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Bluetoothイヤホン「PS 20 BT」や“プライマルシリーズ”「PS 320」など − PHIATON秋の注目機を一斉レビュー

公開日 2011/10/20 09:50 レビュー:鴻池賢三/高橋敦/Phile-web編集部
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マルチポイント接続機能にいち早く対応したBluetoothイヤホン「PS 20 BT」


PS 20 BT
PHIATONから11月に発売される「PS 20 BT」は、Bluetooth対応のスマートフォンやタブレットや携帯電話、PCとのワイヤレス接続が可能なカナル型イヤホンだ。単にBluetoothに対応しているだけであれば、別段目新しくはないのだが、この製品は「マルチペアリング&マルチポイント」に対応しているのだ。最大8台までのBluetooth機器を登録しておき、同時に2台までのBluetooth機器に接続して、音楽リスニングを楽しむことができる。

ブラックモデル

ホワイトモデル

まずは本機の基本的な仕様から確認していこう。


マイク付コントロールユニットを採用し、ハンズフリー通話にも対応した

Bluetoothプロファイルは、ステレオ高音質伝送と通話を可能にするA2DP、AV機器のリモコン操作に対応するAVRCP、そしてハンズフリーで携帯電話の通話操作などに対応するHSP/HFPを網羅している。また、ワンセグ音声もワイヤレスで楽しめるSCMS-T方式に対応した。

マイク付きコントロールユニットには通話開始ボタンなどの他に、十字ジョグスイッチを搭載。音楽再生の基本操作が行える。電源はリチウムポリマー充電池を内蔵しており、付属のケーブル経由でUSB充電が行える。連続通話と連続音楽再生はともに6時間だ。


本体のケーブルの長さは0.5m、形状はY型



イヤーピースを耳に深く挿し込むカナル型ほどの違和感や圧迫感がなく、音質面でも密閉感が控えめで、聴き疲れしにくい「ハーフカナル型」を採用

ドライバーは大口径14.3mmのダイナミック型
イヤホン部分は、カナル型に近い遮音性とノーマル型に近い装着感を兼ね備える独自の「ハーフカナル型」。ドライバーは大口径14.3mm。空気室を2つ設けたデュアルチャンバー構造によって低音を強化している。

イヤホンとマイク付リモコンユニットの構造図。イヤホンは空気室を2つ設けたデュアルチャンバー構造を採用している


シリコン製のイヤーチップはXS/S/M/Lサイズを同梱

USBケーブルを同梱。リモコンユニットはUSB充電が行える


付属の布製キャリングポーチ


同時に2つの機器までのマルチポイント接続に対応

続いて本機の特長であるマルチポイント接続を試してみよう。

コントロールユニットの下側に設けられた「電源ボタン」と「ロックボタン」を同時に3秒以上長押しするとペアリング設定がスタートする。このままジョグスイッチを「+」方向に約1秒間押すと、アラーム音が鳴ってマルチポイント機能がオンになる。ユニットのLEDが赤と青に点滅している間に、接続したい2台の機器のペアリングを同時に行うことで、2つの機器のマルチポイント接続が完了する

接続した後は、各機器の設定画面からオーディオ出力先として本機を選べるようになる。片方の側での出力設定がうまくいかない場合には、もう片方の側で設定を先に解除してから接続し直すとうまくいくことが多いようだ。

マルチポイント接続の活用方法であるが、例えばポータブルオーディオ機器で音楽を聴いている最中に、スマートフォンや携帯電話に着信があったときに、手元のイヤホンのコントロールユニットで通話応答が出来ればとても便利だ。

例えばiPod touchとスマートフォンや携帯電話を同時接続すると、iPod touchで音楽を聴いているときに着信があったら、音楽がミュート状態になって着信音が聞こえてきて、そのまま通話ボタンで通話が開始できる。これなら携帯電話を鞄の中に入れて音楽を聴いていたとしても、着信を逃すことはなくなるわけだ。

付属のマイク付コントロールユニット。十字ジョグスイッチで曲操作などが行える

本体側面に通話ボタンを搭載


背面にはクリップを設けて装着性能を高めている

リスニング中はリモコンユニットを衣服にクリッピングしておくと、ぶらつきが抑えられる
他にもPCと携帯電話を同時接続しておけば、PCで音楽を再生しているときに電話がかかってきても、やはり同じように着信音が割り込んできてくれるので、着信を逃す心配がない。

というように、イヤホンでの音楽リスニングと電話着信をスムーズに連携できるのが、マルチポイント接続の最大のメリットだと言えるだろう。

iPhoneでのペアリング画面。

Windows PCで本機をペアリングしたところ

今回は音楽プレーヤーとしてiPod touch、iPad、そしてWindowsのノートPCを用意して、iPhoneにAndroidスマートフォン、そして通常のBluetooth機能付き携帯電話も揃えて、マルチペアリングのテストを行ってみた。実際にほぼ全てのマルチペアリングのパターンで、問題なくペアリングと音楽再生、着信割り込みと通話が行えた。

