進化したテレビ録画機能に迫る

東芝“REGZA”ZG2シリーズの「タイムシフトマシン」が変える「テレビの見かた」

レポート/鈴木桂水
2011年06月28日
最大6チャンネルの地デジ放送を連続30時間もキャッシュできる「タイムシフトマシンCEVO」の機能を搭載した、東芝“REGZA”ZG2シリーズが登場した。これまで超ハイエンドモデルの「CELLレグザ」にしか搭載されていなかったタイムシフトマシン録画の機能が、レギュラーシリーズのフラグシップである「ZG2」にも採用されたことで、家庭でより気軽にタイムシフトマシンの魅力を体験することが、もはや夢ではなくなった。ZG2シリーズに搭載された、気になる「タイムシフトマシンCEVO」の魅力について、(株)東芝 デジタルプロダクツ&サービス第一事業部 国内企画・マーケティング部 参事の本村裕史氏にうかがった。

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(株)東芝 本村裕史氏

− 新しいレグザのフラグシップモデルである「ZG2」シリーズの特徴について教えてください。
本村氏:「ZG2」シリーズには、最新の映像エンジン「レグザエンジン CEVO Duo」が採用されています。「CEVO」という名前には“CELL EVOLUTION”という意味が込められていて、従来の「CELLレグザエンジン」の思想がそこに継承されながら、進化しています。CELLレグザでは、Cell Boradband Engineとソフトウェアの強力なパフォーマンスによって、高画質とタイムシフトマシン録画などの高機能を実現していました。「CEVO」は、東芝が新しくテレビ専用に開発したプロセッサーです。CEVOではCELLレグザがソフトウェアベースで行っていた処理の負担を軽減して、ハードウェアベースの処理に分散させたことで、エンジン全体の処理能力が高められています。さらに、ZG2シリーズでは「レグザエンジン CEVO」のメインLSIを2基搭載することで、画質だけでなく、大幅な録画機能の向上が実現できたのです。

デュアルコア構成のメインLSIを2組搭載した「レグザエンジン CEVO Duo」

メインCPUの処理能力がZG2シリーズでは「レグザエンジン」の約6.8倍相当に高められた


「CELLレグザエンジン」と「レグザエンジン CEVO」、「レグザエンジン CEVO Duo」それぞれの関係は下図のようになっている。「CELLレグザエンジン」がプロセッサーの圧倒的な処理能力をフルに使って、主にソフトウェア技術で画質や録画機能を処理していたのに対して、「レグザエンジン CEVO」はテレビ専用チップとデュアルコアプロセッサをソフトウェア技術と組み合わせることにより、もっと効率よく処理が行なえるようになった。さらに「レグザエンジン CEVO Duo」には、デュアルコアプロセッサが2基搭載されたことで、タイムシフトマシン録画の機能や高画質2D/3D変換など、高度な画質処理も実現したのだ。

「レグザエンジン CEVO Duo」ではハードウェアベースの処理に分散させたことで、ソフトウェア技術による処理負担を軽減し、エンジン全体としての処理効率を高めている


− 「タイムシフトマシン」についてお聞かせください。
本村氏:「タイムシフトマシン」の機能が実現してくれるものは、テレビを視る時のいわば“究極のスタイル”だと考えています。最近の単体レコーダーはデジタルチューナーを何基搭載して、同時に何チャンネルが録画できるかを競うようになってきていますが、「タイムシフトマシン」の使い方はこれらのレコーダーが実現するものとは、まったく異なります。レコーダーの場合はユーザーが意識して見たい番組を“予約録画”しなければなりませんが、タイムシフトマシンの場合はそもそも録画したことも意識せずに、好きな時間に好きな番組が視られるようになるのです。

