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TIDAL連携からクラシックでの検索活用まで

ネットオーディオの革命? 総合音楽鑑賞ソフト「Roon」“実践”レビュー

公開日 2016/02/22 12:03 逆木 一
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海外のオーディオシーンで大いに注目を集めている「Roon」。強力無比なライブラリ機能と、それがもたらす「音楽の海」という体験により、Roonは単なる「再生ソフト」の範疇を越えた「総合音楽鑑賞ソフト」と呼ぶべきものとなっている。


前回の記事ではRoonの概観をざっと(それでも長大にならざるを得なかったが)紹介した。そこで今回は実践編として、音源のインポートから実際に使っている様をお伝えしたい。重複する内容もあるが、前回の記事(「クラウド/ローカルをシームレスにつなぐ“総合音楽鑑賞プレーヤーソフト”「Roon」の魔法とは?」)とあわせて読んでもらえると幸いだ。

タグなしのWAVファイルでも音楽情報を自動取得

さて、まずは音源である。音源がないことには何も始まらない。Roonのライブラリ機能の“スゴさ”をお伝えするべく、「タグが空っぽのWAV」という、本来ならば絶対におすすめできない状態のアルバムを8枚用意した。

用意したWAV形式の8枚のアルバムは・・・


タグ情報がご覧のとおり空っぽだ

DLNA対応のコントロールアプリから見るとこの通り。メタデータがないので、ファイル名に基づいた曲名のみしか表示できない

この8枚のアルバムのWAVファイルを、Roonにインポートしてみる。その結果が下に示したRoonのアルバム一覧だ。アルバム名、アーティスト名、ジャケット画像が表示された、見事なライブラリが出来上がった。

WAVファイルをインポートした結果。曲名とジャケット名、そしてアートワークがほぼ正しく表示されている。以下で赤枠のアルバムの詳細を確認してみよう

残念ながらGiuliano CarmignolaによるVivaldiの『四季』はRoonでも情報が見当たらなかったようだ。ただ、こうなった場合でもいくらでも手の打ちようはあるので、今は先に進むことにする。

タグが見つからなかった場合はこのように「Unkown Atrist」になってしまう

Roonによって情報が付加することができた各アルバムを見てみよう。The Metersの『Struttin’』を選択すると、下記のようなアルバムページが開く。

The Meters『Struttin’』を選択した画面

ライナーノーツ、スタッフクレジット、歌詞。元々タグが空っぽだったWAVとは信じ難い情報の充実ぶりだ。ちなみに、しっかりとタグが付けられた音楽ファイルについても、楽曲情報の自動取得が行われ、初期設定ではRoonが取得した情報が優先される仕様になっている。

アルバムのライナーノーツ(英語のみ)


アルバムのスタッフクレジット。各人にはリンクが付けられ、彼らが手掛けた音楽と繋がっている


歌詞も表示できる(Roonのデータベースにあれば)

Roonの真価は、音楽情報が有機的に結び付くことで生まれる「音楽の海」にある。今回インポートしたアルバムはたった8枚だが、それでもなお、Roonがもたらす体験の片鱗はじゅうぶんに味わえる。

こちらはジャンル別表示。たった8枚のアルバムに対してなおこの充実ぶりだ。

ジャンルの表示

一方で、アーティスト別の表示は割と簡素だ。とはいえCount BasieとDuke Ellingtonが別項目で用意されているあたり、芸が細かい(今回Roonにインポートしたアルバムの1枚は両者の共演である)。

アーティスト別表示のページ

この中からJeff Beckを選択してみる。どん、と彼のバイオグラフィが表示される。

アーティスト写真と共にバイオグラフィが表示

画面をスクロールすると、ライブラリ内にあるJeff Beckの全アルバムが表示されている(検証用のライブラリなのでここでは1枚だけの表示だが)。

画面下部にある「Followed By」に注目。ここでは該当アーティストのフォロワーを紹介している。Roonによれば、Eric Johnson は、Jeff Beckのフォロワー(影響を受けている)ということだ。そこで「Eric Johnson」を選択してみると、同じようにEric Johnsonのページがバイオグラフィと共に表示される。

画面下部の「Followed By」に注目

Eric Johnsonのアーティストページ

ライブラリ中に彼の参加作品があれば、このページの「Appearances」に該当作品が表示される。ここでは、Jennifer Warnesの『The Hunter』に参加していることがわかる。

「Appearances」にEric Johnsonが参加する『The Hunter』がピックアップされている

この新鮮な驚きとともに『The Hunter』を選択して聴くもよし、そこからさらに、まだ見ぬ音楽の海に漕ぎ出すもよし。たった8枚のアルバムでこの状態なのだから、アルバムが数百枚となり、数千枚となり、さらにTIDALの音源まで加わった暁にはどうなるのだろう。

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