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USBスティックタイプならでは手軽さが魅力

【レビュー】オーディオテクニカのUSBヘッドホンアンプ「AT-HA30USB」を試す

公開日 2013/08/20 12:13 レポート/山本 敦
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CDの音質を超える「ハイレゾ音源」を提供する国内外の配信サービスが増え始めてきた。一方で、ハイレゾ音源を楽しむための環境は据え置き型のコンポーネントが中心であり、いくつか商品化されているハイレゾ対応ポータブルプレーヤーも価格の面でまだ高価なものが多い。


オーディオテクニカが発売した「AT-HA30USB」は、USB-DACを内蔵したスティックタイプのヘッドホンアンプである。最大96kHz/24bitのハイレゾ再生に対応しており、メーカーの希望小売価格は21,000円(税込)だが、筆者の調べたところでは12,000円前後で買えるショップもある。こちらに少しクオリティの高いヘッドホン・イヤホンを買い足して、ノートPCと組み合わせれば、比較的手軽にハイレゾ再生環境が構築できるのだ。

今回は本機のハイレゾ再生の実力や、USBスティックタイプならではのポータビリティのメリットを実機で検証してみた。


PCのUSBにつないですぐに使える

本機の主な活用シーンとしては、ハイレゾ音源を入れたノートPC、ヘッドホンやイヤホンと一緒に持ち歩いて、外出先など様々な場所で軽快にハイレゾ再生を楽しむという使い方になるだろう。


音質的には内蔵回路からカップリングコンデンサーを取り除いて、特に豊かで深みある低音域の再生を特徴としている。対応するOSはXP以降、8までのWindowsと、Mac OS X。どちらの環境もOS標準のドライバーで動作するので、本体をPCのUSBポートに差し込んで、コントロールパネルからサウンドデバイスの設定を済ませればすぐに使い始められることも特長だ。



本体サイズはまさに一般的なスティックタイプのUSBメモリーと同じ。質量も約15.5gとコンパクト。外装側面にはアルミの押し出し材を使い、光沢感のあるブラックの樹脂製パーツとのコンビはとても上品なデザインに仕上がっている。


ヘッドホン出力端子側に配置されているオーディオテクニカのロゴはLEDインジケーターになっており、本体に電源が供給されると点灯。再生オーディオファイルのサンプリング周波数が96kHzの時には赤色、48kHz以下の時には青色の光が点る。なお入力信号のアップサンプリング機能は搭載していない。




96kHz/24bitハイレゾ再生を聴く

96kHz/24bitのハイレゾ音源を用意して本機のサウンドをチェックした。はじめにボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズの「LEGEND(Remastered)」から、『Exodus』を聴く。


各帯域に渡ってバランスの良いサウンド。冒頭エレキギターのカッティングは一音ごとの輪郭がシャープでキレ味が鋭い。エフェクターを使った色彩感豊かな演奏も表情を巧みに描き分ける。SN感がとても良く、ボブ・マーリィのボーカルとコーラスや楽器が多層に重なり合うパートも、全体の見晴らしをクリアに保ちながら、立体感に富んだ音場が広がっていく。メインボーカルはバックバンドのサウンドに掻き消されることなく、力強く伸びやかな歌声を聴かせる。パーカッションの音色は粒立ちの分離が良く、ブラスバンドの煌びやかな高域の余韻もまた味わい深い。解像感は高いが分析的になり過ぎることはなく、バンドのグルーブを一つの音楽として熱っぽく聴かせてくれる側面も兼ね備えている。

ビル・エヴァンスのアルバム「Waltz for Debby」から『Milestone』をチェックした。ウッドベースはしっかりとした量感を備えながらタイトに引き締まっている。バスドラムはアタックの輪郭が曖昧にぼやけてしまうことがなく、スピーディーに深く沈み込む印象。ビル・エヴァンスのピアノはガラス玉のようにクールな透明感と硬質なタッチを見事に再現。ドラムスのクラッシュやシンバルの高域はきれいに伸びて、その残響は階調がきめ細やかながら、濃淡も濃いめなのが特徴。細部まで立体的な演奏が楽しめる。


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