例えば家に帰ってテレビをつけたら、取りあえず放送中の番組から面白そうなものをザッピングして探しますよね。でも面白そうな番組が見つかっても、もう既に番組の途中まで放送が終わってしまっているということもよくあります。「タイムシフトマシン」なら、設定した地デジ6チャンネルの放送番組を“常に一時保管”しているので、番組が途中まで放送されてしまっていても、リモコンの「始めにジャンプ」ボタンを押せば、瞬時に番組の放送開始にまで戻って視聴ができます。もし現在放送されている番組の中で、面白そうな番組がなかったら、ここで初めて「タイムシフトマシン」の「過去番組表」の出番になります。ZG2シリーズは最大・地デジ6チャンネル/30時間分のテレビ番組をキャッシュしているので、「過去番組表」の中から、面白そうな番組を探して楽しむことができます。この使い方に慣れてしまうと、EPGで今後放送される番組一覧を見ながら「予約録画をする」ことが少なくなってくると思います。

タイムシフトマシンの「過去番組表」

リモコンの「始めにジャンプ」ボタンを押せば、瞬時に番組の放送開始にまで戻って視聴できる


「6チャンネルを30時間も連続録画する必要があるのか?」という声もありそうだ。筆者はアナログ放送を約1週間連続録画できるソニーの「Xビデオステーション」と、ワンセグ放送を1ヶ月連続録画するソフィアデジタルの「ARecX6」を使っている。その上で、連続録画するなら“毎週放送”の番組を見逃しても遡って再生できるくらいの、「8日間連続録画」の機能は必要と感じている。


本村氏:ZG2シリーズでは録画予約も便利に行える機能を充実させています。EPG上に表示されている“王冠マーク”は、レグザブルーレイやZG2シリーズを利用している他のユーザーの録画傾向がわかる「おすすめサービス」と連動した機能です。録画予約の多い番組に対して王冠マークを表示して、人気のある番組としてお知らせしてくれるので、面白い番組との出会いがさらに広がります。

「おすすめサービス」機能はZG2シリーズにも採用された

人気番組にはタイトルに“王冠”のアイコンが表示される


東芝RDシリーズからのユーザーにもお馴染みといえるかもしれない、「おすすめサービス」の機能とレグザの番組表がZG2シリーズで連動した。おすすめサービスとは、本機能に対応する東芝製品からインターネット経由で集計された予約情報を専用サーバーで集計し、そのランキングをもとに、いま人気の番組をお知らせしてくれる機能だ。この機能を使うと、他のユーザーがどんな番組に興味を持っているか知ることができるという、とてもユニークな楽しみ方を実現した。レコーダーではメニュー画面から辿って専用ページからアクセスしなければならなかったので、使い勝手が良いとは言えなかったが、ZG2シリーズでは番組表で直接参照ができるので、断然使いやすくなっていると感じた。


− タイムシフトマシンの連続録画はもっと長時間できれば良いのにと思いました。せめて8日間は欲しかったなと。MPEG-4 AVCなど圧縮技術を使って、よりいっそうの長時間録画が実現できないのでしょうか。
本村氏:確かに映像圧縮技術を使った長時間モードを設けてタイムシフトマシン録画の利便性を高めるという考え方もありますが、圧縮録画のアルゴリズムが如何に優れていても、やはりリアルタイム放送の画質のままで録画するのと比較すると、どうしても画質が劣化します。「タイムシフトマシン」の機能を開発するにあたって、レグザの開発チームは使っていただく方々に、テレビ番組を放送時のクオリティのままでタイムシフト再生できる感動をお届けしたいと考えました。また長時間モードを設けるとなれば、チャンネル数だけトランスコーダーが必要になります。こうなるとハードウェア上も負荷がかかってしまいます。実際にタイムシフトマシンの機能を普段使いで楽しんでいただく分には、30時間以上前に戻って面白そうな番組がないか、隈なくチェックするという使い方はあまりないと想定しています。


− タイムシフトマシン録画に使用するHDD容量は増やせないのでしょうか。
本村氏:お客様からは外付けUSBでもタイムシフトマシン録画に対応して欲しいというご要望をいただいているのですが、1台のHDDへ同時に地デジ6チャンネル分のデータを書き込むのが、USB-HDDの記録速度の制限からして難しいという現状があります。そのため、現時点では内蔵HDDのみで対応しています。

