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一条真人の体当たり実験室

フルHD AVCHDはどこまで使える? − ソニー“CyberShot”「DSC-TX7」の実力をテスト

公開日 2010/02/03 16:43 一条真人
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■新設された注目の機能「逆光補正HDR」

今回のDSC-TX7の静止画像撮影機能で注目なのが「逆光補正HDR」。HDR機能は同社の一眼レフα550にも搭載されている機能であり、1回のシャッターで2枚の露出の異なる映像を撮影して、最適な階調表現で1枚の映像に合成するという機能だ。

オートHDR機能を搭載するα550

なぜそんな機能が必要なのだろうか。人間の目と比べたとき、デジカメは1回の撮影では一定の明るさの範囲しか捉えることができないという問題がある。そのため、露出の異なった複数の映像を撮影して合成することで、人間の目が見る「自然な映像」を作り出すことができる。それがHDR機能なわけだ。

東京スカイツリー。HDRオフ

東京スカイツリー。HDRオン。暗部がより明るくなり、細かく階調表現されているのがわかる

今回のテストでは実際に明暗差の大きなシーンを探し、いくつか撮影してみたが、暗い部分が明るくなり、しかも明るい部分が過度に明るく補正されることもなく、バランスのとれた映像を撮影することができた。

HDRオフ。ひさしで隠れた部分が影になっている

HDRオン。陰の部分が明るくなっているが、全体の描写のバランスが崩れていないのに注目

■フルHD動画撮影の実用性は?

次に本機の“キモ”とも言える、フルHDのAVCHD動画撮影機能を試してみた。

動画は撮影モードをMovieに設定した場合、普通にシャッターボタンを押すことで録画開始・停止ができるのだが、画面左のMOVIEボタンを押すことで、静止画像モードでも動画撮影ができるのが便利だ。

選択できる録画形式はAVCHDとMPEG-4で、AVCHD(約60fps)の場合はFHとFXの2つのモードが用意されている。フルHD解像度(1,920×1,080)なのはFHモードで、FXではHD解像度(1,440×1,080)となる。これに対して、MPEG-4形式(約30fps)の場合は12M(1,440×1,080)、6M(1,280×720)、3M(VGA:640×480)と、やや低い解像度をカバーしている。

フルHDで撮影した映像は専用ビデオカメラと比較すればスムーズではないシーンも見受けられたが、コンデジの動画としては十分に優秀で発色も良い。ソニーらしいバランスのとれた映像という印象だ。また、手ぶれ補正も予想より効果的で、一部のビデオカメラよりも優秀かもしれない。

FHモードで撮影した動画を切り出し、縮小したもの。ソニーらしい発色に好感が持てる

■常時持ち運べるフルHD撮影機能が魅力

コンパクトさを売り物にするフルHDビデオカメラには、サンヨー“Xacti”「DMX-CS1」などもあるが、DMX-CS1は厚さ27mmと、DSC-TX7と比較すればかなり大きく、携帯性ではDSC-TX7が大幅に優れている。

DSC-TX7の動画は、画質的には専用ビデオカメラには及ばない面があるとは言え、このサイズでフルHDの動画を撮影できるインパクトは大きい。何しろ、普通のビデオカメラとは違っていつでも持ち運べるサイズと重量なのだから、撮影チャンスは飛躍的に増えるだろう。ビデオブロガーなどは要注目だ。

DSC-TX7の魅力は動画だけでは、もちろんない。静止画像撮影機能も非常に充実している。裏面照射型CMOSセンサーの恩恵により暗いシーンでの撮影にも強いし、新搭載のHDR機能によって明暗差のあるシーンでの撮影にも強くなっている。

高い携帯性を持ち、幅広い場面で活躍できるDSC-TX7は、価格競争に陥りがちな最近のコンパクトデジタルカメラのなかで、高いアイデンティティを持つ逸品だと言えるだろう。

(一条真人)

筆者プロフィール
デジタルAV関連、コンピュータ関連などをおもに執筆するライター。PC開発を経て、パソコン雑誌「ハッカー」編集長、「PCプラスワン」編集長を経てフリーランスに。All Aboutの「DVD ・HDDレコーダー」ガイドも務める。趣味はジョギング、水泳、自転車、映画鑑賞など

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