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上位モデルとの比較試聴も実施

マランツの最新ネットワークプレーヤー「NA6005」レビュー。BT/Wi-Fi/FM・AM内蔵の多機能モデル

公開日 2015/03/20 11:34 山之内 正
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NA6005と、上位機種のNA8005で音質差があるかどうかは検証すべきテーマの一つだが、もしも違いがあるとすれば、ノイズ&ジッター対策の内容、電源回路やD/Aコンバーター以降のアナログ回路の差などに由来するものだろう。上位機種には独自のデジタルアイソレーション回路が入っているし、本機に追加されたワイヤレス関連回路の影響も皆無ではないかもしれない。

マランツ最新のコントロールアプリ「Marantz Hi-Fi Remote」に対応

操作アプリは「Marantz Hi-Fi Remote」が本機でも利用できる。キュー再生モードを導入した使い勝手のよいアプリで、特にタブレットでは楽曲一覧と再生情報などを同時に表示できるため、使いやすさはリモコンとは比較にならない。

NA8005と比較しながら、その音質を確かめる

今回は筆者の試聴室にNA6005を持ち込み、普段聴いているシステムにつないで試聴を行った。システムには他のネットワークプレーヤーとともにNA8005も接続しているので、アンプの入力セレクターを切り替えるだけでNA6005との聴き比べるができる。

ヤンセンが独奏を弾くJ.S.バッハのヴァイオリン協奏曲(Decca FLAC 96kHz/24bit)を聴くと、さすが姉妹機だけに2機種の音調はよく似ている。アレグロでは低弦が刻むリズムの動きが活発で演奏がどんどん前に進み、アダージョでは独奏ヴァイオリンの細かい装飾音符が一音一音鮮明に浮かび上がってくる。聴こえてくる音の数が多く、細かい音の粒が立っていることが2機種に共通する美点で、情報量の豊かさで優劣の差はほとんどない。以前聴いたNA7004ではここまで細部の描写が際立っていなかった記憶があり、この3・4年間の進化が大きいことを思い知らされた。

「NA6005」(上)と「NA8005」(下)

一方、余韻のふるまいに注意しながらチェンバロ伴奏のヴァイオリンソナタを聴いてみると、音場空間の大きさと透明感に僅かだが違いがあることに気づいた。NA8005の方が奥行きと左右それぞれの方向に空間が大きめに広がり、見通しの良さでも優位に立つ。自然な残響を含むアコースティック音源で、楽器のソノリティが高い録音ではその違いを聴き取りやすいと思う。

空間描写を除けば2機種の間に基本的な音調の違いがないことが確認できたので、NA6005でいろいろな音源を聴いてみよう。まずはボーカル。ダイアナ・クラールとノラ・ジョーンズを聴くと、ハイレゾならではの声のなめらかな質感が耳に心地良い。CDで聴くと声の中音域やアコースティックギターの高音弦が前面に出て、いわゆる「元気な音」に感じてしまうのだが、今回ハイレゾ(いずれもFLAC 96kHz/24bit)で聴いた二人の女性ボーカルは、しっとりとした柔らかさが加わり、楽器間のバランスも落ち着いて聴こえる。

NA6005の筐体内部

NA8005の筐体内部

とはいってもボーカルの発音は鮮明で、ピアノの和音は低音から高音まですべての音域でくもりがない。アタックがなまらず、スッと自然に立ち上がる良さは上位機種から受け継ぐ本機の長所の一つだ。ちなみにそうした本機の資質はネットワーク再生と共通仕様のUSBメモリー再生でも確実に聴き取ることができた。

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