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一条真人の体当たり実験室

さらなる進化でビデオカメラ「最強」モデルとなれるか − ソニー「HDR-CX550V」を速攻レビュー

公開日 2010/01/14 16:51 一条真人
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●ソニー初の自動撮影モード「おまかせオート」

現在のビデオカメラの使われ方は、言うまでもなくオート撮影が主流だ。だが汎用的なオートモードだけでは極端な光線状況で適切な露光や補正が得られず、このためシーン別のオートモードが搭載されている。とはいえ、状況に応じていちいちシーン設定を行うのが面倒なのも事実だ。

この設定をある程度、自動的に行ってくれるのが新設された「おまかせオート」機能だ。これは映像の状況を判断し、自動的にその補正を行ってくれるというもの。「顔」(人物、赤ちゃん)、「シーン」(逆光、風景、スポットライト、夜景、マクロ、低照度)、「揺れ」(歩き、三脚)、「屋内・屋外」という12のモードが自動的に割り当てられ、最大約90通り以上の補正が自動的に行われる。

モードのオンオフはスイッチ1つで、適用されているモードは液晶ディスプレイ下にアイコン表示される。実際、カメラを持ちながら歩くと「歩き」アイコンが表示され、自動的にアクティブ補正モードになっているのがわかったりする。たとえば風景などでは、建物のアップなどの映像ではモード設定されないが、引きにして建物の外観がわかるぐらいになるとアイコンが表示されたりする。たしかにある程度、的確に設定されているようだ。

おまかせオート(iAuto)は側面の緑の文字のボタンで設定できる

個人的に、特にありがたいと感じるのはアクティブ補正(歩き)が自動的に切り替わる点だろう。アクティブモードが必要なシーンは突然やってくることが多いと思うが、そうなると設定する暇がないということも多い。かと言って、常にアクティブに設定しておくと映像が不自然になってしまう。これを自動的に設定してくれるのは実にありがたい。さすがはアクティブモードの生みの親であるソニーならではの機能と言えるだろう。

●衛星データをあらかじめ取得しGPS測位も高速化

前機種のXR520V/500Vは、はじめてGPSを搭載したビデオカメラだったが、GPSの測位に時間がかかるのが難点だった。これをより高速化してくれるのが、GPSサポートツールだ。通常、GPSユニットが位置を計測する場合は、GPS衛星をまず検知して、位置情報を測定するのに十分な数の衛星を検知したら、位置情報を割り出して表示してくれる。このGPS衛星の検知に時間がかかるのだ。

これを高速化するため、CX550Vではピクチャーモーションブラウザ(PMB)にGPSサポートツール機能を搭載した。これがどんな機能かというと、各GPS衛星の軌道情報(GPSアシストデータ)をあらかじめインターネット経由で取得しておくことで、衛星の検知時間を短縮し、位置の割り出しを高速化してくれる。これによって、従来は通常は約40秒かかった処理が約5秒程度に短縮される。今までは位置確定に時間がかかったため、電源を入れてすぐに撮影した映像にGPSデータが入らなかったりしたが、これが改善されるというわけだ。

PMBで映像をアイコン表示させたところ。アイコン右下の緑のアイコンがGPSデータを持つ映像であることを示している

PMBの付属アプリ「マップビュー」で撮影位置を表示させることができる

この機能によって、GPSデータを最新に更新しておけば、よほど急いで撮影しない限り、GPSデータがないという自体はほとんど防ぐことができるだろう。

ちなみにPMBも、バージョン5.0とメジャーバージョンアップした。GPSサポートツールはPMBランチャーのGPSメニューから起動することができる。設定はドライブメニューで、目的のハンディカムの内蔵メモリーのドライブを選択するだけだ。「今すぐ更新」ボタンをクリックすれば、インターネット経由で衛星軌道データを取得してくれるし、「機器の接続時に自動でGPSアシストデータを更新する」をチェックしておけば、文字通り、自動的に衛星データを更新してくれる。

GPSサポートツールはPMBランチャーのGPSメニューから起動できる

GPSサポートツール。GPSの衛星データを取得し、ビデオカメラに転送できる


●ハンディカムは「最強」の称号を手に入れたか

紹介してきた以外でも、SD/SDHCメモリーカードに対応したり、マニュアル撮影機能が強化されたりなど、CX550Vは紹介してきた以外にも、数多くの機能的な強化を図っている。

内蔵メモリーモデルの前モデルであるHDR-CX500V/520Vは、裏面照射や3方向のアクティブ補正など、大幅に進化した新機能を搭載しているものの、やや荒削りで使いにくい面も持っていた。

これに対してCX550Vでは、それらの弱点を補正しつつ、さらに一部他社と比較して劣っていたオートフォーカス速度を向上。なおかつ広角側を拡大したり、アクティブモードを進化させたり、おまかせオートのような新機能を搭載するなど、隙のない進化を遂げている。特におまかせオートはユーザーによる機能設定なしで適切なモードに切り替わることで、ビデオカメラ撮影の簡便性を大きく進化させている。その全体の進化のインパクトは、初の裏面照射モデル「HDR-XR500V/XR520V」が登場したときほどではないにしても、かなり大きなものだ。

今春の他社のビデオカメラ新機種のなかでは、キヤノンの「iVIS HF S21」が機能的にやや似た傾向の進化をしている。実際の商品を詳細に比較しているわけではないが、S21と比べてみても、CX550VにはGPS搭載や裏面照射CMOSなど独自のアドバンテージを保っており、機能の充実ぶりではまだ追随を許していないと言えるだろう。

(一条真人)

筆者プロフィール
デジタルAV関連、コンピュータ関連などをおもに執筆するライター。PC開発を経て、パソコン雑誌「ハッカー」編集長、「PCプラスワン」編集長を経てフリーランスに。All Aboutの「DVD ・HDDレコーダー」ガイドも務める。趣味はジョギング、水泳、自転車、映画鑑賞など。

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