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【特別企画】フラグシップ機「edition10」と徹底比較

ULTRASONEの開放型ヘッドホン最新モデル「edition12」を山之内正が聴く

公開日 2013/09/02 10:00 ファイル・ウェブ編集部
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■ハイレゾ音源をソースに両モデルを比較試聴する

edition10とedition12両機種の音の比較は、ミュンヘンで今年5月に開催されたHighEnd2013でも聴き比べる機会があったので、今回で2回めである。イベント会場では周囲がにぎやかだったので大まかな音調の違いしかわからなかったが、今回はDSDも含めたハイレゾ音源とアナログレコードという両極端ともいえる2種類の高音質ソースを用意し、自宅試聴室でじっくり聴き比べてみることにした。

edition10、edition12共に最高峰ライン“edition”の開放型モデル。その魅力を様々なソースで検証した

MacBookAirにApril MusicのDAC兼ヘッドホンアンプ「EXIMUS DP1」(製品データベース)を組み合わせ、まずはUSB接続でハイレゾ音源を聴く。

April Music「EXIMUS DP1」 ¥262,500

edition10は音が耳にも振動板にも張り付かず、伸び伸びと音場が広がって広大な空間が展開する。ウェーバーのクラリネット協奏曲(FLAC 192kHz/24bit)では直接音と間接音が空中でブレンドする雰囲気をそのままリアルに再現し、ステージの上に浮かぶ雲のような余韻の存在まで目に浮かんできた。独奏クラリネットはそのステージの中央に立体的な音像が定位し、周囲を取り囲む空気の存在や息漏れの音までリアルに再現する。

ここまで自然な音場を再現するヘッドホンは本当に少ないので、聴き比べることを忘れてしばらく聴き入ってしまうほどだ。澄んだ音場のなかに各楽器が展開するセパレーションの高さにも感心させられる。

同じ曲を今度はedition12で聴く。まず共通点から紹介すると、見通しの良い広大な音場の広がり、そして空気中での響きのブレンド感は両機ほぼ互角という印象を受けた。微妙に異なるのはヴァイオリンやヴィオラなど高弦群の音色と粒立ち感で、音の粒子感はedition10の方が一段階きめが細かく、リズムを刻む動きが鮮明に浮かび上がってくる。edition12は合奏のアンサンブルとしてきれいにまとまった音を聴かせ、edition10はメンバー一人ひとりの音までクリアに鳴らし分けるような印象がある。どちらも演奏や録音の特徴を忠実に引き出す点では変わらないのだが、edition10はディテール再現の精度を一段階上げたような鳴り方だ。

試聴では両モデルを同一ソースで集中的に聴き比べていった

自宅試聴室にてedition10とedition12に耳を傾ける山之内正氏

次にエミリー・バーカーのボーカルを聴いた(FLAC 96kHz/24bit)。ギター、ハーモニカ、ヴァイオリンなど、ボーカルをサポートするのはアコースティック楽器だけなので、この録音からも演奏現場の空気感がリアルに伝わってくる。特にアコースティックギターのコードを強めのストロークで弾いた瞬間、スピードの乗った空気のプレッシャーが耳を刺激するのが心地よい。

edition10の方がボーカルが少し手前に出てくるように感じるのは、子音のレベルが若干強めになるためだが、それが音色の硬さにつながることはなく、高音域まで声はなめらかさを保っている。ギターが刻むリズムの切れもedition10の方がタイトでスピードがあるが、edition12はそれに加えてボディが共鳴するスケール感を巧みに引き出していると感じた。

大音量で聴いても飽和感がないことと、小さめの音量で聴いたときに歪っぽい音を出さないことは2機種に共通する美点で、ダイナミックレンジに余裕のあるスピーカーで聴いているような安心感がある。

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