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DALIやB&W、KEFなどと相性チェック!

ティアックのHi-Fi専用サブウーファー「SW-P300」を人気スピーカー4機種と組み合わせテスト

公開日 2015/06/24 11:07 井上千岳
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■B&W「CM1 S2」

次はB&Wの「CM1 S2」と組み合わせてみる。クロスオーバーも再生周波数帯域の下が45Hzである本機にあわせて少し調整を行った。

B&Wの「CM1 S2」

もともと情報量が多く精密な再現性を持つスピーカーである。それがそのまま生かされ、上下に余裕を持たせた感触になる。元の音は少しもスポイルされていないのがポイントだ。

ピアノは全てが自然で、低音部にもにじみがない。バロックも無理がなく、ヴァイオリンには軽く張りがあって艶やか。チェロも余裕がある。それぞれにピントのいい出方だ。

オーケストラはスピードが速く、細かい響きに富んで弾力的だ。低音弦のしなやかさと厚みも濁りなく描かれる。

B&Wの「CM1 S2」と組み合わせ。本体カラーのイメージが合っている

ジャズは勢いがあって動きがいい。ボーカルもそうだが、いずれもほとんどわからない程度に絞ると、音調は変わらず手触りだけがリアリティを増す。こういう再現もできるのである。

■KEF「LS50」

最後はKEFのLS50である。これも同軸型だが、単体でも十分な低域再生力を備えている。こういうスピーカーにはたしてサブーファーが合うのかどうか、うっかりすると邪魔をするだけの結果にもなりかねないが、レベルを慎重に揃えながら聴いてみた。

KEF「LS50」

ところが意外なことに、この組み合わせは大変良好である。ピアノは芯があって瑞々しく、ステージが奥へ引いて空間が見えてくる印象だ。低音も自然で、サブウーファーは少しも邪魔をしているように思えない。むしろぴったりという感触である。

バロックは艶やかできめが細かい。楽器どうしの分離がよく、チェロも厚いがどうじに潤いがある。その低音の感触がよく、音がよく混じり合っている感覚だ。

KEFの「LS50」と組み合わせたところ

オーケストラもメインスピーカーと一体化して、低音弦やティンパニーが自然に鳴っている。トランペットやホルンなどの金管楽器も質感が厚く、弾力のある響きをする。全てに張りのある手触りである。

ジャズはまたちょうどいい鳴り方をする。トロンボーンの輝かしさと厚みが目覚ましい。ウッドベースやキックドラムも軽く動き、切れがよくしかも肉質感に富んでいる。

ボーカルは安定して充実感が高く、声の出方が非常にナチュラルで表情が濃厚だ。起伏が細かく、抑揚に溢れた再現である。

こう聴いてくると、本機の素性というものが明らかになってくる。確かにハイファイ用として開発されただけに、水膨れしたような響きがなく切れがいい。立ち上がりのスピードも速いのだろうが、それがどういう場面でもメイン・スピーカーを確実に引き立てる結果になっている。

■新提案、「SW-P300」を2台用いた「2.2chシステム」

ここで本機をもう1台使い、ダブル・サブウーファーとしてみることにした。スピーカーはLS50のままである。こうすると低域が左右ミックスにならず、別々に再生される。

この効果は想像以上に大きく、色々な部分に余裕が出る。解像度が上がり、楽器間の分離がよく、情報量も立ち上がりの速さもさらに瞬発力も向上する。左右ミックスによる濁りが消えるせいか、出方が楽々としているのだ。

そこで話を最初に戻して、S-300NEOにダブル・サブウーファーを組み合わせてみた。これもやはり同じことで、単に低音部を倍にしたというような単純なものではなく、解像力や瞬発力などあらゆる性能が格段に増したのを実感することができる。

「SW-P300」を2台使用することで、低域を左右別々に再生することが出来る

もちろんつながりは極上で、ほとんどひとつのスピーカーのように感じる。こうなるとブックシェルフ型の低域補完などというものではない。無理してフロア型を鳴らすより、ずっと高品位で自然なリアリティに富んだ再現が得られる。おそらく全部のコストを合わせたよりもずっと高度なパフォーマンスがありそうだ。大変貴重な発見をした思いである。

(井上千岳)

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