2014年に発表したDJ用ダイレクトドライブ式機である。このジャンルでは、2010年に生産を完了したテクニクスのSL‐1200系のモデルが非常に有名だが、本機はその流れを汲むものといっていい。驚くべきは筐体の剛性の高さと各部の作りの良さである。おそらくはクラブシーンでハウリングを絶対に起こさないための配慮であろう。スタティックバランス式のS字型トーンアームのチューブ内はゴムで整振されている。トップパネルには亜鉛ダイキャストが奢られており、8mm厚の樹脂製ボトムパネルには振動抑制材が貼られている。本機にはヘッドシェルは付属しているが、カートリッジはオーナーの選択にゆだねられている。業務機であるがゆえに、民生機のようなサービスはしていないのだ。

カートリッジが付属していないのでオーディオテクニカのAT-150LMXを装着して試聴を行ったのだが、そのことを差し引いても非常に良好な音質である。日本が世界に誇れる音といってもいい。筆者は仕事柄、数百万円のプライスタグのつけられたプレーヤーをしばしばテストしているが、本機のサウンドはその種のモンスターと比較しても全く遜色がないのである。分解能や音場の広さは一歩譲るものの、音楽の生命感は本機に軍配が上がるのだ。

ジャズはエクセレント。音場感は希薄ではあるのだが、とにかく音像の突進力が素晴らしく、ミュージシャンの表現や思想がダイレクトに伝わってくる。

ヴォーカルは、いわゆる「趣味のオーディオ」めいた質感はない。清潔さとか濃厚さとか、そういったカラーレーション的な表現を超えた本質的なリアリズム感があるのだ。この音を聴くと、アナログ再生を特徴づける演出的な部分は、プレーヤーよりもむしろカートリッジやフォノイコライザーですべきなのかもしれないと思う。

クラシックは非常にシリアスだ。クラシックのレコードをかけることなどは想定せずに作られているのだろうが、その素っ気なさがかえって好感度につながっている。音楽的情報量は抜群といっていい。個人的にも使ってみたい意外性のある超優秀機である。



【SPEC】
●駆動方式:クォーツサーボ式ダイレクトドライブモーター:3相ブラシレスDCモーター ●ブレーキシステム:電子ブレーキ ●回転数:33 1/3rpm、45rpm ●回転数調整範囲:±8%、±16%、±50% ●ワウ・フラッター:0.1%以下 WRMS(JIS WTD) ●SN比:70dB(DIN-B) ●ターンテーブル:アルミダイキャスト(直径332mm) ●起動トルク:4.5kg・cm以上 ●起動時間:0.3秒(33 1/3rpm時) ●アーム形式:スタティックバランス型 ●有効長:230mm ●オーバーハング:15mm ●トラッキングエラー:3°以内 ●アーム高さ調整範囲:6mm ●針圧可変範囲:0g〜4.0g(1目盛0.1g)●適正カートリッジ質量:カートリッジ単体(3.5g〜13g) ●外形寸法:453W×159H×353Dmm ●質量:13.1kg ●ダストカバー:付属 ●取り扱い:パイオニアホームエレクトロニクス(株)



このコンテンツは「やさしくできるアナログレコード再生の本」からの転載です。
詳細はこちら