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東芝REGZAの最新モデルをレビュー

驚きの調整メニューを持った「懐の深い」新REGZA − VGP審査員5氏が「ZG2」シリーズを徹底解剖

公開日 2011/07/04 12:34 大橋伸太郎/林正儀/村瀬孝矢/折原一也/岩井喬
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Healing Islands OKINAWA 〜竹富島・西表島〜
30pビデオ映像/林 正儀

REGZA最高画質を調整して「発見」した



新REGZAの実力を検証するためにフルHD30p収録のビデオソースをチョイス。全編をVARICAM(デジタルシネマ用HDビデオカメラ)で撮影した高画質シリーズ。視聴した「テレビプロ」色温度のデフォルトは8,000Kで爽快な抜けの良さが感じられる。超解像はオートだが効かせ方が巧みでカメラ撮影したものを忠実に復元しようとする方向。エメラルドの海や白いビーチが高S/Nかつ緻密に再現され、素材の良さを実感させる。


そのことをふまえつつ、限界までポテンシャルを引き出せる項目を動かすことにした。「原画解像度」と「プログレッシブ処理」の2項目だ。本作のようにオリジナルのコンテンツがフルHDのプログレッシブ撮りと分かっている場合、有効な項目なのだ。結果的にフォーカスが確実に向上し、はるか彼方の人の動きや砂浜の質感、空気感まで分かるようになったのだ。一方で、牛車のゆっくりとした動きや風景の流れなどは30pのままだとカタカタ感が残る。そこでフィルムモードで浅めの補間である「クリアフィルム」を選ぶ。ホールドボケもなくすっきりしたディテールと自然な奥行感が堪能できた。この組み合わせが私のREGZA最高画質だ。(視聴:55ZG2)

MrHayashi
林 正儀 プロフィール

工学院大学で電子工学を専攻。その後、電機メーカー勤務を経て、技術 系高校の教師というキャリアを持つ。教鞭をとっている経験から、初心者向けに難しい話題 をやさしく説明するテクニックには特に定評がある。





フローズン・リバー
DVD/村瀬孝矢

デフォルトでも十分に高画質な映像に感心した




DVD『フローズン・リバー』は真冬に凍てつく河をめぐる人間臭いドラマ。映像は当然ながら冬景色、モノトーンが支配的。暗いシーンも多くテレビには暗部階調性とノイズ性能の高さが問われるが、47ZG2はデフォルト設定でも基本性能がすこぶる優れていることが分かった。「映画プロ」のチューニングが素晴らしいためデフォルトでもほぼ不満が出ないのだ。豊かな階調性が奥行き感を演出、どんより濁った冬空をありのまま描く能力が備わっている。


そのままでも不満はないが、東芝自慢の超解像技術を生かしたいと欲を出してみた。ソフトの情報量がBDと比べると少ないのでREGZA側で調整することにしてみたのである。数値は別表の通りだ。私の意図は、しゃきっとさせつつフィルム的コントラストを求めたことである。こうすることで非常に映画的な「こってり」さと光の輝きが獲得でき、見映えが向上する。画面サイズと視聴距離の絡み、周辺の明るさ(30ルクス想定)を考慮しつつ、豊かな色合いに光りのダイナミック感を加えた。かつノイズを浮かせずフィルム質感を引き出すことに専念して追い込んだが、この画質には大変満足できた。(視聴:47ZG2)

MrMurase
村瀬孝矢 プロフィール

「PROJECTORS」誌を編集、発行。国内外メーカーの最新プロジェクターを同一条件でチェックしており、国内でもっともプロジェクターの素性を知る人間のひとりである。日本画質学会副会長も務める。





SONGS/UEFAチャンピオンズリーグ(インテル×シャルケ)
放送(音楽・スポーツ)/折原一也

海外のスポーツ映像も国内撮影のように変身

REGZAの画質調整の前提は、放送をいかに美しく視聴できるかにもある。筆者の選んだソースはエアチェックした音楽・スポーツ番組だ。音楽ソースはNHKの『SONGS』。派手なスタジオライトアップの番組だが標準設定でも視聴感は良い。ただ、一層の煌びやかさを出すため「色温度」「LEDコントロール」を調整。スタジオライブの臨場感をより迫力重視で出せるようになった。


『SONGS』の最終調整値
もう一つのソースは地上デジタル放送の「UEFAチャンピンズリーグ」を用意。欧州サッカーはPALからNTSCへの変換が入るため総じて画質が今ひとつなので、REGZAの画質調整能力が大いに活躍する。「原画解像度」「プログレッシブ処理」を調整しノイズ感を軽減させた。こうすることで選手の姿もより鮮明に出る。ただ、それだけでなく動き回るプレーヤーの側に発生するノイジーさを取り除くため「レゾリューションプラス」のゲインも上げつつ「補正レベル」を下げてみた。こうすることで動きに伴うノイズが低減され精細感と両立できた。さらにダイナミックガンマも下げると芝目の荒れも収まりナチュラル志向になる。完成した画質は調整前との差が一目瞭然。クリアさとHD質感との両立に成功した。(視聴:55ZG2)

『UEFAチャンピンズリーグ』の最終調整値

MrOrihara
折原一也 プロフィール

コンピューター系出版社編集職を経た後、フリーライターとして雑誌・ムック等に寄稿し、現在はデジタル家電をはじめとするAVに活動フィールドを移す。PCテクノロジーをベースとしたデジタル機器に精通し、AV/PCを問わず実用性を追求しながら両者を使い分ける実践派。





劇場版Fate−stay night UNLIMITED BLADE WORKS
アニメ/岩井喬

さらに没入感を得るため色温度などを調整した



REGZAは以前からアニメ映像の描写にもこだわっているが、ZG2/Z2シリーズでは各種設定がさらに細かく開放されている。素材に対し最適な自動項目の状態を確認できると共に、思い入れのあるシーンなどがより没入感が得られる画質へと調整できる懐の深さを持っている。今回チョイスしたシーンは深夜の戦闘シーン(チャプター4)だが、ノイズ感のない細部までクオリティの高い映像で、基本的にはオートの設定で存分に堪能できる。


本作は基本的にセル画調であるものの、デジタルエフェクトによる剣戟の光や炎、砂埃を含めた温度感をも伝える空間の揺らぎをふんだんに取り入れ、奥行きや臨場感を巧みにコントロールしている。「映画プロ」では発色のトーンがやや落ち気味(夜のシーンという点もあるが)なので、色温度設定を上げ、約8,000Kとした。総じて夜のシーンがやや明るく感じられるので、ダイナミックガンマ設定を2段階上げて黒を引き締めると共に、本項目の特色である白色の伸びも加えてメリハリが付いた画質とした。さらにフィルムモードをクリアフィルムとすることで動きの滑らかさと抜けの良さも保持。一層劇的な光の表現を際立たせることができた。(視聴:47ZG2)

MrIwai
岩井 喬 プロフィール

東放学園音響専門学校卒業後、レコーディングスタジオ(アークギャレットスタジオ、サンライズスタジオ)で勤務。その後大手ゲームメーカーでの勤務を経て音響雑誌での執筆を開始。プロ・民生オーディオ、録音・SR、ゲーム・アニメ製作現場の取材も多数。


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