JVC「HA-FBT60」レビュー − 重低音再生に注力したBluetoothイヤホンが登場

取材・執筆/高橋 敦
2013年06月28日
挑戦的な技術でイヤホンの音質を高めてきたJVCが今度はワイヤレスに挑戦。イヤホン部分が異なるHA-FBT80とHA-FBT30も同時に発売されるが、このHA-FBT60は重低音再生とタフなルックスが売りとなる。

HA-FBT60


レシーバー部分はまず、Bluetoothの伝送コーデックとしてAACに対応。このより高性能な圧縮方式によって伝送時の音質劣化を低減している。AAC伝送は例えばiOS4.3.1以降との組み合わせで利用できる。Bluetooth伝送の過程で弱まりがちだという低音域を補強する「ACTIVE BASS回路」にも注目だ。

イヤホン部とレシーバー部は取り外し可能

レシーバー部。中央に設けられた「マルチファンクションボタン」では、音楽などの再生/一時停止/スキップや、通話・音声機能をワンボタンで操作できる


充電はレシーバー底部に設けられたmicroUSB経由で行う。

背面には服につけられるクリップを用意
他、通話時のノイズを低減する「HD Voice」、複数機器との同時接続を実現する「マルチペアリング」「マルチポイント」に対応。もちろんリモコン機能も搭載する。USB充電で連続再生は10時間を確保。

イヤホン部分はHA-FX3Xがベース。振動板素材は軽量かつ高剛性なカーボン。それをネオジウムマグネットで強力にドライブし、高精細でキレのある重低音を再生する。

イヤホン部は「HA-FX3X」がベース。カーボン振動板採用φ10mmのネオジウムドライバーとメタルボディを採用し、不要な振動をおさえ、高精細でキレのある重低音再生を実現するという

振動を抑制して音質に貢献するメタル製の筐体にはラバープロテクターを装備。タフなルックスと実際の頑強さを高めている。プロテクターに隠れているメッシュの開口部は「エクストリームディープバスポート」だ。独自の音響構造で重低音のクリアさとキレを増している。

実際に聴くと、ワイヤレスでありながらHA-FX3Xと大きな違和感のない音質が達成されている。

低音は重低音タイプという言葉から想像されがちな派手で盛大な低音ではない。どんなジャンルを聴いてもベースは、ぼわんと膨らむことなく、ぐいっと引き締められている。音色の濃さや厚みなどに充実感を持たせながら音程や輪郭のくっきりさもある、良質な低音描写だ。キレの良さも確かで、ファンクのベースのスラップ奏法を交えたフレーズも見事に弾ける。加えてACTIVE BASS回路をオンにすると低音のボリューム感の他にバスドラムのアタックの炸裂感などもブーストされ、荒っぽい迫力を増すのがポイント。例えばクラブ系サウンドをクラブのあの空間と大音量の感じで聴きたい方には特に合いそうだ。

特に売り文句にはされていないのだが、高音側の感触も実はかなり良い。シンバルは耳に痛い鋭さにはしないが抜けが良く、ハイハットの開閉の細かなニュアンスなどもよく伝わってくる。ボーカルの感触と描写も同様によい。高音の抜けの良さと低音のタイトさの合わせ技で、音が密集する感じがなく空間の見通しがすっきりしているのも特長だ。

ベースモデルの特長を生かしたままワイヤレス化で身軽さをプラスすることに成功した、好製品だ。