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各モデルとの相性を徹底チェック

サエクのPC-Triple C採用イヤホンケーブル「SHC-120」を人気イヤホン4機種と組み合わせレビュー

公開日 2015/05/14 12:00 高橋 敦
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組み合わせ3 Ultimate Ears「UE900s」

イヤーモニターの老舗のリスナー向けユニバーサル型がUE900sだ。SE846と同じく3ウェイ4ドライバーで低域に2基を割り振るという、帯域、設計しやすさ、コストなど様々なバランスを取りやすいと思われる構成を採用している。

Ultimate Ears「UE900s」 ¥OPEN(市場想定価格37,000円前後)

このモデルにはリモコン搭載ケーブルも付属していて便利だが、今回は通常の標準ケーブルを基準に試聴した。

今回聴いた4モデル中でいちばんの無個性だ。・・・いやそれは言い方が悪いので言い換えると、実に癖がない。ワイドレンジ感も厚みも主張しない自然なすっきりバランス。例えば埋もれがちなベースや細かなシンバルも、その音色の押しの強さではなく全体のすっきり感によってクリアに届いてくる。女性ボーカルも刺しすぎずぼやけさせずの好バランス。

それをSHC-120FSに換えると、その変化の方向性と大きさを総合的に踏まえて、僕としてはこの組み合わせが今回の中でいちばん好ましい変化だと感じた。

通常ケーブルを装着したUE900s

SHC-120FSにリケーブルしたUE900s

全体に嫌みのない、程よい派手さが生まれる。シンバルの高域がすっと綺麗に伸びてドラムスのタム回しは重量感を増す。ワイドレンジ感、スピード感、パワー感。そういった要素が無理のなく増強される。そしてドライブ感が気持ちいい。ギターのクリーントーンもペラっとしたキレのよさではなく厚みを伴うようになり、音色としての豊かさを増す。

強いて言うならば、厚みや濃さが引き出されることで前述のすっきり感は少し弱まる。しかし元々のすっきり感が優れているので、多少落ちたところでそこが弱点になるというほどではない。UE900sは良い意味での「音の地味さ」が魅力だが、薄化粧をしてみたらあら美人! そんな驚きを与えてくれる組み合わせだ。

組み合わせ4 WESTONE「W40」

W40もイヤーモニターの老舗から登場のリスナー向けユニバーサルモデル。そしてこちらも3ウェイ4ドライバー構成を採用している。コンパクトなハウジングによる優れた装着感もポイントだ。あとフェイスプレートを付属の数色に交換可能なのも特長。

Westone「W40」 ¥OPEN(市場想定価格59,800円前後)

このモデルもリモコン搭載ケーブル付属だが、今回はやはり通常の標準ケーブルで試聴。ハイエンド機となると鋭い音調でわかりやすい解像感を主張したくなりそうな気がするが、そこを主張しないのがこのモデルこのシリーズの見識だ。基本的にはソフトタッチ。しかし女性ボーカルをほぐしつつ刺すべき場所では刺すといったような対応も見せる。物腰は柔らかだが通すところは通す。そんな印象のイヤホンだ。

さてSHC-120FSへのリケーブルなのだが、注意点がある。本機はケーブル側のコンパクトなMMCX端子をそれに合わせてあるハウジングの凹みに一部埋め込むような形で接続する。SHC-120FSのMMCX端子はコンパクトな部類なのだが本機のMMCX端子はそれよりさらにコンパクト。なのでハウジングと少し干渉してしまい、完全にぴったりとはハマらない。音は問題なく出るのだが、接続部に余計な負荷がかかっていそうなことは見た目からも明らか。この点はあらかじめ留意しておいてほしい。

通常ケーブルを装着したW40

SHC-120FSにリケーブルしたW40

※編集部注:「Weston W40」はSHC120FSのサエクコマースが推奨する対応機種には入っておりません。ご使用は自己責任で行ってください。

リケーブル後の音だが、ドラムスやベースなど低音楽器のがっしり感は確かに強まる。ロックにせよエレクトロにせよ、ベースのアタックのゴリッとした感じがほしい方には特におすすめだ。低音の実体がタイトになることでその周りの空気感も感じやすくなるし、全体のまとまりも向上する。

ただその分、ソフトタッチという持ち味は少し薄まる。持ち味を強めたい、あるいは持ち味を生かしてバランスよく向上させたいといったユーザーの方には向かないかもしれない。しかしだからこそ、そこ(低音楽器)に明確な変化がほしい方には合いそうだ。

   ◇   ◇   ◇   


実際に試してみてその効果は納得できるものだった。新導体採用による音質向上はもちろん、定評ある既存モデルがベースなおかげだろう、全体的な完成度も高い。新定番登場。いまの時点でそう言ってしまって問題ないはずだ。

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