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【特別企画】鴻池賢三が製品の魅力をチェック

革新的バックライト技術を搭載した4Kブラビアの高画質モデル − ソニー「X9300D」の実力にVGP審査員が迫る

2016/06/03 鴻池賢三
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ソニーの4Kブラビアに新モデルがラインアップされた。その名もX9300Dシリーズ。新開発「Slim Backlight Drive」を搭載し、Ultra HD Blu-rayや各種配信サービスのHDRにも対応。画質とスタイリッシュなデザインを両立させた魅力的なモデルに仕上がっている。

VGP審査員でもある評論家の鴻池賢三氏が製品をチェック

■4K&HDR時代の到来に相応しいブラビア新モデル「X9300D」

4Kテレビ時代に突入し、好調なセールスで存在感を増すソニーのブラビア。16年春は、4K&HDRに対応した新モデル「X9350D」、「X9300D」、そして「X8500D」の3シリーズをリリースし、さらなるラインナップの充実を図る。ブラビアにおいて、出荷時点からHDRに対応するのは今回の3シリーズが初めてで、本格的なHDR時代の到来を感じさせる。

シリーズ別に特長を要約すると、X9350DシリーズはX9300Cの後継にあたる、サイドスピーカーを搭載した高画質&高音質モデルで、65型と55型の2サイズを用意。

X9350Dシリーズは、4Kブラビアの意匠とも言える”Wedge”デザインを採用した高画質&高音質モデル。光の反射と拡散を低減し、高コントラストな映像を映し出すオプティコントラストパネルを採用している。ハイレゾ再生に対応したサイドスピーカーには、磁性流体を使ったウーファーとサブウーファーを搭載。最新モデルのX9350Dでは、新たに振動板にカーボンファイバー素材を用いることで音圧と空間表現力の向上を実現する

X9350Dに搭載されてい る、カーボンファイバー振動 板の磁性流体スピーカー

X9300Dは、壁掛け設置時の出寸法がわずか約36.7mm(コンクリート壁用のブラケット使用時)という極薄デザインながら、新しいバックライト部分駆動技術「Slim Backlight Drive」を搭載した画質重視モデルで、同じく65型と55型の2サイズ。

BRAVIA X9300D

画質と薄型を両立したスリムデザインを採用。画面とフレームの段差を削ぎ落とした一枚板のようなフラッシュサーフェスと先端に向かって薄くなる台座も特徴

X8500Dは、トリルミナスディプレイとLEDバックライトを組み合わせたX8500C(49型・43型)に近い内容で、より大型の65型と55型を追加した。

4K高画質プロセッサー「X1」を搭載し、各種HDR信号への対応やスカパー! プレミアムサービスチューナーを内蔵した4Kブラビア「X8500D」シリーズ。上位モデル同様、Android TV機能も搭載さ れている

いずれのシリーズも、4K&HDR対応はもちろんのこと、映像エンジンにソニー画質技術の集大成とも言える「X1(エックスワン)」をベースとした超解像技術「4Kエックスリアリティープロ」や、広色域の「トリルミナスディスプレイ」の搭載など、基本性能に抜かりは無い。

4K高画質プロセッサー「X1」が、映像に最適な処理をリアルタイムで実施。細かな映像調整メニューも解放されているので、自分好みの画に仕上げることも出来る

スカパー! プレミアムサービスチューナー内蔵による4K放送の受信に加えて、NetflixやひかりTV 4Kの4K&HDRコンテンツにも対応するなど、幅広い4Kコンテンツが一台で楽しめるのも嬉しい。HDMI端子は、4入力全て4K/60p 4:4:4 18Gbpsのフルスペック規格に対応。来たるべきUltra HD Blu-ray時代への備えも万全だ。

X9300Dは、「Netflix」と「ひかりTV 4K」のHDRコンテンツの再生に対応。 Netflixは『マルコ・ポーロ』など、オリジナルコンテンツを中心にHDRコンテンツを拡大予定。ひかりTV 4Kもソニー・ピクチャーズの映画をHDRで今後提供予定だ

またソニーの4Kブラビアは、Android OSを内蔵したモデルでもあり、スマートフォンライクなユーザーインターフェースも特長の1つ。リモコンにはGoogle Play(ムービー&TV)、Netflixのダイレクトボタンも搭載。ブラビアをネットに接続することで、音声検索機能を活用して、録画済みの番組やYouTubeなどの各種アプリの横断検索もストレス無くシームレスに行うことができる。闇雲に機能を増やすのでは無く、ユーザーの視点に立った実用性の高い機能が一段と洗練された印象だ。

ソニーは4Kブラビア全モデルに「Android TV」機能を搭載。Android TVアプリと専用にカスタマイズされた独自の機能により、様々なコンテンツが簡単操作で楽しめるのはブラビアだけ。料理やフィットネス、音楽、ゴルフなど、様々な趣味・ライフスタイルに合わせた、600以上に及ぶアプリが用意されている


リモコン上部にある「音声検索」ボタンを押して、キーワードを声に出すだけで簡単に検索が可能。テレビ番組やアプリを横断的に検索してくれるので、観たいコンテンツから知らなかったコンテンツまで、テレビがまとめてピックアップしてくれる。また「今日の天気は?」などの様々な質問に答えてくれるのも楽しい(※インターネット環境が必要)

リモコン中央の「番組チェック」ボタンを押すと、話題の人気番組や視聴履歴に応じたお薦め番組を自動でリストアップしてくれる。あらかじめキーワードを登録しておけば、キーワードに応じたコンテンツをピックアップすることも可能。視聴途中だった録画番組の“続き視聴”も、番組チェックボタンから呼び出せる

新しい3シリーズの中でも、特に興味深いのが、新技術「Slim Backlight Drive」を搭載したX9300Dであり、結論から言えば、画質も大きな進化を遂げている。しかしながら、同技術の動作原理や詳細スペックは完全な秘密事項でお伝えすることができない。そこで今回は、ソニーに赴き、業務用テストパターンジェネレーターによる定量的な確認や、多様な映像ソースを用いて、多角的に「Slim Backlight Drive」とX9300Dの画質性能を検証することにした。

■液晶テレビの画質を左右するのはバックライトの使いこなしと精度

X9300Dシリーズに搭載されている「Slim Backlight Drive」は、その名称からも想像が付くとおり、画面隅に配置されたLEDライトとLEDの分割駆動技術を組み合わせたシステムである。

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