ちなみに、ZG2は合計で2TBのHDDを搭載していて、そのうち1.5 TBがタイムシフトマシン録画用、500GBが通常録画用に割り当てられています。タイムシフトマシン用HDDは750GBのHDDが2基の構成になっていて、1基のHDDに対して3チャンネルずつのデータを書き込んでいます。録画予約は従来機と同じく外付けのUSB-HDDに対応しています。4台までが同時接続できて、8台まで登録が可能です。

外付けUSB-HDDは、本体背面に設けられた「録画専用」のUSB端子につなぐ

外付けHDDはUSBハブを使うことで同時に4台まで接続できる


タイムシフトマシン用HDDから、通常録画用の内蔵HDDへの転送には実時間が必要だった

テストには筆者が愛用しているロジテックのUSB2.0、eSATA対応ハードディスクリーダライタ「LHR-DS04EU2」を使った。本機は筆者がテストしてきた限りではトラブルがなく、安価な3.5インチHDDを交換しながら使えるので重宝している


ダビング中はタイムシフトマシンの番組視聴は行えない

タイムシフト用のHDDから移動したタイトルについてはEPG上に「HDDマーク」が表示される
ZG2シリーズのタイムシフトマシン録画は、録画を行う地デジの6つのチャンネルを自由に選べるほか、各チャンネルごとに録画を行う時間帯や曜日も細かく設定できる。例えば「深夜から早朝の番組を録画しない」「ゴールデンタイムだけ録画する」など、設定を変更することで、タイムシフトマシン録画をより長く行うことができる。録画チャンネル数も例えば3チャンネルに設定すれば、連続録画可能時間は60時間になる。ユーザーのライフスタイルに合わせて設定すれば、より便利にタイムシフトマシンの機能が使いこなせそうだ。


タイムシフトマシンの録画チャンネル設定。地デジ6局をタイムシフトマシンの録画チャンネルに指定できる

タイムシフトマシン録画を行う時間帯・曜日の細かな設定も行える

− タイムシフトマシン録画と予約録画を同時に使うことはできますか。
本村氏:はい、可能です。ZG2シリーズには地デジチューナーがタイムシフトマシン録画用に6基、1つのチューナーを視聴専用として自由に選局しながら、同時に2番組録画も楽しめる「地デジ見ながらW録」用に3基と、合計9基搭載されています。タイムシフトマシンと予約録画は、それぞれ別々のチューナーを使って行いますので、同時にお楽しみいただけます。


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従来のレグザは予約録画件数が32件しか登録できず不便に感じていたが、ZG2シリーズでは予約録画件数が64件に増やされている。また録画可能なタイトル数についても、1台のHDDに対して500番組まで保存できる。4台のUSB-HDDを接続すればそれぞれに500番組ずつ記録でるので、ヘビーユーザーにも安心して使い込める仕様になっている。

録画機能を内蔵した“レコーダーテレビ”、単体のBDレコーダーともに予約録画件数とHDDに録画可能なタイトル数は、使っていて思わぬボトルネックになることがある。予約録画件数が32件に制約されてしまうと、録画予約を入れる時点で本当に録画したい番組はどれか考えながら、やりくりをしなければならなかったが、ZG2シリーズはその点が改善されている。

ZG2シリーズを使う上での、もう一つの醍醐味はやはり録画済み番組の便利な検索機能だろう。すでに録画している番組からキーワードで検索すれば、面白そうな番組が簡単に次々と見つかる。

またタイムシフトマシン録画した番組は外付けHDDにアーカイブしたり、同社のBDレコーダー“レグザブルーレイ”と連携してBDディスクに書きだして保存しておくこともできる。この辺りの使い勝手については、近く製品を細かくハンドリングしたレビューもお届けしたいと思う。


鈴木桂水 プロフィール
元産業用ロボットメーカーの開発、設計担当を経て、現在はAV機器とパソコン周辺機器を主に扱うフリーライター。テレビ番組表を日夜分析している自称「テレビ番組表アナリスト」でもある。ユーザーの視点と元エンジニアの直感を頼りに、使いこなし系のコラムを得意とする。そのほかAV機器の情報雑誌などで執筆中。