Androidスマートフォンはソニー・エリクソンの「Xperia arc」をテストに使ったが、iPod touch、PCとのマルチペアリング時に着信した際、リモコンユニットのLEDが点滅するものの、イヤホン経由で着信音が聞こえないことがあった。ただし、通話ボタンを押せば通話への応答・終了は問題なく行うことができた。マルチポイント接続は最新の技術であるためか、組み合わせる機種によっては、各機能への対応状況が若干異なる場合があるようだ。こういった点は、今後本技術が普及してくれば解消されるものと期待したい。

【Information】発売元のクレシンジャパン(株)では「PS 20 BT」の3日間貸出キャンペーンを発売直後から、2011年12月15日まで実施する。お持ちのBluetooth機器の対応可否を、事前に試すことができるので、本機の購入を考えている方々には絶好のチャンスだ。詳細はキャンペーンページ<http://www.phiaton.jp/campaigns/event.html>まで。

安定した伝送クオリティで高音質再生が楽しめる


本機を装着したところ。「ハーフカナル型」の装着感が心地よい

リスニングテストを行う筆者
では続いて音質をチェックしておこう。試聴はiPhone 4との組み合わせで行った。

Mathias Landaeus Trio『Opening』は、ジャズのピアノ・トリオをワンポイントマイク録音で捉えた作品。その空気感や、自然に捉えられた音色とバランスが特徴的な音源である。

ピアノの角をきちっと立てて、明快な描写。角は立っているがきつい音色ではなく、穏やかな軽やかさも残している。ウッドベースは、量感的には無理に稼がない。音色の芯がやや硬質にくっきりとしており音程感も確かで、堅実で安定した描写と言える。

ドラムスは、バスドラム、スネアやタム、シンバルの、それぞれの配置、距離感のバランスが実に良い。いわゆる帯域バランスの妥当さを感じさせる。それぞれのパーツの音色は素直で気負いのない抜けの良さが印象的だ。この作品の感触に合っている。

Hilary Hahn「Bach: Violin Concertos」でも、量感ではなく明確さで存在感を示す低音を土台とした、バランスの良さが光る。最後にやくしまるえつこ「ルル/ときめきハッカー」などで、女性ボーカルの感触を確認。高域の当たりは柔らかく好感触。ワイヤレスの伝送品位も安定しており、ノイズが気にかかることもなく、素直に歌が届いてくる。


Bluetoothワイヤレス対応のイヤホンとしての音質が良好であることももちろんだが、この製品の最大の魅力はマルチポイント機能にいち早く対応していることだ。音楽再生と通話の兼ね合いを考えると、スマートフォンに音楽再生も電話も任せるのがいちばんシンプルだが、例えば、音楽はより高音質な音楽専用のプレーヤーで楽しみたいというこだわりを持っているユーザーや、スマートフォンのバッテリー消費が気になるというユーザーにとって、マルチポイント接続が提供する利便性は大いに注目に値するものではないだろうか。本機はこれからの音楽リスニングのスタイルを大きく変えていく存在になり得るイヤホンだ。




【PS 20 BTのスペック】●通信方式:Bluetooth 標準規格 Ver.3.0 ●最大通信範囲:可視距離10m以内 ●使用周波数帯域:2.4GHz ●対応プロファイル:A2DP/AVRCP/HFP/HSP ●対応コ-デック:SBC ●対応コンテンツ保護:SCMS-T方式 ●バッテリー:リチウムポリマー充電池 ●マイク周波数:10〜4,000Hz ●マイク感度:-40dB ●マイク付コントロールユニット外形寸法/質量:30W×51H×17Dmm/16g ●ドライバーユニット:14.3mmダイナミックドライバー ●インピーダンス:32Ω ●感度:110dB ●再生周波数帯域:15Hz〜22,000Hz ●ケーブル長:0.5m ●質量:7.5g

◆PHIATONオフィシャルサイト 「PS 20 BT」の製品情報
◆Phile-webニュースの「PS 20 BT」関連ニュース

◆筆者プロフィール 高橋 敦
埼玉県浦和市(現さいたま市)出身。東洋大学哲学科中退後、パーソナルコンピュータ系の記事を中心にライターとしての活動を開始。現在はデジタルオーディオ及びビジュアル機器、Apple Macintosh、それらの周辺状況などに関する記事執筆を中心に活動する。また、ロック・ポップスを中心に、年代や国境を問わず様々な音楽を愛聴。その興味は演奏や録音の技術などにまで及び、オーディオ評に独自の視点を与えている。


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