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ピュアオーディオの基準で音を語れる希有なBDレコーダー・パナソニック「DMR-BZT9000」

公開日 2011/11/17 11:15 取材・執筆/山之内 正
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BDのハイレゾ音源からも本機の再生音の凄みを実感

本機の再生音の凄みは、CDだけでなく、BDのハイレゾリューション音源からも聴き取ることができる。すでに紹介したノイズ対策の効果が音色の透明感やピアニシモのS/N感向上に現れるのに対し、振動対策の効果は大音圧再生時のスケール感や押し出しの強さに聴き取ることができる。シャイー指揮ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管が演奏したマーラー《復活》を本機で通して聴くと、この曲の広大なダイナミックレンジを本機が余すところなく引き出していることに気付く。

第1楽章冒頭、聴衆が息をひそめるなか、低弦がいきなり最強奏で空気を切り裂く部分など、何度聴いても緊張に緩みがなく、ピンと張り詰めた空気が聴き手に伝わる。第3楽章冒頭は、ティンパニの力強いアタックと低弦の彫りの深い響きが聴きどころだ。既存の製品と聴き比べてみればわかるが、筐体の強化を徹底したからこそ、両者の対比が鮮明に浮かび上がってくるようになったのだ。

合唱とオルガンが加わる終楽章では、地に足の着いた揺らぎのないサウンドを堪能することができる。冒頭からすべての楽器が限界まで鳴り切って、凄まじいほどの音圧が襲ってくる。BDに収録されたマルチチャンネル音声は、本来ここまで広大なダイナミックレンジを持っているという事実にあらためて気付かされると同時に、再生装置の質を問うほどの圧倒的な情報量に感嘆した。

BZT9000はもちろん録画機として最先端の充実した内容に注目すべき製品だが、最後に紹介したように再生機としてのパフォーマンスにも卓越したものがある。特に再生音のクオリティは明らかに従来機と一線を画す水準に達しており、BD再生時の空間スケールの大きさ、CD再生時の重心の低い力強さは特筆に値する。ピュアオーディオの基準で音を語ることのできる希少なBDレコーダーが誕生したことを歓迎したい。

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