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[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域

【第26回】手の平サイズで実力派! AudioQuestのUSBヘッドホンアンプ「Dragonfly」

公開日 2012/12/07 12:13 高橋敦
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■解像度が高くシャープネスな高音とタイトな中低音で、一言でいえば僕好み!

今回はいきなりまとめから入ってみると、シャープネスの効いた高音とビシッとタイトな中低音のコンビネーションで、実にカッチリとした描写が実現されている。解像感も高く、はっきり言ってかなり僕好みだ。

上原ひろみさんのピアノ・トリオ作品「MOVE」からは一曲目を飾るアグレッシブな曲を試聴。冒頭のピアノの単音の余韻が綺麗に響くことに、S/Nの良さを感じる。音色の本体はやや硬質で、これは前述のカッチリ感を引き出している要素のひとつだ。

エレクトリックベースは厚いとか重いとかいうタイプではないのだが、音色の芯が確かで押しが強い。ゴリッと硬い感触もほどよく出してくれて、迫力がある。また低音側の量感を無理に稼いでいないためか、音程によって音像の大小や音色の濃淡がふらつくことがなく実に堅実。そこが甘い製品だとベースが特に低い音程を弾く場面でその音だけが膨らんだりするのだが、そういうことがない。

ドラムスの太鼓類は引き締まった太さ、無駄のない太さだ。ズバンと気持ちよく抜ける。手数が多い場面での一発一発の分離も良い。シンバルは鋭いのだが厚みも感じさせる、こちらも好感触だ。

AKB48『GIVE ME FIVE!』は様々な音を高密度に詰め込んだバンドサウンドだが、解像感の高さが発揮されて、窮屈に密集した感じにはなっていない。また音場が高密度だが特に埋もれがちなベースも、抜けが良いために存在感を発揮している。エレクトリックギターのジャキンという歪みの鋭さ、カッティングのキレもいい感じだ。ホーンも荒っぽく抜けてかっこいい。

ボーカルはアニメ「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」のエンディングテーマのカバー曲、『secret base 〜君がくれたもの〜(10 years after Ver.)』でチェック。

こちらのボーカルは元々シャープな感じなのだが、それをうまく生かしてくれる。いやな尖り方にはせずに、切なく心に刺さる感じを高めるのだ。声もやはりやや硬質であるが、それが立ち姿を凛としたものにしており、それもまた好印象。声の解像度も高く、三人のボーカルの質感の違いも際立つ。

低音側の厚みや柔軟性のある描写を好む方には合わないかなとは思うが、この音に好みの方向性が一致する方には、「この小ささと安さでこの音か!」と納得してもらえるだろう。

というわけでこれはかなり僕の心にヒットすると同時に、個人的な好みはさておいても魅力的と判断できる製品だ。小さくて価格も手頃なので、初ヘッドホンアンプとして特におすすめしたい。その後にいつかもっと大きくて高いヘッドホンアンプを買ったとしても、コレはこの小ささを生かしてセカンドシステムやポータブルシステムとして引き続き活躍してくれるだろうから、長い目で見るとさらにお得だ。ぜひチェックしてみてほしい。


高橋敦 TAKAHASHI,Atsushi
埼玉県浦和市(現さいたま市)出身。東洋大学哲学科中退。大学中退後、パーソナルコンピュータ系の記事を中心にライターとしての活動を開始。現在はデジタルオーディオ及びビジュアル機器、Mac、それらの周辺状況などに関する記事執筆を中心に活動する。また、ロック・ポップスを中心に、年代や国境を問わず様々な音楽を愛聴。 その興味は演奏や録音の技術などにまで及び、オーディオ評に独自の視点を与えている。


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