【特別企画】低遅延の「aptX LL」にも注目

実験で検証! Bluetoothコーデック「aptX」はなぜ高音質で低遅延なのか?

岩井喬

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2015年02月27日
スマートフォンやタブレット端末が普及するのと比例するように広がりを見せているのが、ワイヤレスオーディオの世界だ。

独自規格の2.4GHz帯デジタル伝送やWi-Fi環境を用いたものなどワイヤレスオーディオの方式も複数誕生しているが、なかでもBluetoothは携帯端末を中心に採用されることが多くなり、Bluetoothを使ったアクティブスピーカーやヘッドホン/イヤホンは世界的に見ても右肩上がりで数を増やしている。

ワイヤレスにはつきものである環境設定などの煩わしさを解消したNFCを採用していることもその人気の要因であると考えられるが、現在のワイヤレスオーディオで最も勢いがある方式がBluetoothであることに間違いはないだろう。

このBluetooth伝送においてモノラル&ステレオ音声を伝送するプロファイルはA2DP(Advanced Audio Distribution Profile)にあたり、SBC(SubBand Codec)コーデックが標準的に用いられている。

このほか、Apple製品での採用例が多いAAC(Advanced Audio Coding)や先頃ソニーが発表した96kHz/24bitデータを圧縮し伝送する高音質・高ビットレート対応コーデックLDACなど複数のコーデックが存在する。そのなかで高音質で低遅延かつ採用例の多いコーデックが英国CSRのaptX(公式サイト)だ。なお、CSRによるとapt-Xでなく、aptXが正しい記述とのこと。呼び方は「アプトエックス」。

aptXのロゴ

より低遅延な「aptX LL」のロゴ

20年以上前から使われていたaptXの基本技術

aptXを手掛けるCSRは英国・ケンブリッジに本拠を構える半導体メーカーで、1998年に創業した。現在では世界32カ所に拠点を置き、携帯デバイス向け半導体をはじめ、BluetoothやDSPなど、サウンド関連のキーデバイスを広く扱う。直近ではハイレゾに対応する新たなデジタルアンプ技術DDFA(Direct Digital Feedback Amplifier)を発表するなど、オーディオ製品に向けたテクノロジーを数多く開発しているデジタル分野のリーディングカンパニーでもある。

このaptXコーデックの基本となる技術は1990年に第1世代として登場しており、ADPCM(適応的差分PCM)の学術研究をベースとした広帯域ステレオ・低遅延コーデックアルゴリズムとして誕生した。

1990年にaptXとしての第1世代コーデックが登場した

当初は放送局(スタジオから遠く離れた送信機まで往復20ms未満程度の遅延)や映画などを手掛けるポストプロダクション(コントロールルーム〜収録ブース間で往復20〜30ms未満程度の遅延)といった業務用機器の世界で用いられ、伝送データ量を圧縮しても高音質・低遅延を実現できるという点が高く評価されていたという。さらにサラウンドフォーマットでお馴染みのDTSにもaptX技術が反映されており、我々は普段から思いもよらない身近な場所でaptXがもたらす恩恵を受けていたのだ。

放送業界では以前からaptXが用いられていた

一方、コンシューマー製品で多用されるBluetoothにaptXが採用されたのは2009年からと、比較的最近のことである。SBCコーデックの音質の悪さを改善するべく、プロオーディオの世界で評価されていたaptXにスポットが当たったのだ。その第一号製品はゼンハイザーPX210BTおよびトランスミッターであるBTD300i(iOSデバイス30ピンマルチコネクター用)/BTD300Audio(アナログ入力用)であり、その後HTCやモトローラ、Apple製品にも採用されることとなった。

aptXはSBCやAACと何が違うのか?

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