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「2500NEシリーズ」連続レポート<第3回>

ハイエンドの表現領域に肉薄 - デノンのSACDプレーヤー「DCD-2500NE」をレビュー

公開日 2016/02/22 11:24 山之内 正
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デノンの新ミドルクラスHi-Fiコンポーネント「2500NEシリーズ」の連続レポート第三回目では、SACDプレーヤー「DCD-2500NE」(関連ニュース)をレビュー。あえてデジタル入力を省略して、ディスク再生に特化することで音質を追求した本機の実力を、山之内正氏がレビューする。

「DCD-2500NE」¥180,000(税抜)

>>DNP-2500NEのレビューはこちら
>>PMA-2500NEのレビューはこちら

上位機からドライブメカやクロック回路技術を継承したディスク専用機

「DCD-2500NE」の前身に当たる「DCD-1650RE」は初代機以来の長い系譜に連なる定番のSACDプレーヤーで、改良を重ねることで高い完成度を獲得した経緯がある。本機はその資産を受け継ぎながら、直近に発売された上位機種「DCD-SX11」のエッセンスを盛り込んで1クラス上の性能を目指した新世代機だ。

外部入力を省略し、ディスク再生専用機として新たなスタートを切った点にも注目したい。最近はUSBを含むデジタル入力の装備がディスクプレーヤーのトレンドで、デノンの製品もその流れを取り入れてきたが、DCD-2500NEはディスク再生に特化して音質を突き詰める方向に転換、ハイレゾ音源にはデータディスクの再生で対応する。ちなみにデータディスクへの対応はDCD-SX11に採用された新世代メカニズムで実現したもので、本機はそのDCD-SX11と同一のメカドライブを積んでいる。

本機を構成する各パーツ。写真中央のドライブメカはDCD-SX11と同一のものだ

音質改善にはクロック回路の見直しが大きく貢献している。DACに近い位置に超低位相雑音素子を配置して精度を高める「DACマスタークロックデザイン」がその核心で、こちらもDCD-SX1、DCD-SX11から継承した重要な技術だ。そのほかアナログ回路や電源回路にも上位機種のノウハウを多数投入している。1650から2500への世代交代は、フラグシップと準フラグシップの存在なしには実現し得なかったと言っていいだろう。

背面端子部。デジタル入力を非搭載としたため、非常にシンプルな構成となっている

アルミダイキャスト製トレイは剛性が高く、ディスクを載せやすいシンプルな形状を採用。ローディング動作は安定し、メカニズム全体の高精度な仕上がりをうかがわせる。筐体は14kg近い重さがあり、ミドルクラスとしてはかなりの重量級だ。

開放的かつ伸びやかな表現でエモーショナルな領域にまで踏み込んだCD再生

本機で聴くCDの再生音は、記憶しているDCD-1650REの音よりも音色のパレットが大きく、エモーショナルな表現領域に一歩踏み込んだ印象を受ける。エルガーのチェロ協奏曲はガベッタの独奏チェロが低音でふくらみすぎず、低音から高音まで原寸大のリアルな音像が浮かぶ。艶やかさをたたえた中高域の音が特に美しいが、楽器が隅々まで鳴り切ったときの低音の朗々とした響きも聴きどころで、分厚いオーケストラに埋もれることなく、テンションに緩みがない。DCD-1650REも低重心で厚みのあるサウンドを引き出すプレーヤーだが、低音は本機の方が良い意味で緊張感が高く、音像が広がりすぎない良さがある。

次ページSACD再生では解像感が際立ち、生々しい臨場感を引き出してくれた

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